6時限目 智香
想えば、その日の瀬川は少しおかしかった気がする。
たとえばそれは、少し鼻がかった声をしていたことだったり、時々する咳だったり、ノートを取らずにぼうっとしていることがあったり。
なのになぜ、彼女は保健室に行かなかったのか? そんなの、少し考えればわかることだ。
転校したてでひとりもちゃんとした友達がクラスにいない瀬川が体調不良になったとして、ろくに話をしたことのないクラスメイトに対し、いきなり「体調が悪いから保健室に案内してくれますか?」なんて言えるだろうか。
もちろん、言える人もいるだろう。でも、人の顔を見て話すことが苦手なあの瀬川だ。そもそも、そんなことを平気で言える性格ならとっくにクラスに馴染んでいることだろう。
そう、だからこれは隣にいる私が気付いてあげるべきだったんだ。
6時限目の授業、美術の時間はオリジナルカップ作りだった。美術の先生は私たちの担任だ。 初めに担任は生徒たちを黒板の前に集め、作り方を黒板に図示したり、作業台に置いた上で実践をしながら私たちに説明したのち、各自で自由に作業に入った。
美術の授業には決まった席順は無く、また仲間と相談したりすることも認められているため、ある程度の私語は認められている。
よって休み時間と同様、仲良しグループが集まる形になる。私と由花は教室の一角に隣同士に座ると話をしながら真新しい粘土をこねはじめた。粘土のやわらかくてひんやりとした感触を楽しみながら、いつにも増してご機嫌な由花がたずねる。
「ねえ、ともっちはカップの模様、やっぱり猫の肉球にするの?」
「え? ど、どうして?」
不意打ちをくらい、あからさまに動揺する私を見て由花が笑った。
「あはは、やっぱりな。だってともっちって、猫のこと超好きじゃん♪」
そう、親が猫アレルギーで飼うことができないためか、私の猫に対しての想いはちょっとしたものだった。そしてそのきっかけとなったのが肉球の、あの得もいわれぬ感触だったり…だったり……だったり………(以下エコー)
「ともっち?」
「な、なあに?」
「いや、ぼーっとしてたからどうしたのかなって」
「な、何でも無いです」
首を傾げながらたずねてくる由花に即答し、さっさと手元の作業に没頭する、ふりをする。
由花の好奇な視線に内心焦りながら、それでも視線を外すまで何とかポーカーフェイスを保とうとする。
がんばれ、私!
由花が視線を外すと小さく息を吐いた。
がんばった、私!
由花がぼうっとしていると思っていたとき、私の頭の中には一匹の黒猫がいた。その黒猫は私をじっと見据え、黙って肉球をこちらに差し出して、私は……ふにふに、ふにふにふにふに……こ、これ以上は赤面しそうなので思い出すのをやめておく!!
