かくあるなら
〈Ⅰ. だってかくあらねばならぬ〉
人は誰もが鎖に繋がれている
それは自分にとって良い悪い無関係に
誰かが決めている
“こういうふうに在れ”と
誰かは誰かだ
とにかく以前の誰か
エリートは性格が悪い、
ということになっていないと困るんだ
それだけ自分は性格がいいんだと信じられるから
東大生の家はお金持ち、
ということになっていないと困るんだ
だから自分は東大に行けなかったんだと信じられるから
そしたら自分の頭の悪さや努力不足を無視できるから
最近の若者は、と嘆く方が楽なの
あの世代では、と一括りにする方が楽なんだ
そしたら一人一人と向き合わないで済む
人生いろいろという事実は面倒臭いから
〈Ⅱ. でもかくあれかし〉
個人的に頭が悪いだけなのに
男だから仕方がない
自分自身の性格が悪いだけなのに
女だから仕方がない
田舎者だから仕方がない
都会人だから仕方がない
日本人だから仕方がない
人間だから仕方がない
男が女に奢るのは当然で常識で普通で、
女が家事をすることは当然で常識で普通で、
それはなぜ?
“そういうことになっているから”?
それ以外の可能性や選択肢を悩むのが面倒だから?
つまり楽な方へ楽な方へと逃げている?
老人だから小難しいことはわからない、
と言っておきながら老人扱いするな
どっちも間違ってない どっちも正しい
ただ人は楽な方を納得する
〈Ⅲ. かくあるなら〉
オムツ替えが女子トイレでしかできないなら
それは男性差別でもあり女性差別でもある
だって子育てを一方の仕事だと思ってるんだもの
嫌なんだ 嫌なんだ
仕様がないやで済ますのが嫌なんだ
闘わず許すのが嫌なんだ
全部遺伝子に決められている
何もかも遺伝子次第
だから努力は無力
頑張ったってどうせ遺伝子には逆らえない
ぼくは牡牛座だから、
ぼくはAB型だから、
ぼくは中間子だから、
だからぼくはぼくが目指すものにはなれないんだ、
だってそれが運命だから
なんてのは夢を諦める理由にはならない
人は誰かが決めたことに従っている
誰かは誰かだ
“みんなこう在れ”と決めたいつかのどこかの誰か
僕らはそいつに支配されている
だから、それが嫌なら
君は解放されなければならない
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