3ー④
「で、礼ちゃんは何を飼うか決めてきた?」
「うん。さくらさんが貸してくれた本で色々見て、メモして来たよ」
礼はスマートフォンを取り出し、メモアプリを開く。
お魚
ネオンテトラ
グッピー
コリドラス
エンゼルフィッシュ
水草
アンブリア
クリプトコリネ・バランサエ
アヌビアス・ナナ
「ん”~」
唯は礼のスマホに表示されたリストを見て軽く唸る。
「ど、どうかな……?」
「
「ぺぇはぁ?」
「理科で酸性とアルカリ性って習ったでしょ?アレがph値。ネオンテトラやコリドラスは5.5~6.5で弱酸性から中性寄り、グッピーは6.0~7.5の中性からアルカリ性寄りが適してるんだけど、この場合は6台をキープしておけばいいよ」
「魚によって違うの?phって」
「生息してる川や湖の水質だね。ただ、養殖されてる魚は元々の生息地と離れた環境で殖やされてるから水質は幅広く適応してるんだ」
「そうなんだ……ところでエンゼルフィッシュはどうなの?あのザ・熱帯魚って姿が好きなんだけど」
「ああ、こいつが一番問題なんだよ……」
と言うと、唯はエンゼルフィッシュの泳ぐ水槽を指さす。
「アルタムエンゼル、6000円……わぁ
「問題は値段じゃあないよ。高いのはアルタムだけで普通のエンゼルフィッシュは一匹300円くらい。それで見ての通り、エンゼルって結構大きいから、 小さな魚だと食べられちゃうんだよ。ネオンやアカヒレとは一緒に飼えないね。それにシクリッドっていうスズキ科の仲間だから気性も荒い方なの。グッピーは尾ビレがボロボロにされちゃうよ」
因みにエンゼルフィッシュに適した水質は弱酸性から中性だが、アルタムエンゼルはph5.0付近の弱酸性を好むため、水質の面でも混泳相手を選ぶ。
「そうなんだ……エンゼル (天使) って名前なのに」
「名は体を表すって言うけど、体しか表してないね。 同じシクリッドの仲間なら、小さい類だったらアカヒレやネオンテトラとも混泳できるよ。アピストとかラミレジィとかチェッカーボードシクリッドとかね」
「アピスト!さくらさんが繁殖させてた子達ね……あ、居た!」
と、礼はアピストグラマ・ナイスニィという魚の入った水槽をたまたま見付けた。
「……高いね」
「アピストも種類が多いからピンキリだよ。まずはネオンテトラから見に行こっか!」
礼と唯は小型魚のコーナーに向かう。
「あ、これこれ。 赤と青のお魚!」
ネオンテトラは南米に分布するカラシン科の小型魚であり、先のエンゼルフィッシュとともに熱帯魚関連の商品パッケージ等に多く用いられる、熱帯魚の象徴とも言える魚だ。
「それはカージナルテトラだよ。ネオンはこっち。 ネオンより赤い部分がちょっと長いでしょ?」
「あ、ホントだ!?そっくりだけど、値段はこっちのカージナルの方が少し高いんだね」
「飼い方は殆ど変わらないから好みで選ぶといいよ。 小型カラシンは色んなのがいて飼いやすいのが多いから、ネオン以外も見てみたら?」
唯に促され、礼は店にいるカラシン達を見て回る。
「ラミーノーズテトラ、ダイヤモンドテトラ、プリステラ、モンクホーシャ……ブラックファントムテトラ!?すごい名前だね!」
ブラックファントム程度で驚いていては、プレコの仲間─サタンプレコやゴールドエッジマグナムプレコはもっと凄いぞ……などと思いながら、唯は初心者のアクアリストが初めて見る魚たちに興奮する様子は、いつ見てもいいものだと思った。
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