私は少し俯いて唇を噛みしめてから、由花にたずねた。
「ゆっこは、カップの絵柄、どうするの?」
「妖精さんを描きます」
そんなことを平然と言ってのけ、実行しようとするところがまた、ゆっこらしい。
この子は本当、天使やエルフとか、メルヒェンなものが大好物なんだ。
「そうそう、旭さんはヒエログリフを描くんだってさ、すごいよねぇ」
ゆっこが何か関心している。
「へえ、ひえろ……ぐりふ、ねえ?」
何それ? 頭の周りに疑問符を浮かびあがらせながら私は教室を見回した。
担任は教室を歩き回り、ときどき生徒の質問に応えたり、指導をしている。
バカな男子生徒が粘土の投げ合いを始め、その流れ弾がひとりで黙々と作業をしていた女子生徒の指先に当たり、整形し始めていた手元の粘土が
女子生徒は一瞬固まり、肩をしょんぼりとさせていた。
その前の席ではやはり眠っている獅子が一匹。瀬川を見るとその隣には旭がいて、何やら話しかけていた。旭の言葉を借りるならば、それはリサーチというやつだろう。
瀬川は話をふられる度にびくりとして、俯いてしまう。
まあ、でもよかったのかな、話し相手は出来たわけだし。そう思い、顔を逸らそうとしたとき、ふと映るものがあった。
旭が手元の粘土に意識をやっているとき、顔を僅かに上げ、 粘土をこねる瀬川の横顔がいつもより少し青ざめて見えた……気がした。
「ともっち、瀬川さんがどうかしたの?」
振り向くと由花の瞳が思いのほか近くにあり、どきりとして身を引いた。
「あ、ううん。何でも無いよ」
作り笑いをするとさっさと作業を再開する。
由花は少しの間、私を見ていたが、何かに気付いたのか「あ」と声を上げ、ぼそりと呟いた。
「猫…だ」
猫とだの間は時間にして一秒と無かったが、それまでに私は由花に向き直り「どこっ!!」
と聞いていた。由花が人差し指で示す、その先は……。
「瀬川さん?」
由花がこくんと頷く。
「うん、瀬川日和さん。ひよりんでも可」
勝手に決めるな。それよりどういうことだろう、意味がわからない。
「何で、瀬川さん?」
「瀬川さんは瀬川さんだよ?」
「いや、そうじゃなくて」
「カップに、猫のイラスト描いてる」
そう言われて見てみると、確かにカップには大きな猫の顔が描かれているようだった。
へえ、あの子も猫好きなのかな。よし、ちょっと見せてもらおう。
私は席を立つと瀬川の方へと歩き出す。私が近づくと、瀬川がすぐにそれに気付き、俯いてしまう。ちょっと猫っぽくてかわいい。
旭は腕を組み、にやけながらこちらを見ている。こっちはいつも通りウザいな。何だよじろじろ見るなよ。旭を睨みつけながら瀬川の席へ向かう。
席まであと少しというとき、鈍い音を聞いた。
瀬川が額を机にぶつけた音だった。
近くの席にいた女子グループのひとりが小さな悲鳴を上げ、困惑しながらもちらちらと瀬川を見ている。それは教室中にあっという間に広まり、さきほどまでの和やかな雰囲気が一転、ざわざわと灰色の声に変質していく。
瀬川のところに着いたとき、旭が額に当てていた手を離した。
「瀬川さん、どうしたの?」
いつの間に来たのか、担任がすぐ隣に控えていた。
「熱があるみたいです」
旭に支えられ顔を上げた瀬川はぼんやりとした瞳で中空を見つめている。
担任は頷くと、私を見て言った。
「朝倉さん、あなた保健係だったわね。彼女を保健室まで連れて行ってくれる?」
「あ、はい」
そういえば、そうだっけ。出番が無かったからすっかり忘れていた。脇の下に頭を挟み、瀬川を立ち上がらせる。ぐったりと力の抜けている体は重かったが一人でもなんとか運べそうだった。
「ともっち、私も手伝おうか?」
近くに来ていた由花が不安げな顔でこちらを見る。
「ううん、平気。気持ちだけもらっとく」
美術室を後にしようとすると担任が先立ってドアを開けてくれた。お礼をいうと、担任は小さく首を振り、私にだけ聞こえるように小声で言った。
