第2話 罠をしかけたの。
「初めから会わなければ、
こんなに辛く無かったのに。」
実家に帰った私は
かつてのように部屋に閉じこもって
ぼんやりとしていた。
初めから
クルス様は
サラウと婚約するはずだった。
クルス様との
婚約をしたくない、
と駄々をこねたのはサラウだ。
クルス様は
上級伯爵家の当主であり、
この国における身分は
高かった。
だが、
サラウと婚約話が出た当初、
クルス様の家は困窮していた。
王の不興を買い、
役職にもつけず、
家が取り壊されるのではないか、
という噂すらたっていた。
クルス様と結婚すれば、
貧乏生活が待っていると
確信したサラウは、
クルス様との婚約を
断固拒否した。
そこで、
私に突然
婚約の話があがった。
ラミナをクルスと
婚約させればいいじゃない!
そのサラウの一言で
私はクルス様と婚約することになった。
だが、
事態は変わった。
王が急死し、
皇太子が国王になると、
クルス様は
国王の右腕としての役職を
与えられた。
クルス様は、
皇太子とは
学生時代からの友人なのさ、
と私に教えてくれた。
「けど、
サラウに、
我慢できるのかしら。」
私は、ただ
じっくりと待っていた。
サラウが
全てが嫌になって
この家に戻ってくるのを。
クルス様が
偉くなった途端、
サラウは態度を変え、
私から婚約者を奪い取った。
そんなサラウを
私は許したくない。
「私が、
貴方に虐められてばかりだと、
思わないでよね。」
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