第五話 握手
「「ファンタジアトピア…?」」
俺と流奈は不思議そうに言った。
「あれ、並行世界説も知らないんですか?
田舎者~。」
魔法使いのような女に先ほどの仕返しをされてしまった…
それはともかく、ファンタジアトピア?並行世界説?なんだそりゃ?
「つまり、私たちのいる世界の他にもパラレルワールドが存在するってこと?」
「あぁ、そういうことだ。」
こいつらの説明したことをまとめると、
・この世界の他にも無数の世界、すなわちパラレルワールドが広がっている。
・俺たちの住んでいるこの世界は「田園世界」、こいつらが住んでいた世界は「夢魔世界」というらしい。
・夢魔世界には魔物などが存在し、勇者や魔法使いが王に仕えている。
・テロリスト集団の正体は新世界教会という謎の宗教らしく、勇者や魔法使いを狙い、最近は魔物討伐よりもこっちの方が仕事のメインになっているそうだ。
「まぁ、そういったところだ。」
「この世界、いや、無数の世界には私たちの知らないことがいっぱいあるのね。」
流奈が感心そうに言った。
「ところで、君たちの名前を聞いてなかったな。
俺の名前はウラヌ、一応これでもパーティーを率いてる勇者。
こっちから順に、魔法使いのホミィ、武闘家のカイ、僧侶のクラムだ。
よろしくな。」
他の三人たちも次々に挨拶した。
「俺は陽斗、
こっちは
俺はバスケ部で、流奈はマネージャー(といっても殆ど来ないが…)。
どっちも16歳の高校2年生だ。
こっちこそよろしく。」
俺とウラヌは互いに握手を交わした。
「ところで、何でウラヌたちはここ世界にやってきたんだ。」
「そ、それは…」
俺がそのことを問うと、ウラヌたち一同は何故かあからさまに暗い顔をした。
「実は、同僚というか、同期というか…仕事仲間に裏切られちゃって…」
ホミィが答えた。
「城の中庭に放火したっていう濡れ衣を着させられて…
裁判に掛けられて島流しに遭っちゃいました…」
「島流しって…」
俺は苦笑した。
「ねぇ、あなたたちってどこで一晩過ごすつもりなの?」
流奈が尋ねた。
「野宿の予定…だけど」
「私たち、野宿には慣れっこだもんね」
ウラヌとホミィが答えた。
「じゃあ、私の家で面倒観てあげようか?」
「いいんですか!?」
ホミィが驚いた口調で言った。
「流奈の家は親が大学教授で金持ちだからな。」
「でもそんな…迷惑ですし…」
「大丈夫、大丈夫。
うちの親滅多に帰ってこないから。」
「流奈、ありがとな!」
カイがお辞儀をして喫茶店中に響く声で言った。
「あ、そうだ」
と流奈は顔をこっちに向け、アハと笑いながら言った。
「今日、うち泊まっていく?」
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