名刺

「名刺」


自らの名を示し表すものの一つに「名刺」というものがあります。「名札(ネームプレート)」とは異なり、名刺は常時自らの名を明かすために提示するものというよりは、それを含めた連絡先の交換のために用いられることが多いように思います。ビジネスの場に限らず、なんらかの名を冠して活動をしている方は常に持ち歩いていると思います。


ここで疑問に思ったのが、なぜ名刺は「名を刺す」なのか、ということです。


そこで「名刺 語源」で検索してみると、以下のような結果が出てきました。


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7~10世紀ごろ、不在の訪問先に自分が訪問したことを伝える手段として使われていたのが名刺です。当時は紙がなかったことから、“刺”と呼ばれる木や竹の札に名前を記していました。 “めいし”というと、名前を記した紙ということで漢字にすると”名紙”となりそうですが、発祥の地中国で“刺”が使われていたことから“名刺”になったといわれています。


ライオン印刷「名刺はいつから使われているの?名刺の歴史を紹介」より

https://www.lion-meishi.com/column/column24/#:~:text=%E5%BD%93%E6%99%82%E3%81%AF%E7%B4%99%E3%81%8C%E3%81%AA%E3%81%8B%E3%81%A3,%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%A8%E3%81%84%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82


※引用以外にも面白い知識が掲載されているので、興味のある方はURL先へどうぞ。

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なるほど。つまり初期の頃の名刺は現在の「ご不在連絡票」のようなものだったというわけですね。それが時代をめぐりめぐって、連絡先を交換する小さな紙片になった、と。モノの歴史というのは実に面白いもんです。


とはいえ、いまでも訪問者があって担当者が不在ですと、名刺のみ置かれて帰られることは多々あります。そういう意味では現在も、古来よりの名刺の役割が連綿と続いていると言えます。


そういえば、核戦争を経て生命主義社会を確立した世界観が特徴の故伊藤計劃氏のSF作品『ハーモニー』では、「名刺」は個人情報を不特定多数に開陳する過去の産物「デッドメディア」として、その使用法についてほとんどだれも知らないオーパーツのような扱いをされていたことを思い出します。もしかしたらそんな時代がいずれ訪れるのかもしれません。


ですが、いまでこそ「名刺管理クラウド」のように「名刺」というモノ自体をほぼ必要としない電子化がされており、モノを失っても「名刺」の役割自体は今後も変わらず生き続けていくのだと思います。あるいは、「連絡先の交換」という語意に取って代わって「名刺」という語彙に換言されていったり、などは考えられそうです。


ちなみに自分は仕事用の名刺しか持っていませんが、カクヨムで活動されているユーザーにも同人活動用の名刺をお持ちの方がいるのでしょうか。気になります。

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