第2話朽ち果てた仲間
優菜が眠っている間に亜実は次々男狩りをしていた。
マッチョ王国に住む男臭い輩は全て居なくなり、紫色のお花畑が美しくそして住む人達はそれに似合う姿の人々のみとなった。マッチョ王国から完全にラベンダー王国となった。
ラベンダーの素敵な香りが優菜の部屋に漂いようやく意識を取り戻した優菜。
世話役メイドのあみちゃんが優菜に声をかけた。
「優菜隊長…あぁついに意識が戻ったのですね。」
優菜は起き上がり辺りを見渡す。
「ここは病院ですか?…私は確か…うぅ…頭が痛い…。」
頭を抱えるようにおさえ痛みに苦しむ優菜。
「まだ寝ていてください…亜実様に報告してまいります。」
メイドのあみちゃんは部屋を出ていき亜実へ報告に向かう。
報告を受けた亜実は急いで優菜のもとへ駆けつけた。
「優菜…良かった、目が覚めたか。」
優菜は起き上がり亜実を呆れ顔でみていた。
「亜実様…メイドのあみちゃんは亜実様ですよね?…ご心配して頂きありがとうございます。」
照れる亜実。
「優菜、私は悲しかった…どうしてあんな猿に心を惹かれてしまったの?…でももう良いわ…猿はこの世にもういないからね。」
優菜はさらに頭痛がおきた。
(うぅ…頭が割れるように痛い…ふぅ、助かった…俺は生きてるみたいだな…なるほど、さてここから出るにはっと。)
「亜実様…私は大丈夫です…また亜実様の為に戦います。」
ユウアの意識で話す優菜。
亜実は衝撃的な言葉を発する。
「戦いは終わった…この国にはラベンダーの香りがする美しい者しかいない…モテナイルーズのカス達もすべて排除した…安心して良いわよ。」
ユウアの仲間達モテナイルーズマッチョ支部は全て壊滅した。
ショックを受けたユウア。
圧倒的な力の差を感じとったユウアは逃げる事にし、となりの国ムキムキ国の支部へ向かう方法を考えていた。
いつも近くにいる女王亜実。
夜になるとメイドのあみちゃんから亜実として宴に部屋を出ていく。
ユウアはその隙を狙い部屋を抜け出した。
警護隊の目が光る中、なんとか出口までたどり着く。
ぬかりの無い亜実は副隊長幸子のさっちゃんを出口の前で警護させていた。
ユウアは優菜の記憶を使いさっちゃんに声をかける。
「幸子さん、お疲れ様です…あんパン買ってきましょうか?」
実力は優菜より上のさっちゃん。
「あら?…お身体は大丈夫?…ついでに牛乳もよろしくぅ…顔だけ隊長さん。」
ちっちゃいくせにやたら高圧的な副隊長。
「はい、いってまいります。」
そしてそのまま出口から出たユウア。
ひどい光景が目に入ってくる。
共に戦い瞬殺された仲間達、あ、い、う、ケンの朽ち果てた姿がそこにあった。
(すまない…腐り過ぎて誰が誰かわからないが今は埋めてやる事はできない…。)
目を背けユウアは歩いた。
「亜実様…優菜隊長は奴らの姿を見ても反応なしでしたわ…お考え過ぎじゃあございませんか?」
高性能無線機で亜実に報告するさっちゃん。
優菜は亜実の事をよく知っている。
亜実は疑い深い。
もし仲間の姿に反応してたらユウアは捕まっていた。
ムキムキ国への距離は少し遠い。
ユウアの意識は優菜の意識と戦いながら歩く。
(ぐぅ…意識がぁ…やめて…本当はもう嫌なの…戦うなん…うぅ…仲間をよくも…許さねぇ…ぐぁ…もう争いは…うぅ…引っ込んでろよ…ふぅ。)
ただ純粋にユウアを愛し、のちに二人で隠れながら生涯を過ごしたい、優菜はそう思っていた。
だがモテモテ男のユウアは他に女を作りとっかえひっかえを繰り返す。
優菜はとうとう耐えられなくなりアルコール度数98%のやけ酒をしてしまった。
その結果、優菜は急性アル中で亡くなってしまう。
もう争いごとはしたくない優菜。
ユウアは仲間を集めお釜帝国を壊滅させる事を考えていた。
一人の優菜の身体の中で痴話喧嘩する二人。
意識はユウアに落ち着きムキムキ国内に入っていた。
国を支配するのは、ムキムキお殿様三十八代将軍細家
を倒した、美人琴師もえが支配する。
小一時間の長旅でお腹がすいたユウアは近くにあった団子屋に寄ろうとした。
その時店のガラスを突き破りウィッグのとれた女装男子が道路にふっ飛ぶ。
団子屋店主お団子頭のもえの手下もなか嬢がハエたたきを持ち道路にでてきた。
「俺の釣り間違ってるだなんて、あなたは本物の女装家じゃないわ!モテナイルーズの回し者ね?覚悟!」
ハエたたきにあんこがまわりつく。
「お命頂戴小豆の舞!」
倒れたニセ女装家の口にあんこを詰め込む。
「う…い…息…。」
窒息しそうなニセ女装家。
ユウアは無我夢中でお団子頭にタックルをした。
「早く逃げるぞ!」
ユウアはニセ女装家を立たせ走る。
「ぺっ…ぺっ…どうして女性のあなたが俺を助ける?」
走りながら優菜のユウアに聞くニセ女装家。
「俺は女じゃねぇ…モテナイルーズって組織知ってるか?」
…
「知ってるもなにも俺はムキムキ支部長の片親ケンってんだ…あなたは?」
…
「俺はユウアだ、マッチョ支部長やってた。」
…
「おぉー!仲間じゃないか俺達のアジトへ行こう!お礼もしたい…こっちだ!」
追ってが来ない二人は急いでムキムキ支部アジトへ向かった。
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