がんづき
「がんづき」
先日、コンビニでこのような名前の食べ物を買いました。見た目は完全に黒ゴマをまぶした黒糖蒸しパン。食べてみると、蒸しパンよりもしっかりもちもちした食感で、腹持ちが良さそうな感じがしました。素朴な甘さでおいしかったです。
さて、この「がんづき」ですが、どうやら岩手県南部から宮城県にかけて食べられる郷土菓子のようです。
蒸しパンとの主な違いは重曹が入っているかどうか、とのことで、確かにふわふわというよりもちもちした食感はそれらしいものが入っている感じはしない……調べたところ、重曹が入っていても「がんづき」と呼ぶこともあるそうです。どちらが正しいのかしら。
「がんづき」の由来について、漢字で書くと「雁月」と書くようです。自分が食べたがんづきは四角形だったので一瞬ピンと来ませんでしたが、本来は黒か白の丸型で、それを月に見立ててゴマを月に向かって飛ぶ雁と見たことで「雁月」と呼んだのが一説にあるとのこと。
でも、不思議ですね。日本は古来から中国伝来の「饅頭」があるのに、同じように蒸した小麦粉の食べ物であるがんづきは、少なくとも饅頭とは呼ばれません。(ちなみに中国で饅頭は中身が入っていないものを指しますが、日本では餡子など中身が入ったものを饅頭と呼んでいるそう。がんづきは基本的に中身はありません)
もちろん、「黒糖入りでゴマが振られたものは饅頭とは呼ばない」と厳密に細部を捉えればわかるのですが、「がんづき」という名称以前は、確実に似たような食べ物として「饅頭」が先に広く認知されていたはずなので、どのあたりを意識して個別の名称を考えたのかすごく気になります。ありきたりな考え方では「黒糖饅頭」でよい訳ですから。
これはブランディングということでしょうか。ただ、これもちょっと怪しいのは、郷土料理は別に他文化圏に向けて売り出すものではなく、あくまで家庭料理のひとつなので、外向けの呼称を考える必要もまたないはずなんですよね。
ところで「雁」という漢字が用いられる菓子に「落雁」がありますが、この「落雁」は中国の菓子「南楽甘(なんらくかん)」が訛ったものというのが一説としてあるそうです。
「雁月」も、もしかしたら文献が残っていないだけで、なにか別の食べ物から生まれたものなのかもしれませんね。
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