第2章・剣夜一閃
第28話 23区逃走劇
小鳥も囀る正午頃。
剣夜会本部へ行く前にグルメが豊富な23区で何を食べようか、そんな話をしていた俺たちは。
「エドぉ!!状況を説明しろ!!」
「ケイちゃんは頭打って泡吹いてぶっ倒れてる!!うぎゃっ!私も頭打った!」
髪の長い顔に手足の様なものが生えた歪人に追い回されていた。
エドが狙撃し誘導、ケイニスはハッキングを行い隔壁を操作し閉鎖し公道への交通規制を発令したことにより一般人の姿は無いがそれは俺らの逃げ場も無いに等しく、触手のように伸びてくる髪をバンで回避しながら市街地を逃げ回っていた。
「…ダメ!大口径ワンマガジン全弾命中も効果無し!灼熱弾も使ったけど少し怯むだけで普通に追ってきてる!」
「打って出るしかねぇか…エド、運転変われ!」
「え、ちょ今!?ど、どうやって!」
「スピードを少し落としてあいつが限界まで近づかせろ!」
カーブに差し掛かったところで歪人の伸ばした髪が車のタイヤに絡みつき、スピードが落ちた車へ近づいてくる。
距離にして数十mの距離を一瞬にして縮めてきた所で、ローウェスは後部座席から飛び出した。
が、後ろでエドの叫び声が響く。
「はぁ!?なんでおじいちゃん残ってるの!?」
運転を任されたエドの前に老人が1人杖を突きながらトボトボと歩いて居た。
避けられない、そう思った次の瞬間。
「ぶ、ぶつか___え?」
ぶつかる寸前、老人はあろう事か車の上に飛び、ローウェスの刃が歪人を切りつけるよりも早く歪人を一太刀の元に切り捨てた。
「は?な、壁!?ギャッ!?」
ローウェスはというと目の前で歪人が真っ二つになり斬る対象がいなくなったことでその勢いのまま壁に穴を開け嵌っていた。
「カカカッ、久々の運動は気持ちがええのう」
「いてて…タケ爺…久しぶり〜…」
ハンドルを切り電柱に衝突したエドの元へ1人近づいてくる。顔中に傷があり閉じた瞼にはさらに大きな傷が刻まれた盲目の老人は血の着いた刃を袖で拭い、鞘に収めた。
「カッカッカッ、その気配エドちゃんじゃな?大きくなったのう」
「爺ちゃん!待ってって言ったじゃないっすか!、うわ!エドちゃん大丈夫すか!?」
髪を金髪に染めた前髪の長い青年が老人を追ってか、走って来たが柱にぶつかった車を見てかこちらへ来る。
「久しぶり〜ハルちゃん。私は大丈夫だけど仲間の1人が泡吹いてるからそっちお願いね〜えっと…ローウェス〜?どこ〜?」
「こっちだ!」
車から降り当たりを見回す。
声のした方を見ると穴が空いた壁とそれに嵌っているローウェスがいた。
「え?うわっ!尻が喋ってる!」
「さっさと引っこ抜いてくれ、こっちからだと抜けねぇんだよ」
「うーむ、眼福だ…」
ローウェスが足と尻尾をバタバタさせる、その光景を見たハルスケがエドに質問する。
「…本当にローウェスさんなんすか?なんか…尻尾が生えてるし…ちっちゃくなってるし…」
「合ってるよー、んしょ、あれ?抜けない…」
「ぬぁっ!?え、エドもう少し優しく…」
「ふん!」
「ヒアッ!?尻尾引っ張るな!!」
「しょうがないじゃーん、高いとこに嵌ってるんだから」
「ふーむ…エドちゃん少し離れるがいい」
「?わかった」
中々抜けないのを見かねてかタケゾーが鞘から刀を抜くと壁を細切れにした。
「イッ!?」
「うおっと、セーフ」
壁が切断されたことによりローウェスは壁から解放されエドに抱き抱えられる。
「うーむ、少しズレたかのう」
「ば、馬鹿野郎!!抜けないからって壁ぶった斬るやつが居るか!!!てかズレたってなんだ!」
「えーローウェスさん?で合ってるっすよね上着貸すっす」
「は?どういう」
どういうことか聞こうとした瞬間、俺の着ていた服は壁と同じようにバラバラにになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます