再会
その名前は、僕が中学二年生のときに失恋したあの子と全く同じ名前だった。
(なんで篠原さんがこの学校にいるんだ!)
ここで少し、僕の高校受験について話そう。
僕は自分で言うのもなんだけど、そこそこ頭がいい方だと思う。でも、将来の夢などは特に決まっていなかった。
よって、
「近くで1番偉い高校に進学すればいっか」
という安直な考えの下、この高校を選んだのだ。
そのため、このような事態は全くの想定していなかった。
(よかった。篠原さん以外は元々僕がいた中学出身はいないな)
「コウくん、どうかした?」
「だ、大丈夫、なんでもない」
「そういえば、孝憲くん。職員室に行かないといけないって言ってませんでしたっけ?」
「あ、本当だ」
「コウくん、初日から何しでかしたの?」
「何もしてねぇよ。入試が主席だったから、新入生代表挨拶をしろって呼ばれてるんだ」
僕は夏樹と優里と別れて職員室に向かった。
※
(この学校マジで広いな)
校舎の中を歩きつつ、そんなことを思っている内に職員室に着いた。
「失礼します。金木孝憲です。新入生代表挨拶の件で来ました」
その後はつつがなく話が進み、すぐに解放された。
「失礼しました」
教室に行くために1人で歩いている途中、なんとなく下駄箱の方に視線を向けると、上履きを履こうとしている篠原さんと目が合った。
「お、おはよう。久しぶりだね」
「……」
篠原さんは僕を無視して、僕の前を通り過ぎていった。
(無視か……まあ、仕方がないか。中学の頃は毎日告白をして、付き纏ってたからなあ。高校では距離を置くようにしよう)
篠原さんと距離をとりつつ、僕も教室に向かった。
教室に入るとすぐに、夏樹と優里が近づいてきた。
「どうでしたか?」
「や、特に何もなかったよ」
「コウくん。コウくん。そんなことより、さっきまで優里くんと話してたんだけどさ、今日学校終わったら3人一緒にゲーセン行かない?」
「お、いいね。優里はいいのか?」
「いいですよ。今日は学校が終わるの早いですし、ちゃんとお金は持ってますから(ドヤ顔)」
「じゃあ、決定だね。楽しみだなー。早く学校終わらないかなー」
そんなことを話している内に
ガラガラガラ
「皆さん、席についてください」
担任の先生がやってきたようだ。
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