第3話 ポイント?
とりあえずチャイムに救われた。担任が教室の前で事の始終をみていたのはおいといて、俺は過去改変の一歩を踏み出してしまったことを後悔…するよりも謎のメッセージに混乱していた。
なんなのこれ?グッドポイントって何だ?何かに交換できるのか?いやいやそもそもこの機能なんなの?
『グッドポイントを貯めて下さい』
またメッセージが表示された。いやだからそれ何なのよ!それからなんとなくメッセージボタンをタップするイメージで念じたりしてみたが、もうメッセージは表示されない。わけがわからないが、俺にはグッドポイントを貯める機能があるらしい。そして、それを貯めないといけないらしい。先ほどいじめを止めた事に反応していたことからして、善行に対して付与されるポイントなのだろうととりあえず推測しておく。とすると、俺は善い行いをしなければならないのか。ポイントの使い道は不明だがそのうちわかる…のかな?既に21年時間を巻き戻されているのでなんとなく諦めとともに受け入れる事にする。
何者かが俺に善い行いをさせる為に、俺をタイムリープさせたのだろうか。善良な一市民だった筈だが何故…わからない事だらけだが、過去改変云々は気にしなくて良いというか積極的に変えていけと指令を受けたと解釈出来る。
ならばだ。やってやろうじゃないか。大人としてやるべきことを。義憤を盛大に満足させてやろう。しかし、目立つのは面倒だなぁ…ほどほどにしておこう。とはいえ、実際はいじめを潰すべく既に準備を始めていたのだ。俺の仕業だとばれないように。長瀬と一瞬目が合った。相変わらずの無表情だ。
休み時間になると山田の口撃がくるぞ!と身構えていたが、そんなことはなかった。そういえば山田には何も言ってなかったのだ。
絡んできたのは太田である。
「お前喧嘩売ってんのかコラ」
いきなり襟首を掴まれた。期待を裏切らない脳筋キャラである。問答無用に殴ってやりたかったが、無抵抗に答えた。
「そういうわけじゃないけどさ、長瀬がかわいそうだったから…」
言い終わる前に腹を殴られた。問答無用すぎる。小学生ってこんなにバイオレンスだったろうか。しかし武道を齧っていてよかった。反射的に体を反らし、腕で受けておいたので大したダメージはない。手ごたえの無さに怪訝な顔をしていた太田だが「なめてんじゃねえぞコラァ」とローキック打ってくる。これもあからさまじゃない程度にいなす。
こいつはいずれボコると決意しつつ、この場は適当にやられて終わらせる事にする。所詮は子供の、素人の攻撃なので、やられてる感を出しつつ捌くのはそう難しい事ではなかった。回し蹴りが来たところで、あえて大げさに吹っ飛んでやった。机に派手にぶつかったのは流石に痛い。泣きそうになる。
「ちょ、調子のってんじゃねえぞコラァ!」
と捨て台詞を吐いて逃げるように教室を出た。色々散乱して結構な惨状になったので怖くなったのだろう。
太田サイテーなどと女子の声。
しばらく絡んでこなければよいのだが。
さっさとアレの仕込みを終わらせてしまう事にする。大人を舐めるなよ。いや俺が大人だとは知らないだろうけど。
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