選択的夫婦別姓
「選択的夫婦別姓」
今回は、経団連が異例の提言をしたということで巷で賑わうこの言葉について。
ここで、そもそも選択的夫婦別姓とはなんぞやとなる言葉の解説を引用します。
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選択的夫婦別姓制度
選択的夫婦
法務省「選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji36.html
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マルクスの『共産党宣言』において、プロレタリアート(無産階級=賃金労働者)は伝統的な家族観を破壊し家族愛によって結婚するというようなことを書いている部分があるのですが、選択的夫婦別姓と関連してそれに言及しているツイートがあったので「なるほどなあ」と思ったんですね。
(ちなみに『共産党宣言』においても婚姻については割とぼんやりした書き味らしく明言らしい明言はないみたいですが、一口で言うと共産主義社会では男性の所有物としての女性という概念がなくなるのでフリーセックスになると思うよくらいの解釈です)
ブルジョア(資本家)は、結婚によって資財や財産などの維持拡大を図ろうとするが、プロレタリアート(労働者)は資財や財産など維持すべきものがないために、単純に愛によってしか結婚しえないというところでしょうか。
この話題を触れているとよく見聞きする「選択的夫婦別姓は伝統的家族観を破壊する」というのは、そのものズバリで共産主義との対立を暗に表していると言えそうです。ひるがえって、今回の経団連はどちらかというとそうした伝統的価値観への挑戦者ではあると思いますし、労働者の経済的合理性を基準に提言に至った経緯については、なんとなく共産主義っぽい考え方も感じられます。
ただ、現代においての婚姻制度について世界を見てとれば、一夫一妻、一妻一夫の男女間のものを法的マジョリティとし、事実婚や同性婚、国際結婚もあり、伝統的イデオロギーなどどこ吹く風で多彩な婚姻関係が結ばれています。
そもそも婚姻という制度自体が、中世古来の社会制度からの大きな変革を経た近現代において財産管理の一手法と考えた場合でも、姓を同一とすること自体は必ずしも必要ないと経団連が考えるのは、イデオロギーを抜きにしても無理筋な論理ではないはずです。なぜなら財産管理に本当に必要なのは、姓が同一であるかどうかではなく、戸籍(謄本)など身分を証明する各種公文書だからですね。
「選択的夫婦別姓」とひとくちに言っても、その背景を知るとさまざまな事情があります。日々のニュースや会話の中でこのような言葉を聞くたびに、その言葉のうらに生きている存在について想像を広げてみたいものです。
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