言葉で伝えず態度でぶつけんの小学生までだと思うけど

「言葉で伝えず態度でぶつけんの小学生までだと思うけど!!?」


というセリフがジャンプ+で連載開始された『ルリドラゴン』の主人公・ルリからの引用なのですが、こちらなかなか核心を突きつつも核心の一側面でしかないのですよね。


この漫画、連載開始直後に長く休載に入り、最近連載再開されてジャンプ+に移籍してきたらしく。主人公が人間とドラゴンの子ども(高校生)ということで、第三次性徴のごとく突如ドラゴン化のような生理現象が多発する高校生活を、理解力と順応力が異様に高いクラスメートと共に過ごす様をゆるふわに描いた作品のようです。


標題のセリフは第7話、ドラゴン化が進むルリを嫌悪感を持ってあからさまに避ける女子生徒・前田と、ひょんなことから2人で言い争う場面のものです。


で、このセリフの直前のシーンに「普通言わないでしょ好きとか嫌いとか」という前田のセリフがあるのですが、それを踏まえてあらためて標題のルリのセリフを見ると、感覚が高校生っぽくてちょっと微笑ましいと思います。


大人の世界では、とうぜん主張するべきところはしなければいけない場面が多々あります。反対に、主張するべきでない場合は静観したり、言葉以外の行動やもので気持ちを表明したりもします。


「好きの反対は無関心」と言いますが、自分はこれは真実だと思います。あからさまに避けていることが当事者に分かっているということは、やっぱりちょっとどこかでその人を意識している。


好きでもない、さりとて、嫌いでもない、というのは、言ってしまえば無関心なのです。


というところをさらに前田に核心突かれ、最新話では嫌いな理由を「他人に無関心だから」で一蹴されてしまったルリ。


考えてみれば、ルリドラゴン化に対して異様なほど理解力と順応力の高いクラスメートに対し、ルリは第1話で「みんな意外と気にしないもんだな」というモノローグを飛ばすのですが、実際のところこんなこと起きたら気にしないわけがないんですよね。


噂はとうぜん学校中に広まり、SNSがあればあっという間に拡散するし、人間が人間以外と子を成すことがある種通念されていなければ世界的大事件なんですよね。でもそうはならない。みんなけっこう言いたいことがあるのかもしれない。それをあからさまに態度には示さない。


火を吹いた後、クラスに謝罪しに来た母親を知らなかったことも、ルリの他人への無関心を補強する要素かなと。


だからちょっと、この作品まだ12話ですけど、裏っかわにちょっとヒリヒリした青春を感じますね。そこはかとないメタファーもありそう。物語がどう転んでいくか楽しみにしたいと思います。


ところで、大人のコミュニケーションというのは基本的に言葉と態度を駆使して行うものです。そしてその加減は相手に応じて柔軟に変えなければなりません。それを踏まえてあらためてルリのセリフを見ると……。

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