第9話 紅の迷走 紅の双璧vsクリエリエ?

キキョウ  「前回のあらすじ!紅殿が修行から逃げることに成功した矢先、


      別の修行でつまずいたでござる」


紅     「もうちょっとオブラートに包んでくれ!!」




ー紅の心の中、洞窟ー




紅の双璧くれないのそうへき”それはリエが完成させた


脳のリミッターを解放するシステム。そして自我の暴走により生まれた俺の名。


今、俺自身の闇と対峙する。やはり貴様か!!リエ!!




リエ    「紅、あんたSNSで怪文書クリエール紹介されたからって


      調子乗りすぎよ?あと紹介してくださりありがとうございます」


紅     「しょっぱなから裏事情を話すな!!」




開口一番にフリーダムな発言をする少女。クリエリエ。真紅のツインテールで


頬に絆創膏。好きなものはポテチにコーラ、深夜遅くまでのゲーム。


そんな生活だから体形は細いわりに尻肉に脂肪がついている


西部劇のガンマン姿な魔法少女。ロボの話をすると理性が壊れだすぞ!!




紅の双璧。クリエリエの別人格。実家に帰る際リエと分離したが、


人々の魂を糧に復活。普段は全長15cmでランに作ってもらったゴスロリ服。


今は等身大ロボに搭乗中だがロボは白のメイド服。


真紅のツインテールはリエと変わらず。


電気と魔法エネルギーのハイブリット魔法少女なのだ!


補足だが百合物怪文書クリエールを紹介してくれて感謝するぞ!!




リエ    「あんたもゴマすってくスタイルなのね」ドン引き


紅     「元が一緒なのだから仕方あるまい?


      だが皮肉だ。俺の自我の暴走がリエとはな」


リエ    「私と紅は表裏一体だからね。どう?自分と戦える?」


具問だな。そのためにここにいる!




紅     「魔法ゴスロリ!モード紅!!」


リエ    「魔法ウエスタン!クリエール!」


紅・リエ  「作戦開始!!」






リエがサブアームを駆使して銃で遠距離攻撃ならば、


俺は状況に合わせ武器を召喚していく。今はけん制用2丁拳銃だ


自分同士というのか手の内が分かる相手というのはやりづらい。


俺は近接戦を仕掛けたいが、リエは中距離が得意だ。


故に攻めあぐねていた。銃撃戦の中リエが状況を破壊した。






リエ    「特別ゲストを呼びましょうか?キキョウ、出番よ?」


キキョウ  「リエ殿と紅殿ね。状況は把握したでござる」


紅     「なんで俺の心の中にキキョウがいるのだ!怖いわ!」


キキョウ  「いやぁ、紅殿の機械の体にちょいと細工をしたで候」




キキョウ。紫髪ロング。その昔”紫の双璧”の通り名で俺とタッグを組んでいた。


本名キキョウ・リゾルート。忍者やサムライの影響で語尾が狂っているが、


機械知識は豊富。シスターのような清楚な姿だが腹黒。


敵はじわじわ痛めつけるタイプ。本名キキョウ・リゾルート




キキョウ  「オラッ!催眠デカール!これで二人とも拙者の虜でござる」


お腹に張り付けられたそれはプリントされた薄いシールのようなものだった。


細い装飾が特徴でお腹の当りにハートマークがある。


キキョウ様 「ちなみにデカールは張り直しできないから、サポート用


      接着剤でずれを修整するのがおすすめでござる」


地の文まで浸食してきたキキョウ様のことは置いておき、


リエはもうだめだ。朝の時間に流せない状態だ。




リエ    「キキョウ様ぁ♡リエはぁ、あなたのペットです!」はぁはぁ


紅     「くっ。キキョウ様には負けるものかぁ♡」


キキョウ様 「しょうがないでござるね。紅殿は。これ何かわかる?


      そう首輪!ちゃんと真紅のカラーでござるよ」


紅     「そんなものぉ、欲しいわけがなかろう♡」チラッ


リエ    「どう?似合う?キキョウ様のプレゼントの首輪。


      あんたには似合わないと思うけど?」


キキョウ様 「喧嘩はダメでござるよリエ殿。拙者達はお散歩に行こうかな。


      留守番は任せたでござるよー」




俺はまた一人になるのか?嫌だ。それだけはダメだ。


仲間がせっかくできても、結局はリエの代替品。劣化コピーでしかないか。


今ここで首輪をつけてキキョウ様に飼ってもらうのが幸せでしょ。


一生を尽くして愛してくれる存在とともにいるのだから。


それが”私”の幸せかもしれない。けどっ!しかしっ!!だがっ!!!


