第61話

 美詞は焦っていた。


 第二ラウンドが始まりどれだけの時間が経ったのか、どれだけの群がる鬼共を斃したのかわからなくなっていたが、ひとつだけ分かるのは自分の体力が心許なくなってきていることだけ。

 符術に頼ろうとしても鬼がその隙をなかなか与えてくれない、尚斗と違いまだ符を起動させるにはその場から動かず集中しなければならない美詞にとってそれは致命的な隙になりうる。

 故にとれる手段は自分の身一つ、幸いにも破邪の術を纏った攻撃は鬼に絶大な効果を齎してくれていた。 


 しかし…。


 鍛錬は積んできた、体力もついたはずだ、鬼を斃すのも体力節約のため最小限の動きで対処している。

 それでも限界はある。

 肩で息をしながらも何とか持ちこたえているがこのままだと遠くない未来にジリ貧となってしまうであろうことが簡単に予測できるのだ。


 そしてそんな考えを持ってしまった時ほど嫌なことは起きる。

 こん棒を振り上げ迫ってくる小鬼を待ち構えていると足が引っ張られガクッと膝をついてしまった。


「しまっ…!」


 足元を見ると地面から顔を覗かせた鬼の手が美詞の足首を掴んで引っ張っていたのだ。

 前を見るとこん棒を振り上げた鬼が間合いに入っている。

 致命傷だけは避けねばと両手を上げクロスにし衝撃に備え構えた。


 ― ボンッ! ―


 自分の腕にきた衝撃の音ではない……気づけばこん棒を振り上げた体勢のまま鬼の顔が吹っ飛んでいた……厳密には美詞の背を飛び越えるような形で尚斗が飛び後ろ回し蹴りを鬼の顔面に叩きこんでいたのだ。

 着地すると間髪おかず美詞を拘束する鬼の顔を踏み付け爆散させる。


「あ、ありがとうございます」


 すぐに体勢を立て直し尚斗と背を守り合うような形に戻ると礼の言葉を告げる。


「大丈夫ですか?焦らずいきましょう。疲れたなら少しでも結界を張って息を整えてください」



 尚斗も焦っていた。


 美詞に伝えた言葉もその場しのぎでしかない。

 今回はフォローできたが美詞の動きが少しずつ精彩を欠いてきていることには気づいている。

 自分も動きにキレがなくなり息が上がり、正直このままでは先が無い事が嫌でも頭を過っていく。

 範囲攻撃術に頼ろうとすると、天邪鬼が鬼を操り起動の邪魔をしてくるため大技を放つことすらできないため地道に戦っていくしかなかった。

 体力トレーニングを増やすべきかな?といらない思考が過るぐらいには注意力が散漫し始めている。


「もう年ですかねぇ……」


 いらない言葉を発するあたり注意力の低下はもっと深刻かもしれない。

 なにか打開策は?その考えは美詞も同じ思いだったのだろう、隣から美詞の声が聞こえた。


「せめて恵さんが捕らわれていなければ……!」


 同意だ……しかしその発言は天邪鬼を喜ばせるだけである。


「おや?弱音を吐き出したね。そろそろ限界が近いのかな?仕方のないことだ、人間は脆弱なのだから。そろそろ諦めて倒れてしまえばいい」



 近藤恵は混乱していた。


 娘に憑依していた魂を成仏してもらい、やっと娘が帰ってきたと思えばもっと最悪なものが憑りついていたのだ。

 更にはその元凶は自分の娘の魂を喰ったと言う。

 たとえこの元凶をどうにかしてももう娘は戻ってこない?やっと希望を手繰り寄せたというのに、もう家族三人のあの頃の幸せな生活は戻ってこないと言うのか?

