第2話 私が復讐してみせます

私は混乱もなく、ただ婚約破棄を受けいれた。そして自ら派手な王宮から飛び出てやった。転生したことはまだ受け入れられていないかもしれないが、もうどうだっていい。こうなったらリースとなった私が奴らに復讐をするだけだ。




「おい!お前どこへ行くつもりだ !」




「おっしゃられた通りにしようとしただけですわ。私のような悪女がいて申し訳ありませんわ」




「勝手に決めおって!話を最後まで聞かんか!」




プンプンになった国王は立ち上がって怒りをあらわにした。まずまず、聖女は私なのにそれを信じないで悪女に騙され、それに気付かずに今日までやってきたこんなやつの話を聞くのは馬鹿馬鹿しいことにも程がある。




これから結婚だという王子本人はダラダラと給仕が運んでくる料理を食べて、周りにいる使いや、今日のためにと雇われたかわいい女の子たちとのダンスに夢中になっている。よくこんなのが産まれた場所だけで王子だと言えたものだ。




「僕、もっと可愛い子がいいな、パパ」




王子はそんな意味のわからないことを呟いた。それなのに周りでは召使いたちがそうですわねやらええ、あんなオンナが聖女なんておかしいですわよねと同意の声をあげている。どう考えても狂っている。もう居てもたってもいられなくて私は歩みを進める。わざとらしく振り返り、一言残す。




「それでは、ここらで失礼させていただきますわ」




私はそのあと何かを怒鳴る能無したちを背に、豪華絢爛な門を出た。さあこれからどうするか。全く考えなんてものは持たずに適当に飛び出てきた。




ここの城下町、もといこの国は荒れに荒れている。お金持ちが住む優雅な街中は本当に狭い範囲で、そこから先はスラム街だった。盗みに殺しは当たり前と言わんばかりの荒れようで、それを王族たちは見て見ぬふりをしている。




私の今のこの派手な服装ではスラムに行けばすぐに盗賊やらに狙われてしまうだろう。どこかの裕福な家に住み着かせてもらいたいが、王族とズブズブな彼らが聖女じゃないと断言された私を匿うとは思えない。




一か八か。スラムに行ってみるのも手かもしれない。だってもう残念なことに追放されてしまったのだから。きっと今頃馬鹿な王族たちは偽物の聖女に惚れているところだろう。もう本当の聖女の私のことなど気にしていないはずなのでどこに行こうか自由だし、まずまずこの国を出るためにもスラムを通過するのは必要なことであるとは明確なのでいつか必ず通る道だと後ろ向きになりつつある自分を鼓舞する。絶対あいつらを見返してやるんだから。


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