第8話 探偵団始末記 一日目

新学期初日の月曜日に転校してきた雪竹菊美‥

火曜日の放課後、その菊美の発案によって結成された少年少女探偵団は、しかし水曜日、木曜日、金曜日と 3 日間活動して解散してしまう。


その3日間に何があったのか?

そして何故、少年少女探偵団は解散したのか?


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水曜日の放課後。

まずは街を探索しながら事件が起きるのを待とう、ということになった。


学校を中心に半径約 500 メートル..ランドセルを背負った4人の小学生が行く。


菊美にとっては見る光景全てが初めてで “あの建物はなん?” “ここは昔から変わらんの?” と興味津々で聞いてくる。

翼たちはそれに対し、いちいち解説を加えながら歩いていた。探偵稼業のいっかんのはずの探索は、なんとなく街紹介のツアーのようになっていき、さしずめ3人は菊美に付き添うツアコンのようでもあった。


しかし翼は、見慣れたはずの光景の中にいくつもの小さな発見をしていた。


“あれ?ここ、いつの間にか違うお店になってる”

“山田君の家、表札が変わってるぞ。

引っ越したんだ”..


いかに普段多くのことを見過ごしていたか。

翼を始め、翔太も卓也も完全にインドア派だ。3 人が集まると、たいがい翔太の 家に行きゲームで遊ぶことになる。久し振りに感じる街の空気が、何だか気持ち良かった。


傑作だったのは、幼稚園の頃よく遊んだ通称「タコ公園」の前を通りかかった時だ。翔太も卓也も、やはりこの公園で小さい頃遊んでいたらしく、話が一気に盛り上がっ た。


きっかけは菊美の ”昔、ウチらも公園でよくケイドロやってた“ という言葉 だった。3人が “ケイドロじゃなくてドロケイだろ?” と返し‥


“何じゃ、東京もん!”

“やるか、大阪女!”


といった展開になり、ちびっ子探偵たちはランドセルを放り投げ、警察と泥棒に分かれ追いかけっこを始めた。これが久し振りということもあり何とも面白く、4 人は汗びっしょりになりながら、日が暮れるまで公園で遊ぶことになる。


街ブラして公園で遊んだ‥それが探偵団初日の活動だった。

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