 ぬか喜びさせられたところで乱降下させられた一連の出来事は恵のすり減った精神にトドメを差すのに十分の威力があった。

それでも美詞の声が辛うじて耳に届くだけの精神は残されていた。

 “せめて恵さんが捕らわれていなければ”……その言葉が恵の脳内を駆け巡る。

 そうだ、今自分が人質になっていることが二人の枷になっているんだ。

 二人の強さは見ていて想像を絶するものであることはわかる、きっと二人ならなんとかしてくれるかもしれない。

 しかしそれでも娘の体を傷つけてほしくない気持ちと、この状況を打破しなければいけない気持ちがごちゃまぜになる。

 ギュッと目を瞑り逡巡した後、カッと開かれた瞳には決意が込められていた。

 

「ぐぉっ!なにをする!!」


 恵が拘束されていた天邪鬼の……芽衣の腕をおもいっきり噛んだ。

 人に憑依することにより痛覚や耐久が人と同じにまで落ちていることは想定外だったのか、その痛みに驚いた天邪鬼が恵を払いのけた。

 弾かれた恵は押される形で少し離れたところで倒れこむ。


「くそ!なんだこの痛みは!人間の体はここまで脆いのか!」


 思わぬ計算外の痛みに襲われた天邪鬼が怒りを露にして声を張り上げ、倒れた恵に腕を振り上げる。


 そこへ


「美詞君!!」

「はい!」


 人質が解放され隙が出来たのだ、このチャンスを逃すわけにはいかない。

 しかし正直美詞の防御結界は間に合わないかもしれない、さすがに時間がなさすぎる。

 だめか!?と諦めていたところで天はまだ見捨てていなかった、いや行動に移す者がまだ残っていた。


「ぐほっ!」


 天邪鬼が横っ腹からの衝撃に体を曲げ倒れこむ。



 西村亮太はずっと機会を伺っていた。


 初めは正直恐ろしくてたまらなかった。

 先ほどまで舞が入り込んでいた体は今は鬼のようにツノが生え、爪がナイフのように伸びている。

 更には大量の空想上の生き物とバトルを繰り広げるファンタジー映画のような光景。

 一般人なのだ、目立たぬ隅でガタガタと震えていたところでだれも責めはしない。

 しかし限界を振り絞り戦う二人を見てこのまま震えているだけでいいのかと自問する。

 先ほど舞に、弱い自分に見切りをつけ頑張っていくと誓ったばかりではないかと自答する。

 ただの弱い一般人の自分にでもできることはないかと考えを巡らせる。

 そこで生まれた好機!

 直接人質となり危険に晒されていた恵が動いたのだ、自分が迷惑をかけた一般人である母親が動いたのだ、今動かずしていつ動く!

