第9話 廃工場襲撃 上
あれから半年、俺らは順調に依頼をこなして行った。
ケイニスは仕事にも慣れて行き、今では死体を見てもたじろぐ事が少なくなる程度にまで育ち、昇級までしてた。
ケイニスの部屋の扉を開ける。中ではケイニスがゴーグルのような何かを組み立てている最中だった。
「あ、ローウェスさん。どうされましたか?」
「ケイニス、今日はお前にプレゼントがある」
「え?今日って何か有りましたっけ?それにこれは…手袋?」
「一応ワーカーの昔からの習慣みたいなもんで、昇級したワーカーにはそこのリーダーが手袋をプレゼントするってな、俺もなんでこれが習慣になったかは知らないが、一応やってるんだ。ちなみにエドは既に持ってるぞ」
「わぁ!ありがとうございます!大事に使いますね!」
「まぁ、付けなくても良いさ、なんなら自分が使いやすいようにするのもいいかもな。一応依頼の時に邪魔にならないよう電子機器対応したヤツだぞ」
「そうですか…好きに改造していいなら…」
「あぁ、忘れてた、今日は午後から依頼があるからな、今のうちに準備しとけよ」
「はい、分かりました〜」
その後事務所を出た俺たちは依頼の詳細を説明と昼食を済ませる為にいつもの店へ立ち寄る。
「今回の依頼少し面倒でな、なんでもずっと放置されていた案件らしい」
「…塩漬け依頼かぁ、あれって嫌な案件ばっかりだよねぇ」
「塩漬け…?しょっぱいんですか?」
「あー、簡単に説明するとな。なんやかんや事情があって後回しにされている仕事のことだ、で今回は調査と殲滅が主な内容だ」
「調査ねぇ、何があるか調べて来いって?」
「それがな、そこら辺詳しく教えられてないんだ」
「なんだそりゃ」
依頼を受ける時は詳細を最後まで読めとは誰の言葉だったか。それがあまり役に立たない為、俺的にはあまり受けたくない案件であったりもする。
「で、どこなの?」
「今回は23区、ネオフェイクトウキョーの廃工場だ、施設の今回も頼むぞ」
「はい!お任せ下さい!」
「いい返事だ…あの銃声で悶えていたケイちゃんはどこへやら」
「エドは今回ケイニスの護衛を頼む。例の工場。遮蔽物が多い上にある程度近ずかないとハックできないらしい、エドは自衛手段の少ないケイニスに近ずいてくる奴がいたら張り倒してやれ」
「りょうかーい」
店を出た俺らは、23区ネオフェイクトウキョーへたどり着く。
1区や26区とはガラッと雰囲気が変わり、何時ものアルビオンとはまた違った空気となる。
23区は日本という国の主要な都市をモデルとして作られた場所らしく、建物の様式も違うらしい。
「ここはいつ来ても賑やかな場所だな。そういやクロツキ研究所とかアラキ社はトウキョーって場所に合った会社らしいぞ」
「え?七大歯車企業の2社がひとつの都市で産まれたんですか?どうゆう場所なんですか…それ」
「いや化け物が時々湧くような場所に私達住んでるし、多分トウキョーの人達はお前が言うなっておもうよ?」
「さて、着いたぞ…なんか思ったより…寂れてるな」
裏路地を通り抜け、たどり着く。
光があるところに暗闇ができるように、煌びやかな街とは裏腹に陰鬱とした雰囲気が漂っている。
まるでここが
錆びだらけの廃工場の敷地は外から見るだけでもかなり広く、ここを丸々一つ調査するのはかなり骨が折れるだろう。
「ケイニス、接続プラグは見つけたか?」
『はい、見つけました。あとは…ここをこうして…ケーブルなんかの準備は完了しました〜何時でもハッキングできますよ』
『こっちも同じく〜』
「よし、じゃあ突撃する」
扉を蹴り壊し、手始めに扉の目の前に居た男の頭をエクスカリバーで撃ち抜く。目に見えるだけでこの部屋には俺が殺した男を覗いて5人見える。
目の前で仲間を殺されたのが応えたのか、呆然としている男の腹に指輪から取り出したダガーを深々と突き刺す。男の口から血が吹き出し、倒れるのを確認した。
「て、てめぇ!何者だ!?」
少し冷静になったのか1人が俺を睨みつけ、怒鳴りつける。少しした後に俺は残った3人に囲まれていた。
1人は金属パイプ、もう2人は錆びた鉈を手に持っていた。
(こいつらがホントに依頼を受けたワーカー達を行方不明にしたのか?とてもそうは思えないが…)
「クソッ!タコ野郎は何してんだよ!?」
「タコ野郎?…詳しく聞かせてもらおうか」
「チィッ!やっちまえ!!」
後ろに居た鉈持ちの男が俺に切りかかる、後ろへステップし回避する。1人を指輪から斧を取り出し峰で顎を殴り飛ばす。
脳が揺れ一時は動けないだろう。
ローウェスの背中目掛けバットが振り下ろされる。だがバットはローウェスへ直撃する事は無く。ダガーはバットを持った男の腕を切り飛ばした。切り落とされた腕と共にバットは地面へ無機質な音と共に落ちる。
腕を落とされた男の背後に回り込み、もう1人の男目掛け蹴り飛ばし、折り重なった所へランスを投げ放ち串刺しにした。
突き刺さったランスが消えるのを確認した後に1人残った男の元へ行き、足にダガーを突き刺す。
「ぎゃあああ!!?」
「起きたか、チンピラが」
「て、てめぇ!まて!あ、あいつらは何処だ!?」
「アレだ」
俺は死体の方を指差す。
男の顔がみるみると青くなっていく。目の前で仲間の死骸を目にしたのだ、無理もないだろう。
コレでは話が始まらない、ダガーを更に深々と突き刺す。
「いっ!!?分かった!!お前の知りたい事を話す!やめてくれ!」
「そうか、じゃあ何から話してもらおうか、お前の話していたタコ野郎ってのは誰だ?」
「ここを警備していた全身義体の男だ!スーツ着た、タコみてぇなマスク着けてたからそう呼んだんだよ!」
「アイツか?…他に何人いる?お前たちのボスは誰だ?」
「6人!6人だ!強いのが4人!ボスは太った男だ!!知ってるのはこれだけだ!頼む!見逃してくれ!」
「…はぁ、ケイニス応答しろ」
『はい、依頼が終了次第、回収しに来てくれるそうです』
「そうか、そうだついでに次の部屋の状況を教えてくれ、叫び声がしてるのに一向に増援が来ないのが気になる」
『えーと、恐らく防音の素材ですね、長い廊下を挟んで次の部屋をカメラに入り込んで覗いてのですがかなり重装備の人物が2人、全身違法改造義体の傭兵らしき人物が2人、それと赤いサトウキビ?みたいなのを世話してるのが2人ですね、嘘ではなかった様です』
「赤いサトウキビ?それってクリムゾンシュガーじゃねえか!マジかよ…1級危険薬物とかシャレになんねぇよ」
『末端価格1g5000
『5000Els…この量なら軽くコーポの年収超えますよ…』
『処理はどうする?燃やす?』
「燃やすのはダメだ、辺り一帯がクリムゾンシュガーの煙で汚染される、処理はその専門の奴らに任せる方が良いだろうよ」
俺はそう言うと、扉を開け廊下へと足を踏み入れた。
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