いちいち言い回しが淫靡だなあー

 よし、あっちがその気なら、こっちはエルフ達の戦力化を急がないといけないな。

 しかし資材に不安が残る。70人分のエルフの武装、となると現状の素材では十分ではないな。



「どうやらお困りの様子。 機人様のように輝ける星も、寄る辺なき迷いが御座いますのね」


 俺に声をかけてきたのはデドリーだ。

 え、このエルフ、機人の表情が読めるの?!


「うっせぇお前!機人様が迷うわけねえだろ!おらっ!おらっ!」

 パァン!パァン!パァン!

「あっ痛いっ痛いですわっ♡あっ、やめっ♡」

「へへっ良くなってきたみたいじゃねえか!!」


 どこから現れたのか、ミリアがデドリーに執拗なローキックを放つ。

 向こう脛をうたれる度に上がる、その嬌声がやけにエロイ。遠巻きに見てる男共もちょっと前かがみになってるし。


「……よせ、ミリア。構わんデドリー、何か策があるのであれば申せ」


「フゥ……暴れん坊ですのね。まだ体の奥がジンジンしてますわ。では……」


 いちいち言い回しが淫靡だなあー。


「この地、ケーニヒヌベルグは、ダンジョンから得られる資源で発展していましたわ」

「そのダンジョンはケーニヒヌベルクの地下墓地、その深くにあったそうですわよ」


 へえ、地下墓地か。アンデッドとか出てきそうだな。

 この世界のモンスターってまだそこまでみてないから、ちょっと面白そうだ。この体ならおくれを取るってこともそうないだろうし。


「言わんとすることはわかった。そのダンジョンを探索、資源を得ればこのポトポトのエルフ全員に十分な武器をいきわたらせることができるということだな?」


「左様に御座います。」


「それで、肝心の場所だが、どこにあるのだ?」


「機人様、恐れ多くも、発言をしてもよろしいですか?


 ミリアは先ほどの狂犬っぷりがウソのように穏やかになっている。


「……申してみよ」


「なんか射撃場の拡張のために掘り起こした地面の先が、ダンジョンだったので、私たちが普通に訓練に使ってます。」


「……そうか」


 そう言えば最近、射撃場にいってるのに、使ってるエルフが少ないな―?へんだなって思ったら、そんなことしてたんかい!


「では、そのダンジョンに行くとしよう。ミリア、随行を許す。」


「へぇぇぇぇぇぇぇ!」


「あら、私も随行を許してもらえませんか?こう見えても、そこそこ戦えますのよ」


 デドリーが取り出したのは、真鍮製の天宮儀。それがガパリと開いていくつもの小さな戦闘機みたいな機械が浮いてデドリーの周りを漂っている。

 ほんのりと光っているがまさかこれは攻撃用ドローンみたいなやつか?

 ピュンピュンと光弾を放って豆腐ハウスの壁にそれなりの大きさの穴を穿つ。


 ミリアがデドリ―に再度ローキックを放つが、すごいな、ローキックじゃなくてドローンが。


 この世紀末世界でデドリーが生き残れているのは、十中八九あれが理由だろうね。

 まさか『魔法』まであるとは思ってもみなかった。

 とはいえこれはあくまでもテクノロジー由来で、魔法に見える、と言うだけっぽいが。


 しかしこれならなかなかに心強い、性格はかなりアレだが。

 俺は何人かの武装したエルフも伴って、訓練場の地下にあるダンジョンとやらに降りていくことにした。

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