第5話 勇者とザマァ4

「うぷ、え、死?」


「はい、この露天風呂の外、魔族が出ますの。彼らは無差別に襲いかかってきますから戦う術をご存じでない転移族の貴女は死んでしまいますわよ」


「ぶっそう」


 乳房に捕らえられた囚人カワイイヨは力ずくで脱獄しようとするが、看守の手で頭をがっしりと抱え込まれているため動けない。


「実質選択肢はないってことでいいんですかねぇ、このバインバイン。て、か、どこ触ってんです!?」


「うふふ、ありがとうございます!やっぱり探偵には気の置けない相棒セコンドが必要ですわよね!こんな所で出逢えるなんて、わたくし感激です!」


「気の抜けないの間違いだ、相棒セコンドなんてものになった覚えはないいっつ!?ばか、なにスカートに手入れてんの変態!?」


「うーん……?まあこんなところですわね。満足しましたわ!さあツイホーケイ様達を尾行しましょうか!カワイイヨ!」


 ぱっと手を離され、釈放しゃくほうされたカワイはその場に崩れ落ちる。そして、真っ赤になりながらそびえ立つ下乳を睨みつけた。


「こんの……!ルミエーラ王国民はみんなこんなコトしてくるのか!?これも常識!?」


「そんなわけないではありませんか、我が国の国民に偏見を持つのはやめてくださいませ!」


「じゃあ今のセクハラはなんだったんだよ」


「んー。自分のであれ、他人のであれ、白くてすべすべのお肌を触るのはみんな好きだと思いますわ。少なくともわたくしの家族はそう言ってましたわよ?」


「露出癖に加えてうら若い乙女の柔肌を揉みしだくのが好きとか、王家の性癖歪み過ぎだろ。性癖大国ルミエーラなる場所がどんなものか、一目見てみたいくらいですよ、全く」


「ご安心くださいませ、ツイホーケイ様達の行き先であるギルド・アノニムがあるのはルミエーラ王国ですから。この後すぐ!に我が王国をカワイイヨのお目にかけてやりますわ!」


 ネージュはグッと親指を天に突き立てる。カワイにとっては実質死刑宣告も同義であった。


「あー…………もう、そうですか!たのしみーたのしみだなー」


「それは何よりですわ!では早速、参りましょうか!捜査開始ですわよ!」


「……とりあえずわたし女湯にバッグ置きっぱなしなんでそれ取ってきます」


「あら、異世界から持ってきた荷物あるのですか!?是非ぜひ後で拝見させてくださいませ!そちらの世界の書物は非常に興味深いのですわ!」


「絶っっっ対ヤダ!!!誰が見せるかハレンチプリンセス!」


 こうして、一般異世界転移少女カワイイヨと夢中に霧中なプリンセス、略してむちむちプリンセス、ネージュの湯けむりに包まれた事件を追う長い永い物語が始まるのだった。


「そうですわ、せっかく相棒セコンドになったのですからわたくしのことはむちむちプリンセスか或いはネージュ、と気軽に呼んでくださいませ♡」


相棒セコンドになった覚えはないですから。はあ、なんでこんなコトに……うう、お家帰りたい!!!」




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