第一章

第4話

 人というものは過ちを繰り返すものである。

 それは歴史的にも、経験的にも証明されているものであって、人間という生き物は過ちを繰り返して、それを糧に成長することで前に進んできた。すなわち、過ちを犯すということは決して悪いことなどではないのだ。これからの成長のために必要なことなのだ。

 そして、現在進行形で俺は自らの過ちを全力で悔いている。


「ねー界人ぉー。もうお菓子は無いのですかぁー?」

「……。」

「この漫画の最新刊、まだ買ってないんですかぁー。」

「……。」

「ねー界人。この家のお風呂小さ…。」

「おいノエル。」

「ひゃいっ!!」


 ビクッとしているノエルはその反動で口につまんでいるポテトチップスを落とした。


「お前、いくら何でもぐーたらし過ぎだろ。」

「ん?そうれすかぁ?」


 先ほどまであれだけ神秘的で美しく思えた少女が今はソファーで寝っ転がってテレビつけながらポテチを食べてやがる。もうすでに我が家の備蓄お菓子は底をついており、部屋は若干散らかりだしている。

 なぜこんな女を家に住まわせてしまったのか。許可してから約一時間で絶賛後悔中だ。


「なぁノエルさん。お前ってクーリングオフ対応とかってしてる?」

「へぇ?してませんよそんなの。クーリングオフするつもりですか、家においてくれるって言ったじゃないですか!」

「まさかこんなにだらしないサンタさんだとは思わなかったんだよ。」


 てっきり、泊めてくれる代わりに家事は何でもするよ!みたいな感じのを期待していたんだがその期待はあっさりと裏切られてしまった。


「私は別にだらしなくなんかないですよ。こう見えて家事は得意なんです。」

「うん一瞬でバレる嘘言うのやめて。」

「嘘じゃないですよぉ!」


 ぷんぷんしながら立ち上がると、ノエルは何やら冷蔵庫の中身を物色し始めた。


「ふむふむ、結構な種類の食材がありますね。」

「まぁ一人暮らしだからな。自炊はそれなりにしてる。」

「では今日はカレーライスといきましょうか。寒い冬に暖かいカレーは最高です。」


 そう言ってカレーに使う食材を用意し始めた。


「お前、本当に作る気か?」

「ええそうですよ。」


 こういう奴は大体メシマズと相場は決まっているものだが、今日はまだご飯にしていなかったためお腹は空いている。お手並み拝見と行こうか。


「よし、準備が出来ました!」


 キッチンにはニンジンや豚肉、玉ねぎなどのカレーで使う食材が綺麗に並べられている。一体何をしようというのか。


「それでは…、数多の食材たちよ、美味しいカレーになぁれっ!」


 そう唱えてノエルは指をぐるぐると回した。その瞬間、食材たちが白い光に包まれて鍋の中に勝手に入っていく。一分ほどその状態が続いた後、白い光はぼんやりと消えていき、鼻腔をくすぐるスパイスの香りが広がると同時に、鍋の中には美味しそうなカレーがものの見事に完成していた。


「おい…まじかよ…。」

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