ラン達が待っているのだ、この先に!!そして本物のキキョウも!


キキョウに甘えるのもそれでいい!それでも”俺”は


”頼りたいより、頼られたいのだ”


魔法で催眠デカールを消滅させ啖呵を切る




紅     「キキョウ!これ以上の暴挙は俺が許さぬ!!


      他人なんぞに縛られる俺ではない!!


      逆に首輪をつけ服従させてやる!!」


キキョウ  「大胆な告白でござるなぁ。でもリエ殿は陥落した。


      中々壊れない玩具は好きでござるよ?


      いや、今壊そう!関節をへし折って


      悶え苦しんでも、また直せばいいでござるから!


      洗脳された自分の別人格と戦うシチュ!


      くぅうう燃えるし萌えるでござる!!」


紅     「斬るべき邪悪が二人に増えたな」ドン引き




ドン引きしている場合ではなかった。


もはや前作の活躍の面影の無いリエが銃で攻めてくる。


リエ    「なんで洞窟戦なのよ!クリエール呼べないじゃない!!」


紅     「何でもかんでも15mのロボで解決しようとするな!


      魔法少女物だぞ!!」


リエ    「魔法少女らしい要素少なめじゃない!紅も!」


紅     「ちゃんと変身しただろうが!!」


キキョウ  「姉妹喧嘩でござるなぁ」


紅・リエ  「誰が姉妹だ!!」


キキョウ  「実はリエ殿洗脳解けてるでしょ?」


リエ    「ごめんなさいっ、キキョウ様♡持病のようなものでしてぇ♡」


紅     「隙ありだな!リエ。本命はキキョウだ!!」バンバン


キキョウ  「そうは問屋が卸さぬぞよ?」ワイヤーぐいー


リエ    「うぐぅ」


紅     「リエ!!」




キキョウを狙った二丁拳銃がリエによって阻まれた。いやどちらも敵なのだから


問題はないのだが、この光景は覚えがある。過去に俺がキキョウにした


仕打ちと同じ。自らの盾として仲間を使いつぶす戦略。




キキョウ  「卑怯だなんて思わないでね?昔の貴方と同じ事をした。


      ただそれだけよ?


      それでもリエをうまく使えるのは私だけ。


      貴方は戦闘センスに優れていても理想が高すぎるの。


      チームの勝利という大きな目標であるマクロに対し、


      自分の戦果という小さなミクロの視点に囚われる。


      理由は二対一の状況で相手の心配をしているんですもの。


      昔の紅なら容赦なく切り伏せていた


      昔の紅ならリエを盾にした


      昔の紅なら今の貴方に勝てるでしょう。


      昔の紅より弱くなった貴方では私たちに勝てない。


      


      残念ながら貴方は主人公の器ではない。


      物語のような成長もなく、


      アニメのような華々しい戦果もなく、


      ゲームのような万人に好かれる人格でもない。


   


      貴方は何者なんです?


      貴方は何が目標なの?


      貴方は何が敵なの?


      貴方の味方って誰?


      貴方の長所って何?


      貴方独自の戦闘スタイルって何?


      貴方は世界をどう変えたいの?


      貴方は見返りなしで世界を救えるの?




      そして貴方では私を救えない」




紅     「え?なんだって?語尾が無いから分からないでござる」


リエ    「・・・・」


キキョウ  「リエ殿がツッコミを放棄した?リエ殿ー?いや違う!!


      拙者のセリフにショックを受けて気絶したでござる!」




いや、リエはランを説得して宇宙に出たから目標は達成しただろ!


一人で老衰するなんて言ってたリエが、仲間とともにいるのだ。


正直羨ましくありつつ、俺はその仲間だろうかと疑問を持ってしまう。




紅     「とりあえずリエを寝かせておいてやれ。


      これで卑怯にも一対一での戦いだ。


      キキョウでは俺に勝てないからな」


キキョウ  「拙者は軍師キャラでござるから、正々堂々


      一対多数で戦うでござるよ!!!」


紅     「正々堂々ってスマホで調べてこい!!!」


キキョウ  「まあ、リエ殿を盾にすれば戦局は変わらない。


      じわじわといたぶるでござるよ?」


紅     「昔の俺では勝てないと言ったな?


      だが今の俺でしかできない戦術は見つけたぞ?


      この空間に入る前からな!!」






2丁拳銃を構え突撃する!リエは盾となっている。


片腕の銃を投げ捨て、リエの頭を鷲掴みして電流を流す!




