第3話 どういうことなの?!?

「ねぇ、なぜ?!



 この家に一人も使用人がいないのは、




 なぜなの?!!」



サラウが喚き散らすのを、



僕、クルスは少し離れたところから


眺めた。




くだらないやつ。




「ねぇ、クルス!!



 黙ってないで、



 なんとか言ってよ!」




なぜ同じ姉妹で


こうも性格が違うんだろう。




あぁ、うるさい。



僕は耳を押さえたい衝動に駆られる。




が、


しょうがない。




きっとこれは、


ラミナがサラウを


穏便に追い返すために仕掛けた



罠に違いないと思う。




「まぁ、そう怒らないでください。



 貴方が来る前から、




 この家にはずっと



 使用人がいないのです。」




これは本当の話だ。


食事の用意、洗濯、掃除まで


全て


ラミナが一人でやってくれていた。





「はぁ?!


 なぜ?!」





あぁ、口が悪い。





「サラウ嬢も聞いていたでしょう?




 僕は全王の時代、



 王の不興を買い、



 役職につくことができず、




 金銭的に苦しい状況でした。




 そのため使用人を雇う余裕は



 無かったのです。」





ラミナは


僕を睨みつけた。



きつい顔だなあ。


早くラミナの優しい笑顔が


見たいんだけど。





「少し前はそうだったかも



 しれないけど、




 今は違うでしょう?!




 なぜ使用人を雇わないの!」






「今はまだ、



 役職につけて



 日が浅い。




 使用人を雇うだけの




 金が無いのです。」



まぁ、これは嘘だ。



僕はラミナに


何度も尋ねた。



一人で全ての家事をするのは


大変だろ?



使用人を雇おうと思うんだけど。





ラミナはいつもにっこりと笑って


答えた。




良いのです、クルス様。


私は家事が全然苦ではありません。




クルス様と、


二人でいられることが



何よりも幸せなのです。



 

今から思うと、


ラミナは



サラウが自分の場所を


とって変わろうとすると


予測していたのかもしれない。





「そんなっっ。」




馬鹿だね、


サラウ。



君は家事なんてできっこないだろ?






「僕はこれからも、



 使用人を雇うつもりはないよ?




 もしも君がここにいたいなら、




 家事全て、



 君にやってもらわなきゃいけない。」




さぁ出ていけ。


ここは君の場所じゃないんだ。


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