神を名のる者から力をもらったので世界をより良くしたいのです

@adgjmpsw

第1話

 帝国ヒューリット地域


 [ぼっちゃま、今日もまたでかけるのですか、貴族としての責務を果たされませ。]


 怒鳴りなが執事のセバスが少年を追いかけるが少年は無視して、剣を手に取り防具を付けず屋敷から旅立つ。


 [護衛の皆さん、今日も頼みましたよ。くれぐれも、ケガをさせないように。旦那様に知られれば皆さんの首がとびますよ。]


 そう言われた3人の護衛係は慌てて少年の後を追う。


 帝国軍の精鋭部隊から派遣された、剣士職のワッケイン大尉をリーダーに、タンク職のゴルド中尉そして紅一点の魔法職のキイラ中尉。この小隊の任務はヒューリット領主兼帝国宰相オスカー.ヒューリットの三男ショウ.ヒューリットの護衛である。


 ショウは、現在帝都の帝国大学校の生徒だが、留年と休学を繰り返し、周りから何を考えてるか分からない、貴族同士の交流もしない無能者として帝都から追放され、領地経営を学ぶため領主代理補佐官として実務実習生として領地に戻ってきたが全く働かず、領地は執事のセバスが領主代理として見事に成し遂げていて、無能な三男として、屋敷の人からはみなされている。


 そんな彼が毎朝出かける先がヒューリットダンジョン。


 かなり昔、まだオスカーが地方領主だったころ突然出現した地下ダンジョン。

 

 ダンジョンにはこの世界のモンスター全てを集めたような、危険なダンジョンだが、魔石、鉱石など宝の山でもあり帝国経済を完全に支配している。その結果、地方領主にすぎないオスカーが帝国宰相まで登り上がることがてきたのだ。


 危険なダンジョンに帝国貴族であり、宰相の子供が行く理由はただひとつ。


 自称デート。


 帝都からヒューリット家の恥として追放され、ヒューリット領地に戻ってきたとき、自分の世界が色づくのを覚えた。


 普通領地に凱旋となれば、豪華な馬車に揺られゆったりと、各地で土産でも買いながらかえってくるのだが、一般庶民と同じ馬車に揺られ、弾丸ツアーでの到着。だがショウは何も思わないどころか、誇らしく思った、貴族だからといって無駄なお金を使わないことに、貴族だからと驕ることなく庶民の目線を知れたことに。


 そして、屋敷に帰る途中で黄金の戦姫と出会う。

 

 輝くショートヘアでまつ毛、眉毛までも金色で、瞳は青く透き通る美しさ、目で追ってしまうほどの美しさだった。


 気がつくと屋敷に帰るのも忘れて、戦姫の後を追い、そしてダンジョンの中に入っていた。


 ダンジョンでは低階層には見向きもせず、4階層へ進む。4階層は帝国軍精鋭隊の大隊で攻略しないと不可能なレベルのモンスターあまり出来の良い剣とはいえない、むしろ弟子が練習で作ったような剣で、バターを切るようにらくらくとモンスターをたおしていく。


 その美しい姿。モンスターの体液でドロドロになりながらも、一心不乱にモンスターを倒す姿に恋をした。


 あまりに、衝撃的な事で時間を忘れてしまった。屋敷に帰ることを思い出して、ダンジョンから屋敷に帰る。多少はモンスターの体液で汚れたが、怒られるほどでは、ないと思っていたもが、執事のセバスから怒られ、呆れられたが、走り出した列車は止まらない。明日から領地経営学だの領主代理としての外回りだの知ったことではない。明日やることは、戦姫と同じ空間にいて、同じ空気を吸うことだ。それ以外は糞に等しい。

 

 次の日は、執事の言うこと全て無視して、戦姫が昨日通った道で彼女を待つと、昨日と変わらない彼女が現れる。


 そう、モンスターを倒して倒してドロドロの昨日のまま。


 昨日は目を奪われた群衆は、その姿と臭いで目を下ろし、鼻をふさぎ、離れた。


 だがショウは皆が離れる理由がわからなかった。


 あの数のモンスターを倒せば、魔石が大量に入る。いくら、足元をみられて、買い叩かれても、宿賃、公衆浴場代、服代は出るし、なんならかなりの手残りもあるはずなのに、同じ服装なこと、汚れていることをなぜ心配してやらないのかわからない。


 彼女に声をかける。


 緊張と心配から、声が甲高くなる。

 [ダンジョンで一緒だった、分かる俺のこと。大丈夫?]


