第6話 不吉な予感
翌日。
翼が教室に入ると、すぐに卓也が駆け寄ってきた。
「あいつ、まだ来てないぜ」
警戒するような‥いや、あきらかに何かを恐れているような卓也の言い方‥。
分かる。翼も不吉な予感がしていた。
翼がふと窓外に目を向けると、白いブラウスに青い作業着のようなものを着たおかっぱ頭が校庭を歩いている。
「ゲッ、菊美だ」
翼がビクッとした時、翔太があわてて教室に飛び込んで来た。
「あいつが来るぞ!」
3人は身構え、じっと教室の入り口を見つめた。
♫「殿様ガエル、雨ガエル~、カエルにいろいろあるけれど~」
聞いたことのない鼻歌がだんだん近づいて来る。
そして “おはようさん!” という大 きな声とともに菊美が現れた。作業着だと思ったのは、だぶだぶのオーバーオー ルであった
“何じゃ?このセンス”
翼は心の中でつぶやく。菊美は3人に向かってまっすぐ歩いて来て言った。
「この学校で、あんま人目につかんとこある?」
人目につかない場所..? 少し考えて翔太が答えた。
「中庭とか‥かな」
菊美は3人に顔を近づけ、声をひそめて言った。
「よっしゃ、今日の放課後その中庭に集合や」
そしてニカっと笑うと “秘密やで” と付け加えた。
不吉な予感‥と言うより、もはや身の危険すら感じる‥。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます