第9話 魔法使いとザマァ1
〜BGM:むちむちプリンセスのメインテーマ 悲しみのお説教version〜
「
相棒のカワイイヨと温泉に入っていると、『
カワイイヨを助けるのに夢中になっていた
ぽんと肩を叩かれ、気がついたら……
説教部屋に連行されていましたわ!
夢中に霧中なプリンセス、略してむちむちプリンセス!華麗なる推理劇、ザバっと整えて見せましょう!
というわけで現場ですわ!ご覧なさいカワイイヨ!」
「えー!」
長い口上をガン無視し、雑に驚いたカワイの目に飛び込んできたのは。
並べられたマッサージチェアの群れ、その一つにぎゅうぎゅうと苦しそうに詰まり、全身を揉みしだかれながら意識を失う大男――ザマァだった。
「やはり起きてしまいましたわね――第二の惨劇が!」
「どこが?これ寝てるだけでしょ、イビキかいてるし」
ザマァは大きなイビキをかきながらマッサージチェアに座っていた。傍らの机には一本の牛乳瓶置かれており、半分中身が残っている状態である。瓶の表面には
「お風呂に入ってマッサージチェアに座りながら何か飲んで気持ちよく寝てるだけじゃないですかこの人」
「甘いですわねカワイイヨ。今この状態こそザマァ様は犯人の
「じゃあさっさと殺される寸前の人を助けましょうよ、それで解決じゃないですか」
「そんなことよりもやらなくてはいけないことがありますのよカワイイヨ。おわかりですか?」
ネージュはカワイを抱き上げたまま現場に集まっていた三人の目撃者の名前を呼んだ。
「
そして、受付のテラ悪魔と名高きトップ受付嬢ライア様!
最後に!第一発見者にしてザマァ様と同じ勇者パーティのメンバー……魔法使いオソイ様、でございますわね」
「現状を見ている人が三人もいるのに誰もこの状況がおかしいと思わないんですか?」
「いや、あたし含めてこの場の全員この人は寝てるだけって認識してるしー。こんなことに内線使わないで欲しいんですけどー?というか無職ちゃんも元気そうなら仕事戻っていいー?」
「実はだいぶ元気じゃないです。頭はくらくらするし
カワイは胸か胃か判別のつきかねる胴を手で抑えながら「この変態王女から助けてくれ」と
だがその訴えは誰にも受理されることはない。
「現在、ザマァ様は犯人の
「まごうことなき真実に辿り着いてるじゃないですか」
「それが犯人の罠でしてよカワイイヨ!この殺人はザマァ様がこのまま放置され続けることで成立するのですから!」
「じゃあ早く助けなって」
「そして――
ネージュの顔つきが変わる。
「いやだから」「流石パルファの妹だな!よくわからんが、ワタシは面白そうだから付き合うぜ?」
カワイの言葉を遮りカルカリアが
「では、早速始めさせていただきますわ!アテンションプリーズ!ゴングをお持ちの国民様はいらっしゃいまして!?」
「イエッサー!ここにいるなのです!」
勢いよく王女の膝下にスライディングしてきたのは三つ編みに丸メガネがよく似合う、いかにも魔法使いといった風貌の少女。
「オソイ様でございますわね、ご
「やったー!王女のゴング持ち!人生で一度はやってみたかったのですー!」
カンカンカン!鳴り響くゴング!宙に浮く外套!
「夢中に霧中な謎解きプリンセス!第二ラウンド開幕ですわー!!!」
セレニテ・ルマエの一角で高らかに行われる開幕宣言!始まるは華麗なるや推理劇!
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