「もう6時限目だから、辛そうにしているようだったら保健室の先生に頼んで瀬川さんの家に電話してもらいなさい。これ、瀬川さんの家の連絡先、電話することになったら保健の先生に渡しなさい。保健室には今、連絡入れとくから」
担任から電話番号の書かれた小さなメモを受け取ると了解の意を込めて頷き、美術室を後にした。
美術室と保健室は同じ一階にあり、昇降口前にある長い廊下を抜けた先にある。
無人の廊下はひんやりと冷えていて、熱によって火照った瀬川の存在をより強く感じさせた。お互いに会話することなく、ふたりの足音と瀬川の荒い息づかいだけが聞こえる。
普段なら友だちと話をしながら通る廊下が今はひどく長く感じられる。
その原因が人を支えながら歩いていることだけで無いことはわかっていた。
一歩一歩、カメの歩みでふたり、保健室を目指した。
保健室のドアをノックすると中から音が聞こえてきてドアが内側に開かれる。
「連絡は聞いているよ。さあ、入りなさい」
柔和な顔立ちの女性保険医が笑いかけてくる。私は瀬川を支えながらその横をすり抜ける。背後でドアを閉める音がして、振り向くと保険医の後頭部が見えた。
やっぱりな。
後頭部の髪は寝癖でぴょんぴょん跳ね上がっていた。
保険医の寝癖は校内でも有名だった。性格はいいし、顔だってそんなに悪くない。年齢だって二十代後半といっても通用するくらいだ。(本当は三十代半ばらしい) そんな保険医は一度も結婚したことがないらしい。
あるとき、お節介とわかりつつも私は保険医に「寝癖を直したほうがいいですよ」
と伝えた。
保険医は一瞬目を見開いて、しかしすぐにいつもの笑顔に戻って「そうだね、気付かなかった。ご忠告ありがとう」そういって頷いた。
翌日から少しずつ減っていった。ただし、後頭部を除いて。
後で教えてあげようか。そんなことを考えていると、
「朝倉さん、私が替わろうか?」
保険医が覗き込むように私を見つめた。なで肩で細身の体。別名『ひょろひょろもやし』な保険医の身長は170くらいで自然、そんな形になってしまうのだ。
「いえ、ひとりで大丈夫です」
早口で応え、俯いてしまう。頬が少し熱い気がした。
「そう、じゃあベッドへ連れてきてくれる?」
足音から保険医が少し離れたのを確認してから、私は顔を上げた。
時々、本当に時々だけど、ふとしたときに保険医の瞳はひどく幼い光を宿す。
その光はとてもまぶしくて、ガラス玉のようにキラキラしていて、その無垢な光を見つめていると、自分のこころを見透かされるような気がして、私は慌てて目を反らしてしまうのだった。
ベッドの前まで運び、保険医とふたりで協力して瀬川の体をベッドに横たえた。
私がため息をつくと保険医が
「じゃあ、まずは体温計っと」
そういって保険医は体温計を白衣の内ポケットから取り出す。
なぜ、内ポケットから体温計が…。
疑問に思いながらも先生から生ぬるい体温計を受け取ったとき、保険医のケータイが机のある辺りで鳴いた。
この保険医は今どきスマホに買い換えず、ひたすらケータイを使っていた。
本人曰く「何かいろいろ昨日がごちゃついていてわかりづらい、覚えるの面倒だからケータイでいい」とのことだった。
アヒルがぐあぐあっと鳴いて知らせる電話音。なんともすっとぼけた感じの鳴き声が、主人の人柄とマッチしていて微笑ましい。
私は不思議な顔をする瀬川に体温計を手渡す。
首を傾げたまま体温計を受け取り、口を小さく開いては閉じる、そんな動作を繰り返す瀬川。 引っ込み思案な彼女もさすがに今聞こえてきた音声に対しての好奇心は拭い去れなかったようだった。
しばらくしてから話しかけてきた。
「…あの、その……」
ここでいつもの一拍。顔を背け彼女が言葉を言いやすいようにする。
「えっと…今の、鳴き声…何なの?」
声がくぐもっているのは掛け布団で口もとを隠しているからだろうか、おそるおそるたずねてくる。
