第25話 次の任務へ
「そういえばさ、魚とか大丈夫?」
「大丈夫ですわ。けどどうして?」
「名前的に外国育ちなんじゃないかって思って。干物とか和食系が食べれるか、今思うと聞いておけば良かったって思った」
ミトラ。名前もそうだけど外見も外国人とのハーフみたいだから。
「父親がフランス育ちったので、このような見た目と名前になったのです。私は、生まれも、中学までの育ちも青森ですの」
「ふ~~ん」
よく見てみれば箸だってきちんと仕えているわけだし、私が考えすぎていただけか。サラダとゆで卵を口に入れながら話を聞く。意外だな……。
祇園っていう人とも、そこで会ったんだろうな。
この力だって、雪女っていうくらいだし。
「ちなみに、食べられないものはないです。凛音の手料理、いつでも大歓迎ですわっ!」
にっこり笑いながら私に顔を近づけてくる。
だから顔を近づけないでくれ。美人のお前に顔を近づけられると、こっちの心臓が爆発しそうになるんだって。
おまけにニッコリ顔。
私の心に、まるで焼き印の様に残ってしまい、離れない。心臓がバクバクと高まって、顔が真っ赤になってしまう。
「凛音の手料理は~~、美味しくて──愛情いっぱ」
「調子っぱずれな歌やめて……」
そして私達は食事を平らげる。その後、皿洗い。後ででいいと駄々をこねるミトラを強引に説得し。2人で──。
「めんどくさいですの。後ででいいですの!!」
「ダメ。食器に食べ残しがこびりついて余計に手間がかかるよ!」
「ちぇ~~」
そして皿洗いを終えると。机に隣り合わせに座る。先日印旛沼で買ったピーナッツ最中を食べながらこれからのことを話し始めた。
お見舞いも理由の一つだけれど、本当はこれも一つの理由。
「これから私、どうすればいいの?」
「じゃあ、説明しますわ!」
「っていうか何で隣なんだよ。普通向かい合うように座るだろ」
「凛音とは向かい合うのではなく、同じ方向を向いていたいですの」
「……分かったよ」
そしてミトラは引き出し(中身はごちゃごちゃ)から書類を取り出した。まず、ミトラが渡してきたのは一枚の手紙。
「まず1人目、日菜富子さんという人に、会ってほしいですの。ここが、住所ですわ」
ミトラから受け取った手紙を見てみると、そこには住所と家の特徴が書いてあった。これが、富子さんっていう人の家みたいだ。
貞明さんと会った後、私は妖怪省の幹部やいろいろな人と会い、妖怪たちと戦いながら自分のことを認めてもらう活動に入ることとなった。
5大老と言って、幹部の中でも権力や5人いるらしく。彼らに1人ずつあって一緒に仕事をして、判断してもらうことなのだ──。
それからもう1人。
「もう1人は、
「怪我、それまでに治るの?」
「さすがに無理ですわ。凛音1人で、行ってもらいます」
「私、コミュ力ゴミだよ」
私は、右手で額を抑える。ミトラなしで、どうやって説明しろって? まともに話せず誤解を生むことしか想像できない。しかし、ミトラは平然な表情をしている。
「安心してくださいまし。この2人は、比較的凛音への理解がありそうですの。事実凛音のことを話しても、大丈夫だと言ってくれましたし……」
ニッコリとしたミトラの言葉。いきなり一人って言われても……不安だ。
私がおろおろと迷っているとミトラは顔をぷくっと膨らませてさらに会話を進める。
「凛音、私は富子さんと何度か面識があるから言います。富子さんは幹部の中でも人当たりはいいし、感情的に人を判断したりしません。だから私がいないタイミングで会わせることにしましたの。御影の方は、私達よりも一つ年上で、とっても気さくで話しやすい人物ですの。おまけに、あなたと同じ半妖の姿ですわ」
その言葉にピクリと体が動いた。
「そうなんだ」
「ええ、ですのですぐに仲良くなれると思いますの」
私以外に半妖の人。どんな人なのかな……。興味が湧いた。
確かに私一人で重要な人と出会うというのは緊張する。うまく打ち解けられるか、不安だ。
「気遣い、ありがと」
でも私だって早く認められたいし、琴美に会いたい。ミトラの怪我が治るまで手をこまねいているのは、流石にもどかしいしミトラに頼りっきりというのもなんか嫌だ。
「わかった、会いに行くよ」
そして私はミトラから説明を受ける。
「先ずはこの住所に行って、富子さんと会ってもらい、話を聞いてもらいますの。それから、妖怪と一緒に戦ってもらいます」
「一緒に?」
「はい、富子さんのリクエストですわ。戦っているのを見て、凛音の本性を知りたいって。場所はこの、四尾連湖という場所ですわ」
ご丁寧に地図まであった。山梨県の、かなり山の方。丁寧な人なのかな、ミトラとは違って。
何でも、怪牛と呼ばれる妖怪を退治するとか──。
そう言えばミトラなしで妖怪と戦うの、初めてなんだよなあ……。
そして私は軽く説明を受けた後、帰路に就く。
「しっかり食事取って、部屋の掃除もちゃんとするんだよ」
「……口うるさいお母さんですの」
ミトラは不満そうに口をへの字にする。病人なんだから、ちゃんとしなよ。そして私はドアを閉めた。
富子さんか──どういう人なんだろ。物分かりがいい人とは言ってたけど、きちんと認めてもらえるかどうか、とても不安だ。
上手くいくといいな……。
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