第4話



「マクベス王国との国交を断絶する」


私を巻き込んだ魔導具師ギルド騒動から早ひと月。

マクベス王国から来た友好の使者。

それに同行した隊の行動が友好の架け橋を橋桁から打ち砕いた。


「マクベス王国は友好という旗を掲げて来たが、実態はデリストア国の女性たちを娼婦として奉仕させようとしていた。それだけではない。女性を無理矢理宿舎に作った部屋に連れ込もうとした隊もある」


正確には未遂である。

バッフェンがギルド長を解任されて更迭。

代理は事務長のヒルダが兼任することになった。

それと同時刻に、マクベス王国から来たという兵士がバッフェンが用意したであろう女性技師を引き受けに来た。

もちろんヒルダは断った。


「バッフェンというギルド長から話が通っているはずだ」

「申し訳ございません。ここのギルド長は私であり、バッフェンという名のギルド長は存在しておりません」

「ここに腕利きの女性技師がいると聞いたぞ! そいつでいいから出せ!」

「申し訳ございません。当ギルドでは技師の意思が尊重されます」

「そんなことは関係ない! ああ、見た目がいいお前でもいい。こいっ、存分に可愛がってやる」


ヒルダの手首を掴んで引っ張ったと同時に全身を電撃が走って兵士はその場で倒れた。

ここはなのだ。

今のように理不尽な行動を取ろうとする男は多い。

そのために防犯用の魔導具をギルドに所属する職員や職人が身につけ、ギルド施設自体にも様々な魔導具が設置されていることぐらい、ちょっと考えれば分かりそうなものだ。


倒れた兵士は強要と暴行の現行犯で腕輪をつけてられて行動を制限させて守備隊に引き渡し。

デリストア国の王都で裁判を受けた結果、様々な罪が明るみになった。

水面下の交渉により、マクベス王国が国庫の8割にもなる慰謝料を支払う形で、表向きは国交を断絶する処分で終わった。

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