登校中

「コウくーん」


すごい懐かしい声が聞こえてきた。


ドーン!


ついでに、強い衝撃が僕の背中を襲った。


「やめろ、夏樹」


彼女の名前は橘夏樹たちばななつき

彼女と僕との関係を一言で表すとするのなら、悪友というのが1番近いのかもしれない。


彼女とはよく、放課後にゲーセンに行って、一緒に遊んだものだ……


春休みに入ってからは、受験期で見れていなかったアニメとかラノベやらを消化していたため、会えていなかったのだ。


「久しぶりだね、コウくん。元気にしてた?私と会えずに悲しかった?うんうん、悲しかったよね……でも大丈夫!幸いにも同じ高校だしね。また今度一緒に遊びに行こうね」


なぜ、夏樹が僕のことをコウくんと呼ぶかについては「孝」という漢字を音読みしたからである。なんでこんな奴がこの高校受かったんだろう……


現状を整理する。


まず、周りには登校中の生徒が沢山いる。

そして、橘夏樹は可愛い女の子である。


では、問題だ。他の生徒から見たら、可愛い女の子が、普メンの男に後ろから抱きついて話している状況を見てどう思うだろうか。


答えは……


(うぁ、すげーみんながリア充爆発しろみたいな目でこちらを見てくる。中には殺意の籠った視線も感じるし。というか、夏樹さん……その……胸……当たってます)


「あのー、えっと、そのー、孝憲くんが戸惑ってるようなんですけど……」


あ、そういえば優里がいたわ。


「コウくん、この子誰?」


夏樹は僕から離れると、優里のことについて聞いてきた。


「あー、この子?段ボールに拾ってくださいって書いてあって、その中に入ってたから拾ったんだよ」


「へー、そうなんだ」


「納得しないでください!そんなことあるわけないじゃないですか。というか、なんで人が道端に捨てられてるんですか!」


「まあ、そんなこともあるよ(ニコッ)」


「答えになってません!」


「あんた達仲良いね」


「そう言えば夏樹、昨日発売されたジャ○プもう買った?」


「買ったよ。それでさ……」


「孝憲くん逃げないでください。まだ話は終わってませんよ!」


そんなことを話している内に学校に着いてしまった。



「お、みんな同じクラスだな」


「やったー」


「これからクラスメートとしてよろしくお願いします」


クラス分けが書いてある模造紙もぞうしを見ると、幸運なことに皆同じクラスだった。


(他にどんな人がいるか……ん?)

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