 そこまで考えるよりも前に既に足は動いていた。

 倒れる恵を害そうと振り上げた腕が見え更に走る速度を上げる。

 鬼と戦っていた二人がなにやら叫んでいるのが聞こえたが知ったことではない、今は目の前の女性を助けるためだけに脅威に向け体当たりを敢行するのみ。

 情けない声を上げながら体をくの字に折り曲げ飛ばされた天邪鬼を尻目に恵に声を飛ばす。


「近藤さん!逃げてください!」


 倒れていた恵は後ずさりながら不器用に起き上がると、距離を取るため逃げはじめた。


「こぉのぉ虫けらがぁぁぁぁ!」


 叫ぶような天邪鬼の声に吃驚して振り向くと、先ほどの光景を巻き戻すかのように自分に向かい腕を振り上げる姿が目に映った。

 思わず腕で庇い目をぎゅっと閉じ顔を背け襲い来る衝撃に構えていると


 ― ガキンッ! ―


 天邪鬼と亮太の間を遮る、虹色に輝く壁が攻撃を食い止めていた。

 咄嗟に保護対象を亮太に切り替えた美詞の防御障壁が間に合ったのだ。

 更には


「主よ!聖なる楔により邪悪を無力に!悪逆なる者よその罪を悔い改めよ!」


 尚斗が唱えた聖句により聖書から鎖が飛び出し天邪鬼に殺到する。


「な、なんだこの鎖はっ!やめろ!!離せ!!」


 祓魔師の技は初めて見たのだろうか戸惑うように身を捩るが、既に補足されたその身が鎖から逃れることはできなかったようだ。


「美詞君、助かった。間一髪のところでした……そして――」


 ― ガキンッ! ―


 尚斗に向け振り下ろされた金棒が結界により阻まれ弾かれている。


「――この結界もありがとう」

「いえ、神耶さんならきっとこのタイミングで動くと思いましたので……でもあまり長くは持ちません」


 そう、忘れてはいけない。

 二人は今もまだ周りを取り囲む鬼に晒されている状態なのだ。

 美詞が恵を助けるために簡易防御の術を構築しはじめると同時に、尚斗は聖書を取り出し聖秘力を籠め拘束術を構築しながら自らと無防備になった美詞に群がる鬼を足技だけで露払いしていた。

 美詞は亮太に術を施した後に、これから術の行使で無防備になるであろう尚斗と自らを結界で守るという連携まで阿吽の呼吸でやり遂げていた。


「問題ありません、既に天邪鬼は拘束しましたので私が補強する余裕はできました。美詞君はあちらの功労者達に結界を飛ばしておいてください」


 そう言うや否や尚斗が散りばめた護符が結界の内側に張り付くと略祓いにて結界を補強していく。

 群がる鬼により少しずつヒビの入っていた結界が光を放ち真新しいものへと変わっていく。


「さて、形勢逆転だな。覚悟はいいか?」

「ちっ!塵芥共め……しかしどうするというのだ?既に私はこの体と融合している。この小娘ごとこの世から葬り去るとでもいうのか?」


 鎖で雁字搦めにされているのにも関わらず強気でいるのは自分の術によほどの自信があるのだろう。

 

「そうだな、私では貴様をどうすることもできんよ。しかしできないならば呼べばいい、『どうにかできる者』を」

「……なに?」


 尚斗がガリッと指に噛み傷をつけると深い傷が生まれ瞬く間に血に濡れだす。

 血で濡れた指に霊力を込め、空中に梵字で簡易的な曼荼羅を描き出すと真言を唱えだした。


「オン ドドマリ ギャキテイ ソワカ!ハーリーティーよ我が言葉に応え給え!」


 かなり負担の掛かる術を行使したのだろう、尚斗が術の反動に耐えきれず片膝をついてしまう。

 慌てて駆け寄った美詞によりその身を支えられながらも、前に突き出した手を降ろすことなく術を行使し続けていると周囲に変化が起きた。

 拘束された天邪鬼の後方の空が輝きだし、まばゆいばかりの光の中からなにかが姿を現わそうとしているではないか。

 それは羽衣を纏った天女のような姿をしており、更には周りに古の兵士のような恰好をした者達を従え降りてくる。

 自分の後方で何らかの事象が起こっていることに気づいた天邪鬼が恐る恐る振り返ると瞬く間にその顔を青ざめていく。


「ま……まさか……そんなまさか!!顕現させたとでもいうのか!?」


 天邪鬼にはそれらの姿に思い当たる節があるのか、ガクガクと歯を鳴らし絶望した表情をしている。


「いいや……私にそんな力はないよ。ただ知らせただけだ、貴様の現世での悪行をな!」


 御仏は人同士の事柄に干渉することは滅多にない。

 罪を犯したからといって現世で直接裁かれることなどないし、死した後で裁かれるのだが……何事にも例外はある。

 現世の住人でないものが起こした災い、特に地獄から抜け出し悪行を重ねる者には容赦をしない。

 尚斗が行ったことは言わば天界に天邪鬼の存在を「通報」しただけなのだが……


「私は徳がそこまで高くなくてね……おかげで知らせるだけでもこの有様さ……」


 前方に掲げられた尚斗の腕に罅のような傷が次々腕を浸食しだし、ブシッと血が噴き出し始めている。

 更にはごぷっと口から漏れだした血はどこか内臓までも損傷するほどの反動を受けたのかもしれない。

 