戦姫からの返答はない。


 無視である。


 しかし、しつこく語りかけ、心配でダンジョン内までついて行ってしまうが、現在会話はなされていない。


 昨日同様4階層でモンスターを倒しまくる。


 そんな日が3ヶ月経っても会話は無いし、近づくとモンスターと間違われて剣を振られる。


 しかし、続ければなにか起こるものだ。


 戦姫が使ってた剣を渡してくれた。


 モンスターを一刀両断するバターナイフ。


 勝手に名付けたがなにか進展した気がした。


 今日こそ決める。


 告白すると決めたショウはダンジョンへ。


 [ショウ様、今日ダンジョンですか?我々はいつもの処で待機してますから、なにかあればもどってきてください。くれぐれも、お怪我なされませんように。セバスさんにばれたら屋敷に閉じ込められますよ。]


会釈をして、理解してることを表してショウは、ダンジョンへ入っていく。


 3人の護衛はダンジョンには入らず、外で代わり番こにショウの帰りを待つ。


 ダンジョンには、決して入らない。


 宰相オスカー.ヒューリットからの任務と聞いて、心踊らせていた、ワッケインだったがヒューリット領地勤務と聞いたときは、中央から左遷させられたかと思い、貴族から恨まれるもしくは、庶民でありながら、帝国大学校を七番で卒業したせいで貴族たちの親のご不快を招いたのかといろいろ考えたが、まだ実力主義の帝国には、そこまでの差別はないと思うワッケイン当時中尉であった。


 到着そうそうにワッケインは大尉に昇格してこれまた、優秀と噂のゴルドとキイラを部下に持つことになり、左遷ではなく、特別任務であることを理解した。

 

 ゴルドはタンク職なため全身防具に身を包み、そのせいか、ゴリゴリの筋肉で壁のような存在感をもち、防御魔法にもすぐれており、4期後輩にもかかわらずワッケインの全力の攻撃も全て無効化する。


 ゴルドを倒すには、ゴルドの魔力切れまで粘るしかない。ゴルドも少尉から中尉に昇格している。


 紅一点キイラはゴルドと同期で魔法使いである。支援魔法から攻撃魔法全てを扱えてさらに、希少な回復魔法も扱える万能魔法使い。


 キイラは、普段鍛えるような訓練をしない研究者タイプなため、引き締まった身体というか、やや肉付きが良いため、逆にエロく、ボン、普通、ボンの体型だ。


 小隊としては、強者の部類に入るワッケイン小隊であるがダンジョン4階層は、死地となる。

 

 初めての護衛では、守らべき対象をダンジョン内に放置して、命からがらダンジョンを出た。

 

 それ以来、ショウ様を外で待つことしかできない。


 今日も死地に平然と入っていくショウ様を見て、危険なのに、その素振りがないので以前ショウ様が言っていたダンジョンデートしてるだけだからねとニッコリ笑う少年の顔を思い出しながら見送る。


 ショウは戦姫に話しかけながらいつも通り4階層へ進む。

 

 [僕は、ショウ。覚えてくれた。今日の昼はローストビーフ丼だよ。こないだ食べたそうに見てたから今日は2つあるよ。一緒に食べようね。]


笑顔で話しても、返事はなく近づくとおそいかかられるので適度に距離をとる。


 昼飯も倒したモンスターを食べているので、最近は、お弁当作戦で興味を誘う計画だが、成果はまだない。


 今日もいつものように、モンスターを倒しながら、下へ下へと階層攻略をしているが、今日はいつもとは違った。


 五階層まで進み、フロアモンスターではなく、階層ボスのボス部屋を目指している。


 ボス部屋を重厚で真黒な扉を開けてボス部屋に入っていく戦姫。

 扉の向こうに見えるのは体長十メートルを越えるであろうデーモン。


 本でしか見たことがない存在。ただヒューリット領地の民は全員しっている。このデーモンを。ダンジョン入口の受付には、初めて、ボスデーモンを倒した、フェルマーが持って帰ったデーモンの剣とデーモンの盾が受付入口に双璧をなして飾られている。


 デーモンを倒したものは、英雄級の実力としての称号と帝国の将軍としての地位を獲得できる。生まれ、身分関係なし、実力主義の帝国の由縁だ。


 戦姫に遅れて、ボス部屋に入ると扉が締まり、思い空気が立ち込む。 


 [久しぶりの挑戦だ。暇してたぞ人間。]


 いつもモンスターを倒しているように剣で一の字に斬りかかるが、受け流され、弾き飛ばされる。


襲いかかるデーモンの攻撃。

 

 デーモンが剣を振るだけで地面はえぐれ、風圧で近づくこともできない戦姫。


 戦姫の身体が青緑色に光り、浮遊する。


 [風魔法で浮遊するとはなぁ。貴様魔剣士だな。んじゃ、上位魔法対策はできないな。魔剣士は、魔法も中途半端、剣術も微妙だからなぁ]


[死ね。 上位魔法デーモンファイヤー]


戦姫の周りの風魔法をも呑み込み、さらに大きくなるファイヤーが戦姫をつつみこむ。


 デーモンは突進して、剣での一撃が炸裂する


 [防御魔法でも、完全には防げないよね。いつまでもつかなぁ。ヒーヘ]


ドーム型のバリアで自分を守る戦姫。


 デーモンファイヤーを喰らった戦姫は服は焦げ、右手がやけただれている。 

 

 左手で防御魔法を張っているが、デーモンの連続剣でバリアに亀裂が。


 ここでショウはあることに気づく。


 前日戦姫からバターナイフを投げて渡してきたこと。


 もしや試されている。


 今ここでデーモンの後ろを攻撃する。そのためのバターナイフであり、戦姫の防御はデーモンの気をそらすための作戦。


 ショウはデーモンの後ろから渾身の一撃を当てる。


 


 

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