第22話 影
道を進むにつれ死体から流れ出る血の量は増えていき、通路は赤い水路のようになっていった。
赤黒い血から漂う生臭い匂いはさらに強さを増し、そんな場所を進んでいるからか靴の中に血が入り込みかなり気持ち悪い。
「…帰ったら買い替えだな…こりゃ…」
ただひたすらに細い通路の先へ進んで行くと開けた広場のような場所に出る。
流れ出た血は全てここに集まっているようで靴が丸ごと沈み込むほどだ。
そして不思議な事に広場の中は霧が晴れ、中には死体が浮く異様な光景を作り出していた。
「これ文字か?」
壁には血で書かれた文字を見つけたが書かれているがどの内容もネガティブな内容のものばかりである。
その中で1つだけ真新しく内容の違うものを見つける。
「…”お前を見ている”…!」
ローウェスがそう読み上げると同時に、何かが破裂する音が響く。
浮いていた死体が破裂し、肉片と血が雨のように降り注ぎ、それと同時に死体を宙に浮かせていたものそれは糸だった。
肉眼では捉えることが出来ないほどに細い糸が辺りには張り巡らされていた。
そして路地の奥から何かがこちらへ向かってくるかのように水音が響く。
霧に隠されていたこの空間の主が姿を表す。
赤い1つ目からは残光が尾を引き、そいつが着ているコートから露出しているであろう肌までもが塗りつぶしたように真っ黒だった。
「⋯冗談キツイぜ」
思わず苦笑する。
表情を見ることはできないが少なくとも友好的では無いことだけは分かるだろう。
黒い影が空へ手をかざすと血は雨のように降り注ぎ視認できていた糸は再び不可視となった。
先にしかけたのは黒い影だった。
軽く地面を蹴ったように見えた黒い影は俺との距離を一瞬で詰め、蹴りを繰り出した。
(早い!…てかナイフ使わねぇのかよ!?)
蹴りを受け流しがら空きの胴へ拳を打ち込むがいつの間にか張られていた糸に防がれた。
それを見た黒い影はナイフを振るい、ローウェスはそれを弾き返す。
黒い影が後ろへ飛び腕を大きく振るう。
何かを感じ取ったローウェスは大きく回避行動を取ると同時に背後の建物がバターのように真っ二つとなり倒壊した。
(建物が破壊されたのに影にダメージが行っていない…厄介だな)
黒い影は建物から出た土煙を切り裂き現れる。
ローウェスはランスを取り出し、黒い影へ投擲した。
黒い影が防御態勢をとった瞬間、ランスの槍先が4本の脚の様に分かれ黒い影を拘束した。
動きが止まった黒い影にローウェスは殴りかかるが、再び糸に遮られる。
(動けない⋯粘着性のある糸も使えるのかコイツ⋯!クソッ!)
ベトベトとした糸はローウェスの体を絡め取り、その動きを止める。
ランスは地面に落ちることなくに霧散し、拘束を解いた黒い影は身動きのできないローウェスへ近ずくと、糸を操作してかローウェスは両腕を天井に吊るされたような体勢になる。
(⋯は?)
「♪」
黒い影はローウェスの顎に手をやり、その顔をじっと覗き込んだ。
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遅れて本当にすみません!!!
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