第5話




私は町だけでなく国からも出ていた。

いま滞在しているのは世界最大の魔導具技師の国、アルキメイシス。

ここは国の大半が魔導具技師たちで成り立っており、残りのほとんどがその家族。

王都や町にはごく僅かに商人が住んでいて、研究に必要な素材や器具と工具などを取り扱っている。

王都を離れれば田畑が広がり、村は魔導具の試験場として農地を貸している。

おかげで毎年豊作続きで自給率が高く、世界で一番豊かな国として知られている。

魔物から得られる素材は干潮時に地続きとなるダンジョン島に自分で採取に向かったり、ダンジョン島に雇われている奴隷たちが依頼の品を採取する。

素材はどんな希少な素材でも無料で取り引きされるため、大抵は奴隷たちに依頼する。


技師の半数が私のようにギルドからの裏切りを受けて追放され、身の危険を感じて保護を求めた者だ。

しかし、私のように国家間の問題に発展する者は少ない。

魔導具技師を相手に罪を犯した犯罪者はこのダンジョン島に集められる。

ここで魔導具技師たちのために一生をかけて罪を償うのだ。

バッフェンもヒルダに暴行して捕まった兵士もここにいる。

バッフェンは植物や鉱石の採取、兵士は魔物の討伐専門の奴隷だ。


このアルキメイシスはひとつの島と複数のダンジョン島からなりたっていて、ダンジョン島は素材集めにちょうどいい。

そして、魔導具によって自我を封じられた罪人どれいは、が設置されているこの島から逃げることなどできない。

自我を封じられているのは、自害を封じるためでもある。

私語などないものの、生活はある程度なら自由だ。

飲酒は適度の量なら許されるけど喫煙は身体を壊すから禁止。

読書などの趣味は認められるし、身体や武器の鍛錬もOK。

科せられた規定の慰謝料と同等の素材を採集して奴隷から解放されるのが一番だ。

『従うもの』から『管理する側』に回れば、この閉鎖された島でもである。

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