「あれは保険医のケータイの着信音だよ」
応えながら瀬川を見る。
「ええっ!! だ、だって、そんなの……か、かわい…過ぎる……」
そこまで言って口ごもってしまう。
その手にはやはり布団が握られている。
と、足音が近づいて来るとカーテンが引かれ保険医の顔が現れる。すかさず私は言ってやった。
「先生、カーテンを引く前にひと声掛けてください。 瀬川さん、女の子なんですよ」
保険医が「ん?」という顔をして5秒弱……ようやく意味を理解し謝罪した。
「ちょっと職員室に急ぎの用事が出来たから行ってくる。朝倉さん、申し訳ないけど、その間瀬川さんを看ていてくれない?」
頷くと、保険医はさっさとその場を去ろうとする。
「あ、あの……」
瀬川が保険医を呼び止める。
「なぁに?」
保険医の柔らかな笑みを受け、俯きながら瀬川が訊ねる。
「…さっきのアヒルの声……」
「ん? ああ、そうだよ。なんか惹かれてしまってね。やっぱり、変かな?」
表情を崩さずに明るいトーンで瀬川に聞いてくる。そうすることで相手をリラックスさせ、応えやすくしているのだろう。
「いえ、変じゃないです。 その……すごくかわいいと……思います……」
返答する前に彼女の片手が布団の中で小さく動いていたのに私は気付いていた。
一体、彼女のスカートのポケットには何が入っているのだろう。 ふたりになったときにでも聞いてみよう。
「そっか、ありがとう。じゃ、行ってくる」
保険医がカーテンを引かず、数歩歩き、すぐに戻ってくると今度こそカーテンをしっかりと引き、足早に保健室を後にした。
保健室にふたりだけになると急に辺りの静けさが深くなった気がする。互いの視線が合わさっていることに気付き、瀬川の頬に赤みが差す。私がすぐに視線を外すと、しばらくして布が擦れる音が聞こえてくる。体温計を使用するためにリボンを外したのだろう。
そのまま室内に視線を巡らせた。
天井に埋め込まれた空調の風に淡いグリーンのカーテンがそよそよと揺れている。壁にはタバコについてのポスター。カラーで正常な人の肺と喫煙者の肺が左右に比較、掲載されている。 部屋の隅には身長と体重を計る機器がのっぽとちびのコンビのように並んで置かれている。蛍光灯の光に蛇口が鈍く光り、室内には消毒薬の匂いが満ちていた。
目を閉じる。
静寂に溶け込んだ暗闇の中で瀬川の息づかいだけを聞いていた。
それからどれくらいの時間が経っただろう。 ほんの僅かな時間だったような気もしたし、ずいぶんな時間だったような気もした。
暗闇の中において人の時間に対する感覚は、ひどく曖昧なものなんだ。
かすれた声で、瀬川の声がした。
「あの……その……」
私は黙って続きを待った。
「あ、あり…がとう……」
蚊のなくような声で瀬川がお礼を言う。
私は返事をするかわりに小さく頷いた。
「…それと…ごめん…なさい……」
驚いて、彼女を見る。
彼女は意外にも顔を背けなかった。
正面のカーテンを見つめ、私の視線を横から受け、頬を染め上げていた。
それが彼女の精一杯だった。
片手を布団の中に突っ込み、別の手で布団の端をきゅっと握り、言葉を紡いでゆく。
「数学の授業のときに寝ているのを起こしたの、迷惑だったよね。それと…… 間違ったノート貸して、ごめん…なさい……」
ぺこりと頭を下げる。
何だ、そんなこと、別に気にしてないのに。
そんなのはどこにでもある、ささいなことじゃないか。軽い口調で「ごめん」っていえば終わる、あるいは謝るまでもない、ちっぽけなできごと――それを彼女は今までずっと胸の内にしまい込んでいたんだろうか……。
なんて不器用なんだ、この子は。
「瀬川さん、いい子だよ」
旭の言葉の意味が、ちょっとわかった気がした。いい子というよりは、ちょっと面倒臭そうな子だけどね。
私は苦笑して瞳を閉じる。口で息を吸うと穏やかな口調で言う。
「あのさ、瀬川さん」
