爆縮
「爆縮」
日頃センセーショナルなニュースが飛び交う現代、ここ最近で最も衝撃を覚えたのが、沈んでしまったタイタニック号の姿をその目で見ようと潜水艇に乗り込んだ大富豪数名が、深海数千メートルまで降りたところで潜水艇の耐圧不足によりそのまま圧死してしまった、というもの。
調べてみると、潜水艇の構造や操縦桿について昨年のカズワン沈没を彷彿とさせるいろいろショッキングな杜撰さとなっているようです。問題が発生した時点で生死の境すらさ迷うことすらなく即死してしまったなど想像したくもありません。
この事件を表現する際に用いられる言葉に「爆縮」というのがあります。その「爆縮」とはなんなのか、ちょっと気になったのでいま流行りのChatGPTに聞いてみました。
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「爆縮」という言葉は、一般的には「爆発的な収縮」や「急速な縮小」といった意味で使われます。以下にいくつかの一般的な解釈を示します。
1.物理学における爆縮(Implosion):物体や構造物が内部から外部へ向かって急速に収縮する現象を指すことがあります。これは、外部からの力や圧力によって物体が内側に押し込まれることで発生することがあります。例えば、爆弾の爆発によって建物が内側に崩壊する場合などが該当します。
2.経済における爆縮(Economic Contraction):経済の成長が鈍化し、生産活動や消費が減少する現象を指すことがあります。景気後退や不況期に経済が縮小することを表現する際に使われることがあります。企業の業績悪化や失業率の上昇などが特徴として現れます。
3.化学における爆縮(Collapse):化学反応において、物質が急速に収縮し、元の状態から異なる形態や構造に変化する現象を指すことがあります。例えば、化学反応によって発生する気体が急速に液体や固体に変化する場合などが該当します。
上記の解釈は一般的なものであり、具体的な文脈によって「爆縮」の意味は変わる可能性があります。もし、あなたが特定の文脈や分野で「爆縮」という言葉を使っている場合は、その文脈を教えていただければ、より具体的な説明ができるかもしれません。
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だそうです。
ところでこの事件について「爆縮」と「圧壊」、2種類の言葉で説明している報道がちょこちょこありますが、これらの違いについて一考しました。
ひとまず「爆縮」からですが、前提として反対の現象に「爆発」がありますね。
「爆発」が内部から外部に向かう爆発的な圧力(例:電子レンジのゆで卵)なら、「爆縮」はその反対、外部から内部に向かう爆発的な圧力だと言えます。
小中学生のときの理科の実験で、密閉状態にした容器にスポンジを入れ、チューブで繋いだ注射器で空気を入れたり抜いたりするとスポンジが空気圧で縮んだり膨らんだりしますが、それをもっと甚大で急激にしたものと考えるとわかりやすいですね。すなわちあの潜水艇は破壊される寸前、甚大な水圧を外部の全方向から受けていたということになります。
そして、「圧壊」はその名の通り、「圧力で壊れる」ことを指します。この場合の圧力はその種類を問わず、ひとまず何かしらの圧力によって壊れることを意味します。なのでこの一言だけなら車の衝突や空き缶をプレスする時など、割となんにでも使える表現です。
その上で、なぜ「爆縮」と「圧壊」をこの事件を説明する際に用いるのかを考えてみると、「爆縮」は「圧壊が起きてしまった原因」を指しており、「圧壊」は「起きてしまった現象の結果」を端的に表現しようとしているのだろうと思います。
結果的に起きていることはどちらを用いても「潜水艇が水圧で潰された」ことですが、沿岸警備隊の言葉をそのまま報道で使う側はそれを見聞きする我々が当たり前のように「爆縮」という言葉や意味を知っているものとして報道するので、なんだかちょっと「報道する側はちゃんと理解して報道してるのかな」という感慨を覚えますね。
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