第2話
桜も少しずつ散っているなか、中庭で読書を楽しむ女性がいた。
彼女の表情は何処か儚げで美しく見えた。髪の毛には桜の花がついており、どれだけ読書に集中してるかわかるようだった。
まるで映画の一場面のように感じているとその女性と目が合った。
俺はこの女性を知っている。何故なら先日話をした花村唯だったからだ。
何を話そうか悩んでいたら予鈴がなった為それぞれのクラスに戻っていった。
授業後になり、彼女との約束を果たす為に図書室へ向かった。
図書室に着くと今回も彼女のが早くついていた。俺は昨日読み終えた本を返し、彼女の所へ向かって行った。
「ほい。昨日言ってた本」
「ありがとう。自己紹介がまだだったわね。私は一年の花村唯」
「同い年か……俺は神山祐樹。よろしく。ところで、昼休み何を読んでたんだ?」
「やっぱり見られてたのね。今回は推理小説を読んでたわ」
「やっぱり普段から読んでる系の人か……」
でも何故ここの図書室に来たのだろう。街の図書館などもあるのに。
「何故ここの図書室にって顔ね。その本、図書館だと予約しないと読めないから。でもここに来てよかったわ」
俺は思っていることを当てられたため、平然を装いながら
「確かにここは基本人が来ることがないからな。読みたい本があったら基本かりられる」
と言った。
「今回はかりられなかったけどね」
そんな会話をしながら彼女に本を渡した。彼女はすぐさま貸出手続きをし、こちらへ戻ってきた。
「ねぇこれ読み終えたら、感想言い合ってもいいのかな」
「構わない。そういうのやってみたかったし」
彼女はそれを聞いた後、先程借りた本を読み始めていった。
俺も新しい本を借りる為、図書室の中を回り何個か面白そうな本を選び借りた。
借りた本を読んでいると、下校時刻になった事を田中先生が伝えてくれた。隣の席を見ると彼女も本の世界に旅立っていたようだった。
急いで準備をして帰るために門に向かっていると、体育館からバスケの音がした。
「流石女子バスケ部ね。まだ練習してる人がいる」
いつの間にか横にいた花村唯がそう言った。
「そういえば申請をすれば、下校時刻すぎても練習できるんだったか」
「ある程度は実績も必要になるけれどね」
そう彼女は答えてくれた。うちの学校は申請をすれば下校時刻から一時間後まで練習できるようになっている。
俺は、どんなこと練習をしているか気になり、すこし体育館の中を見ると二人しか居なくワンオンワンをしてる最中だった。
両者見合っており、ただボールを叩きつける音だけが聞こえる。素人の俺からしたら見えない攻防が繰り広げられているんだろう。
この戦いの結果は気になるが、申請をしてない部活の人は強制下校時刻のため、俺は門へ行きそのまま帰宅した。
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