閑話

消化しきれなかったネタをSS調にして消化します。

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 美彩と晴と三人で付き合うようになり、今日も三人で外にデートしに出ていた。


 少し歩き疲れたということで、俺たちは適当なカフェに入って飲み物をのみなが談笑をする。


「そういえばね、あたしのお父さんって昔超モテてたらしくて、お母さんはお父さんの彼女になるためにすっごく頑張ったんだって」


「へぇ。あき……晴のお母さんでも苦労したって、どれだけモテてたんだろう」


「蓮兎くん。私の気のせいかもしれないけれど、晴のお母様のことを知っているような口ぶりね」


「あ……いや、違う違う。晴のお母さんだから、綺麗なんだろうなって思って言っただけだよ」


「レン……それって、あたしのことも褒めてくれてる、のかな?」


「あ……うん。晴のことは可愛いと思ってるよ」


「レン! えへへへへへへ」


「最近暑くなってきたけど、室内は空調が効いててよかった」


「……蓮兎くん。私の母も、とても綺麗なのよ」


「え、うん。そうなんだ」


「……私には言ってくれないのかしら」


「も、もちろん美彩も綺麗だと思ってるよ。だけど今日は……」


「むぅ……」


「……そう。分かったわ。そういえば、私の母も言っていたわ。父は常に多くの女性に囲まれていて、父を落とすのは大変だったと」


「はあ、美彩のところもか。まあ美彩のお父さんかっこよかったもんなぁ」


「レン。どうして美彩のお父さんのこと知ってるの?」


「あ……それは、あれだよ。お父さんが美彩のことを車で迎えに来たとき、たまたま見えたんだよ」


「そんなこともあったわね。ふふ、懐かしいわ」


「ふぅん……」


 それにしても、二人のお父さんはどちらもめっちゃモテてたんだなあ。


 もしかしたら、うちの父さんも過去はブイブイ言わせていたのでは?


 家に帰った俺は、早速母さんに聞いてみることにした。


「ねえ母さん。父さんとの馴れ初め教えてよ」


「え、なに。藪から棒に」


「まあまあ。ちょっと気になってさ」


「ふーん。そうねぇ……あの人とは大学の同期なんだけど、あの人、母さんに一目惚れしたみたいでね。何度何度も『付き合ってください!』って頼み込んでくるもんだから、人助けのつもりで承諾しちゃって。そのままの流れで今よ」


 ……そっちかぁ。


 父さんは俺の父さんだったってわけか。血は争えないね。


「……まあ、あの時の判断に後悔はしてないけどね。さあさ、話も終わったところで晩御飯にするよ。蓮兎も手伝ってちょうだい」


「はーい。って、配膳くらいしかできないけど」


「はぁ。少しは家事を教えておくべきだったわね」


 母さんはぶつくさとそんなことを言いながら、父さんの茶碗を優しく拾い上げた。




* * * * *




 遠足で疲れた体をベッドに放り投げてそのまま過ごしていた夜、小井戸から通話がかかってきた。


『どもどもでーす、先輩! 遠足楽しかったっすかー?』


「結構楽しかったよ。ほとんどグルメ旅行だったけど」


『いいじゃないっすかグルメー。ちなみに、ボクもそんな感じでしたよー』


「あ、そうか。登山の後に鎌倉行ったんだっけ」


『そうっすよー。いやあ、鎌倉はやっぱり和を感じますねぇ。通りを歩いてるだけでワクワクしました!』


「小井戸は和が好きなんだな」


『うーん。特段好きってわけじゃないっすけど、なんか和ってだけで良くないっすか?』


「正直わかる。ないはずの記憶が思い起こされてノスタルジーを感じるんだよな」


『そうっすそうっす。なんなんすかねー、あの感覚』


「そういえば小井戸も食べ歩きしたみたいなこと言ってたけど、何食べたの?」


『いろいろ食べましたよー。中でも美味しかったのは、ソーセージっす!』


「ドイツじゃねえか。和はどこいったんだよ」


『いやいや、でもなんかお店がたくさんあったんすよ! それにめちゃくちゃ美味しかったですよー』


「へぇ〜。そこまで言われると少し気になるな。今度機会があったら食べてみるよ」


『そうしてみてください! 先輩は何食べたんすかー?』


「タコせんべい、生しらす丼、パフェ、アイス最中……」


『本当にめっちゃ食べてますねー』


「日向の要望通りに巡った結果だな。あとは夫婦饅頭ってやつ」


『……あー、なるほど。まあ江ノ島もたくさん歩いたと思うので、食べた分は動いたんじゃないっすか?』


「そうそう。エスカー乗って半分は楽したはずなのに、結構疲れたよ」


『江ノ島はほとんどアップダウンっすからねー。一応島なんで仕方ないっすよ』


「それもそうか。観光地だからそこまで身構えてなかったから驚いたよ。まるで登山みたいな……そうだ。今朝、小六のときの遠足を思い出してさ。あのとき、俺の学年は登山だったんだよ」


『……へえ、そうだったんですか。無事登り切れましたか?』


「なんとかなー。実は一つ下の学年も急遽こっちに合流してきたんだよ。それで、当時、学年を跨いだ交流行事で少しだけ関わってた子と一緒に登山することになって。その子に負けられない思いで頑張ったような気がする。……あぁ、当時のことを少しずつ思い出してきたよ」


『……その子の名前も思い出しちゃいましたか?』


「えっと……たしか、岩房いわふさだったような気がする。名字しか分からないや。そういえばその子、小田の彼女さんみたいにメガネかけてたなぁ」


『ま、まさか先輩。先輩は小田先輩の彼女さんにまで手を出そうと!?』


「変な誤解はやめてくれ。てかわざとだろ」


『詰まるところ、先輩はメガネ好きってことですか?』


「なにも詰まってないよ。すっかすかだよその推論」


『へへ、冗談ですよー。あ、そういえば先輩! ボク、その彼女さん……草壁くさかべさんから小田先輩について相談されたんすよ!』


「詳しい話を聞こうか。……大方予想はついてるけど」


『向こうは向こうで修羅場ってるみたいっすからねぇ。えっとですね〜』


 こうして俺と小井戸の通話は長い時間続き、終わったときには話し始めてから3時間経っていたのだった。

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