第11話 魔法使いとザマァ3

 肉に一発、強烈なスパンキングを食らったザマァは低くうなり声を上げながら目を開く。

 

 その瞬間だった、波打つ腹にズドンと馬乗りになるオソイ!


「うぐぅ!?」


「みなさん近寄らないでなの!ザマァ君の生殺……膀胱与奪ぼうこうよだつはオソイが握っているなの!!!」


 そう言って、自身の腰につけたバッグから何かを取り出そうとし――その手をザマァが握って止めた。


「ちょっとザマァ君!まだオソイは何もしてないのです!」


「いやいや!何かしようとしてるだろ!膀胱与奪ぼうこうよだつって何だ、またよくわからん魔法薬コード・ドラッグか!?」


「違うのです!というかそもそも、今回はザマァ君が悪いのです!オソイが戻ってくるまでは飲まないでってお願いしたのに!」


って……まずオソイ落ち着け!ステイ!」


 ザマァは暴れるオソイを取り押さえる。

その様子はまるで、サーフボードの上にうまく乗れないサーフィン、もとい膀胱ぼうこう初心者のよう。


「副作用はこれから確認する予定だったのです!まさか『銭湯にあるマッサージチェアにわざわざコインを入れて座りたくなる副作用』だとは思わなかったなのですが!!!」


「なんだそのライア嬢しか得しない副作用!」


「なにかなーザマァさん?呼んだかなー?」


「うわぁいる!?というか王女と

255の命題クリティカル カウンター』もいる!?おいオソイ!何やったお前!」


「何って……それはぁ……」


「オソイ様、先程貴女は『自分が犯人だと言うなら証拠を出すのなのなのなのですぅ』とおっしゃいましたわよね?」


「言いましたなのなのなのなのですぅ!」


 オソイはザマァの腹に立ち上がる。その様子はさながら、それなりの波なら乗りこなせるようになったサーフィンもとい膀胱ぼうこう中級者のよう。


能力コードは使用すれば能力紋コード・プリントが残ることくらい貴女はご存知でしょう?つまり、ザマァ様が飲んだ瓶の能力紋コード・プリントを調べれば――」


「瓶にそこの魔法使いが細工をしたかはわかるってコトか。ふーんやるじゃんパルファ妹!」


「あっ!うううぅ……」


 オソイは泣きそうになりながらザマァの揺れる腹を完璧に乗りこなす。その様子は例えるならば、どんな荒波をも制覇するサーフィンもとい膀胱ぼうこう上級者のよう。


「ち、違うのです……そんな、膀胱ぼうこうを破裂させて殺そうなんて怖いこと……オソイはただ、に……」


「あー……お前に貰ったアレ、やーっぱり魔法薬コード・ドラッグか。ならよかった!俺まだアレは!」


「「「「はぁ?」」」」


 その場にいた女性陣全員から声が出た。

 巨大乳に頭を何度も押し付けられる新手の拷問を受けていたカワイは、どちらかと言うと「まだ終わらないのか」という溜息ためいき寄りだったが。

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