リエ    「くぁWせDRFTGYふじこLP」


キキョウ  「ワイヤー辺りが熱いでござる。これは電気?」


紅     「ご名答。昔の俺になくて、今の俺しかないもの。


      それは機械の体だ!」


キキョウ  「正直こんなに早く気が付くとはね、


      紅殿あっぱれでござる。


      説得で倒せないなら、実力行使で


      飼い主を決めるでござる!!」


キキョウの本気。3つの頭を持つケルベロスを模した


正面アーマー。ちょうど肩、胸、肩に犬の頭型の装飾が取り付く。


俺はキキョウのワイヤーを切断し、リエの首輪に新たなワイヤーを


取り付ける。


紅     「俺はリエにマジカルヘッドセットを装備!


      さらにカードを一枚伏せてターンエンド!」ドン☆


キキョウ  「番組違うでござるよ!」カン☆コーン




ランお得意の会話誘導。俺は身内限定でしか使えないがな


リエを支配下に置く時間さえ稼げればそれでいい




キキョウ  「狩りつくすでござるよ?ケルベロス!!」


紅     「目覚めよ!リエ!


      雷滅葬我!(クラッキング・オペレーション)」


キキョウ  「隙だらけ!残念ながらケルベロスはワイヤーで


      遠隔操作可能でござる!おとなしく


激しいビームの嵐がキキョウを襲う。当然俺の攻撃ではない


リエ    「撃ち落とされてるじゃない?あなたのケルベロス」


キキョウ  「あの強情なリエ殿が、紅殿に加勢した?」


紅     「雷滅葬我は脳に電気を流し


      本人の意思とは異なる挙動を演じさせる。


      生者だろうが死者だろうがな」




所詮人間などゼロとイチの電気信号で動く生物にすぎない。


静電気のように電気が流れれば意志とは関係なく体が動くだろう?


リエにキキョウのケルベロスを攻撃させるなど造作もない




リエ    「降参しなさい?キキョウ。いくら魔法が使えても


      二対一のこの盤面は返せないし、変えさせない!」


紅     「チェックメイトだな、キキョウ!」


キキョウ  「これは厳しいでござる。でもいいの?


      自分の支配下に置いたリエ殿を倒して


      紅殿は満足でござるか?


      紅殿のプライドはちっぽけでござるなwww」


紅     「この戦局で煽るのを止めないのは偽物でも凄いな」


リエ    「で?自由に体を動かせない時点で私の負け。


      キキョウも戦意喪失。紅は自身の戦い方を見つけた。


      もう私たちに用はないはずよ?さっさと本物を


      救ってきなさいな」


紅     「当然だ!だが、リエ!もしもの時は力を借りるかもしれん!」


リエ    「その時が来ないことを祈るわ。私ってほらコミュ障だし。


      極限の集中力のチカラだけはいつでも持ってっていいわ。


      あんたのことだから無茶しかしないだろうし」


キキョウ  「どっちもツンデレでござるなぁ」


紅・リエ  「誰がツンデレだ!!!」






ー宇宙船外、疑似体育館内部ー




いざこざがあったが脳のモヤが晴れた。


これがモード紅。いや、完璧に制御できているから違うか






紅     「待たせたなスミレ!真の紅の双璧!此処に極めたり!」


スミレ   「おかえりなさいませ、紅様。心よりお待ちしておりました」




スミレはこう言っているが腕立てをしながらである。


このメイド自由すぎる!蒼転寺家はねじがぶっ飛んでいるぞ。




スミレ   「僭越ながら”真紅の双璧しんくのそうへき”のほうが


      読みやすいかと思います」


紅     「気に入ったぞ!スミレ!真紅の双璧か。


      フフ、フハハ、アーハッハッハ!!!」


スミレ   「この悪鬼、以前より調子に乗ってますね」(お似合いです)


紅     「心の声漏れてるぞ。スミレ」




答え合わせだ!電気の熱で平均台の雨水、メイド服の湿気を蒸発させればいい。


足元は滑らないし、服も重くならない!皿の上の玩具さえ気を付ければいいのだ。


これが俺にしかできない攻略法!見つけたぞリエ!いずれ追いついて見せる!




ゴール地点でプラ容器を見つける。中にはホットドックが入っていた。


プラ容器が正規の方法で使われているのは珍しい。


正直機械の体だからホットドッグを紙ごと食べても問題はないが、


ヤギと思われても困る。紙を広げると寄せ書きのように文章が連なっていた。




リエ    ”おめでとう!これでいい?”


ラン    ”おかわりならいつでも待ってるわ”


カトレア  ”タオルはあげるわ。次も努力しなさいな”


キキョウ  ”紅殿、過去を克服したでござるな”


クローバー ”うむ、おめでとうなのじゃ紅の字”


コーダ   ”あはは、こんな短時間でクリアするとは思わなかったぞ”




全く、この魔法少女たちは何を考えているのだ。


俺より年上がノリノリで文章を書くんじゃない!