「神耶さん!!」


 目の前の神々しい光景よりも、隣で傷ついていく尚斗を心配そうに見つめ支える美詞。

 

「……心配はいらない、流石に死にはしないよ。都合のいいことに病院は目の前だ。これが解決したらちゃんと治療するさ」


 安心させるように美詞を宥める尚斗だが、心の内は早いこと終わらせてほしいという気持ちが逸るほどにはいっぱいいっぱいであった。

 その願いが届いたかはわからないが、天女に従っていた兵達が手に持つ縄をそれぞれ投げるとそれらは尚斗らの周りにいる鬼達を次々拘束していく。

 縄を打たれた鬼達が兵に引きずられ、兵と共に光の中に消えていくと残されたのは天女のみとなった。

 天女の目は閉じられていたが、その目が開きだすとともに容貌も変化していく。

 柔和な顔は険しさを帯び、額からツノが生え口から牙が顔を覗かす……それはまるで般若のようにも見えた。

 その変化を近くで目の当たりにしていた天邪鬼は、青ざめていた顔がついに色を失い震えも更に大きくなっていく。


「ぁ……ぁあ……いやだ……行きたく……ない……助けてくれ!!」


 先ほどまで強気でいた態度とはまったく正反対に怯え切ったその姿に、相手が天邪鬼ではどうしようもない絶対的な存在であることが窺い知れる。

 そこへ尚斗が大きな声を張り上げた。


「近藤さんっ!!」


 その叫びに今まで神々しい後光にあてられていた恵の体が跳ね上がり声をかけてきた尚斗のほうを向く。


「近藤さん!祈りなさい!!目の前におわす御方は『鬼子母神』、子供を守護する女神だがすべての母親の味方でもある!芽衣さんへの想いを乗せ祈るんだ!その想いは……あるいは御仏に届くかもしれない!」


 尚斗のその言葉に瞠目すると、慌てて鬼子母神に向かい手を合わせ精一杯の祈りを捧げだした。

 そう、鬼に対処するならもっと相応しい明王がいる。

 しかしあえて鬼子母神を選んだのは彼女の慈悲に縋り喰われたと思われる芽衣の魂をどうにかしてもらえないかと考えたからだった。

 前例等ない、慈悲をかけてもらえる確証もない、言わば賭けだ。


 そして今まさに天邪鬼に天誅が下されようとしている。

 恐ろしい形相で天邪鬼……芽衣の頭を掴んだ鬼子母神が芽衣の体から元凶を引っこ抜く。

 人ではどうすることも出来ない事であっても、上位の存在からしてみればたったそれだけのことでいとも簡単に天邪鬼を引きずり出した。

 

「……あんなに小さい鬼だったんですね……」

「あ……ああ、天邪鬼自身にそれほどの力は……ない。やつの本当の怖さは狡猾さと悪逆さにあるんだ」


 鬼子母神に頭を掴まれた元凶はとても小さく弱弱しく見える鬼であったが、あれがここまで自分たちを苦しめていたのかと思うと人外の本当の恐ろしさを知ったような気がした。

 鬼子母神が空いている手を天邪鬼の腹に突き入れ抜き取ると、それが致命傷になったのか天邪鬼は力が抜けたようにダランと体を伸ばした。

 呆気なく散っていった天邪鬼を気にもせず、また柔和な顔に戻った鬼子母神は天邪鬼から引き抜いた手の平を広げる。

 そこにはぼんやりと光る小さな無数の欠片達が乗せられており、鬼子母神がその欠片達にふぅっと息を吹きかけると次第にひとつの球状に形を変える。

 しかしその玉は所々欠けており、無理やり接着剤で付けたようにヒビだらけでもあった。

 ヒビだらけの玉をゆっくりと芽衣の体に戻し地面に横たえた鬼子母神は、自分のできることはここまでだと言わんばかりに恵を一瞥すると、天邪鬼の死体を持ったまままた天界へと帰っていった。

