第5話(最終話)「機械オイルと神様とチート能力」

機械の体を手に入れた私は生前の二十倍働いた。


十年後。


「やはり仕事のあとの高給オイルは最高ですわ〜〜!」


十日間連続で北の森の魔物を倒したあと、王都内の孤児院を周り、学園で特別講義を終え、国際会議に参加し、建国パーティーに参加し隣国の大商人と絹の独占売買の商談をまとめた私は、六徹して執務を片付け、バルコニーで高給オイルの入ったグラスを片手に朝日に乾杯していた。


太陽の光が眩しい。


三倍目のオイルを口にしたとき、


「グハッ……!」


口からオイルが漏れ、グラスが手をすり抜け床に落ち砕け散った。


機械の体が倒れバルコニーの手すりを乗り越え、地面に落下した。


……それはやはり善意だった。


陛下の用意した体の動きの良くなるオイルと、殿下の用意したのど越しスッキリオイルと、聖女様が用意した体内の汚れが落ちるオイルを立て続けに飲んだのが良くなかったのだろう。


私の体は地面にめり込んだまま動かなくなった。


だめよ……この体を作るのに、国家予算何年分の経費を使ったと思ってるのよ……。


まだ、まだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだ……働かないと……元が取れないわ。


元を取るまでは死ねないんだから……あと百年は不眠不休で働かないと……。





☆☆☆☆☆





そして後悔を残して死んだ私はまた神様の元に行くことになる。


今度は殿下と聖女様の子供として、眠らなくても死なない、あらゆる言語に精通し、一億桁の算術を一瞬で暗算でき、速読と瞬間記憶能力を持ち、人様の一万倍早く事務仕事をこなすことが可能で、ゴーレムを素手で砕ける怪力と、ドラゴンの灼熱のブレスを浴びても火傷一つ負わない強靭な肉体を持って生まれてくることになる。





――終わり――




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「私は善意に殺された〜皆様、余計なことしないでくださいな!」完結 まほりろ @tukumosawa

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