「は、はい…」
声の震えから瀬川が緊張しているのがわかる。だから次の言葉はできるだけやさしくたずねた。
「猫……好きなんだ」
「え?」
「美術の授業で、カップに猫のイラストを描いてた」
「み、見てたの?」
目を開き、頷く。
「うあ…」
瀬川が両腕で顔をガードするように隠す。
顔を隠しても仕方ないと思うけど。
「そんなに恥ずかしいなら描かなきゃいいのに」
「だって……猫、好き…だから」
ぼそりと呟いた声はとても弱々しかったけど、そこには何かがつまっている気がした。
「そっか…」
瀬川が腕を布団に置き、蒸気した顔のまま、息を吐く。
太陽が雲に覆われ、室内には親密な淡い影が満ちていた。私は自然、口を開いていた。
「私も、好きだよ」
瀬川はわけがわからないという困惑した顔をこちらへ向けてくる。
言葉を続ける。
「猫、私も好きだよ」
瀬川が目を見開き、無言のままこくこくと頷く。ちょっと怖い。
さて、本題に入ろう。
「ところで、瀬川さん」
「はい」
瀬川が上機嫌で応じる。
「スカートのポケットに、いつも何入れてんの?」
「え?」
「ときどきポケットに手入れてるじゃん。何なの、あれ」
「み、見てたの?」
「うん、いっつも」
きっぱりと肯定してやる。瀬川みたいなタイプには、はっきりと態度で示してやったほうがすんなり攻略できそうだからだ。
「あ……」
再び瀬川が顔を隠す。だから、意味ないって。
「ねね、見せて見せて」
邪気のなさそうな笑顔に猫なで声で迫ると、瀬川が照れならも布団の中からキーホルダーを取り出した。
「あの、これ……」
「黒猫のキーホルダー?」
「ここに来るときに、大切な人から、もらったんだ」
はあ……大切な人、ねぇ……やっぱり、そういうことなのかな?
「へえ、かわいいじゃん!」
「あ、ありがとう」
瀬川がうれしそうにはにかんだ笑顔を見せる。
ふっふっふ、ここはやはり聞いておくべきよね。というか聞いておかないほうが相手に失礼ってもんでしょう。ねえ?
「瀬川さんの言うその大切な人って、ひょっとして、カ・レ・シ?」
「え……ち、違うよ! この人とは、全然そんなんじゃないよ!」
その否定の仕方は、肯定してるようなもんだろう。
「ま、そーいうことにしといたげるよ」
「だから、違うって……」
「あ、私トイレ行ってくるね~」
「ち、違うのに~」
「あはは、泣かない泣かない~。瀬川さん、強い子!」
「むぅ…」
瀬川の怒っているか泣いているか、微妙な視線を受けながら保健室を後にしようとする。
そんなわたしの背中に声がかかった。
「…朝倉さん……」
今まで聞いたことのない、落ち着いた声音だった。
「なぁに?」
「…ありがと…」
「…何が?」
「なんでも…ありがとう……だよ」
「はあ、どういたしまして」
やっぱりちょっと、変な子……そう思いながらも、応える顔には、不思議と笑みが浮かんでいた。
保健室のドアを開けるとひどい咳が聞こえてきた。慌てて瀬川のもとに向かうと、瀬川は体を半分に折り、肩で息をしていた。
瀬川を布団に横にしてそのまま落ち着くまで背中をさする。ベッドの脇に置いてあるタオルを手に洗面所に駆けた。
枕の横にあるリボンと体温計の存在に気付いたのは、保険医が戻ってからだった。
保険医が体温計を確認すると瀬川の母親に連絡した。私は保健室を出て瀬川のカバンを持ち戻ってくると、彼女の横たわるベッドの隣にあるサイドボードに乗せた。
「朝倉さん、大変な時に任せちゃってごめんなさい。後は私に任せて。大丈夫だから、もう授業に戻りなさい」
頭を下げ、保険室を後にするとなんだか美術室に戻る気にはなれず、トイレの個室に入り終業べルが鳴るまで壁によりかかりぼんやりとしていた。
翌日、瀬川は学校を休んだ。その日は朝から雨だった。
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