 気づけば神々しくあたりを支配していた眩い光も収まり……


 天邪鬼の張った結界も既に消えたのか周りの景色には色が戻り風が木々を揺らしていた。


「……終わった……んですか?」

「ああ、終わったよ。私達の戦いはね。……しかし――」


 けだるそうに身を起こし、血まみれになりながらもおぼつかない足取りで美詞に支えられながら、今も祈りを解こうとしない恵の下に向かう。


「――貴女の戦いはこれからだ、近藤さん」


 尚斗に声をかけられたことにより顔を上げ、既に事が終わっていたことに気づいた。


「か……かみやさん……おわったのでしょうか……むすめは……どうなったのでしょうか……」


 涙目になりながら地面に横たわる芽衣へとふらふらと近寄っていく。

 尚斗も恵に続き芽衣に向かいながら事のあらましを伝える。


「鬼子母神のご慈悲により喰われた魂を取り返すことはできました。……しかし、バラバラになった魂の欠片は完全に修復することは叶わなかったようです」


 芽衣の下までたどり着いた尚斗が芽衣の状態を確認する。


「息はしているので無事魂は娘さんの体に戻ったみたいです。ただ……いつ目覚めるかは正直検討がつきません、このまま目覚めない可能性もある。また例え目覚めたとしても廃人になっている可能性もあるでしょう。……近藤さん、問います。それでも娘さんの目覚めを待ちますか?」

「……待ちます。当たり前です、親なんですから」

「近藤さん、まだ引き返せますよ?もし魂が破損した娘さんを見ていられないと言うのなら―「待ちます!」……いいのですね?」

「はい、娘はなにがあっても私が守ります。目覚める日がくるのを信じて寄り添い続けます」


 恵の意思の強さにこれ以上の説明は不要と感じた尚斗はこれからのことを話し出した。


「……わかりました。転院の手続きが必要ですね。怪異による被害者を受け入れている専門の病院があります。こちらから話を通しておきますが大丈夫ですか?」

「あ……なにからなにまでありがとうございます」

「いえ、アフターケアはいたしますのでお困りの際はいつでもお尋ねください。……私も信じます、また娘さんと日常に戻れることを」


 これにて今回の依頼は一応の達成となった。

 近藤家にとってはこれからが戦いになるだろう。

 しかし尚斗はなんとなくだが……よい結果がいずれ訪れるだろうと予感していた。

 使い古された言い回しだが、「親の愛情はきっと届く」だろうと。


   





 ファイル№〇〇 依頼者:近藤恵

 娘、近藤芽衣の経過レポート

 

 〇月〇日 転院完了、植物状態にある対象者の生命維持には問題なし。


 〇月〇日 近藤恵より経過報告を受けるが依然容態に変わりなし。


 〇月〇日 植物状態に入り三か月経過、依然変化なし。※西村亮太が見舞いに訪れサポートしているとの報告を受ける。


 〇月〇日 四か月が経過。本日対象者が意識を取り戻すが意思疎通が叶わず、10分ほど発狂し暴れた後また昏睡状態に。


 〇月〇日 本日また意識を取り戻すが発狂し暴れる状態が続く。恐らく魂は回復してきているが、天邪鬼に相当な恐怖を植え付けられた状態で喰われたのかもしれない。

 ~


 ~

 〇月〇日 対象者が植物状態に陥り一年が経過。目覚めて発狂した回数58回目の目覚め。本日の目覚めはとても穏やかなものであったとのこと。しっかり受け応えもできており記憶の混濁が少しみられる程度。


 〇月〇日 今も恐怖が蘇ることはあるみたいだがだいぶ頻度は減っている。克服とまではいかないが現在はカウンセリングを受けながらの回復中。


 〇月〇日 本日退院。日常生活を送れるまでに快復したようだ。魂の状態を診断してみたが、少々の欠損は見られるもののそれ以外はしっかり治っている、もう大丈夫だろう。今後特記事項がない限りこれにてレポートを終了する。



― 第四章 完 ―

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