あとリエ!もうちょっと褒めろ。俺は褒められて伸びるタイプぞ!!




スミレ   「紅様、ハンカチを。お顔が酷いことになってますよ?」


紅     「無用だ!これは・・・嬉し涙だからな!!」




例の紙はプラ容器に入れてスミレに預け出撃準備に入る




ー宇宙船、カタパルト内部ー




紅     「スミレ!交戦ポイントを出せ!俺も出る!!」


スミレ   「そんなに仲間を信用できませんか?紅様。


      5人もの魔法少女が戦っているのですから


      決着はすぐにつきますよ?」


紅     「俺の憧れが負けることなど許さん!


      これは俺の為じゃない。チームの勝利を確実にするため!


      母艦の防衛は任せたぞ!スミレ!!」


スミレ   「自由奔放ですね。リエ様に似たのでしょうか?」


紅     「こんな濃い仲間といたら、全員の影響受けるだろうさ」


スミレ   「微妙にコーダ様っぽい言い回しですね」


紅     「正直俺は一人だと思っていた。でも今回の件で


      吹っ切れたと思う。ありがとうスミレ」


スミレ   「その言葉はリエ様に送るといいですよ?」


紅     「提案は却下だ。俺にもプライドという物がある!」


スミレ   「素直じゃありませんね、二人とも。データ取得完了。


      座標は送りました。発射タイミングを紅様に任せます」


紅     「承知した!


      紅の双璧、カンパニュラベルリオス!作戦開始!!」


カタパルトから射出される俺を祝福するかのような虹を目指し


俺は進む。腐れ縁たちにお礼を言うためにな!!




 




ー宇宙船内管制室ー


スミレ   「行ってしまわれましたね。紅様。


      私は間違っていたのでしょうか。基礎体力ではなく


      仲間とのキズナを紡いだほうが良かったのでしょうか」


コーダ   「さあな?だがどちらも必要だったのさ。


      順番なんて些細な誤差だ」


スミレ   「いらしたのですねコーダ様。申し訳ありません。


      情けないところをお見せしてしまって」


コーダ   「ああ、紅君が自分らしさを見つける前に出撃したら


      止める予定だったからな。あと口調は崩していいぞ」


スミレ   「素直に直接出て褒めればいいじゃありませんか」


コーダ   「君の弟子だ。ここは師匠に花を持たせるのが正解」


スミレ   「敵いませんね、コーダには。私ではそこまで気は回りませんよ」


コーダ   「あはははは、ここまで濃いメンツが揃うと


      自然に影響を受けてしまうのさ」


スミレ   「それ、紅様も言ってましたよ?」


コーダ   「あちゃー、ネタ被りはよくないな。体育館10週してきます!


      スミレ先生!!」


スミレ   「一緒に付き合いますよ、コーダ。


      青春らしく夕日でも目指しましょうか?」


コーダ   「私はバイクがいいぞ。スミレを乗っけてさ。


      見知らぬ街で自販機のハンバーガー食べて。


      トイレが見つからないハプニングや、


      急なパンクで立ち往生したりな。


      雨の日も風の日も馬鹿みたいにまっすぐ進んでさ。


      いつかたどり着く世界の果てとやらを見てみたい」


スミレ   「本当にあなたには私の知らない世界を


      見せるのが上手ですね」


コーダ   「自分の知ってることなんて限りがあるからな。


      だから求めてしまうんだ。どんなくだらない世界でもな。


      一人ではこんな感情は湧きあがらなかった。


      皆が思っているほど私は強くないんだ。虚勢張って


      笑っても限度という物がある。夜には何度君に


      迷惑をかけたか分からないしな」


スミレ   「私は何もしていませんよ?」


コーダ   「あはははは、どちらが主人かメイドか分からないな」


スミレ   「それが私達らしさかもしれませんね♪」 






アトガキ 「書き貯めSKSK、ないなった」




紅    「それにしてもキキョウの正論で攻める戦術、アレ嫌われるぞ?」


キキョウ 「悪役ロールプレイでござるからな。


     そういう演技をしていたからそれで正解。


     現実やネットのお友達には使ったらだめでござるよ?」


紅    「俺に嫌われたらどうする気だったのだ?」


キキョウ 「紅ならあの程度の悪意余裕でしょ?


     むしろヒラヒラの衣装をネットに拡散したほうが


     廃人になりそう♪」


紅    「他人行儀で語尾外されるのも辛いのだが!!」


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