第7話 なろう系について研究する人

 前回で書く小説の要件が決まりましたので、まずはなろう系の強みを活かすためテンプレの検討。なろう系の強みについて。


 書く側、読む側の両方から見ても、なろう系、というか、なーろっぱ系(いわゆるゲームの中みたいなヨーロッパ風世界)のいいところは「世界観の説明を端折れる」かと思います。「ゲームみたいな世界」の一言で世界説明が片付く。最初からすんなり世界に入っていける。昔のハイファンタジーを読んでいた人からするとこれは画期的なんですよ。「世界観のOS化」ですね。


 なお、ローファンタジー(いわゆる現代ファンタジー)でも世界観説明は端折れますが、今度は「現代日本にダンジョンがあることが社会に与える影響について整合性」みたいなのが必要だったりします。予知能力がありふれてたら競馬とか成り立たないだろうみたいな。現代ダンジョンものがディストピアになりがちなのはその辺の整合を取るのが大変だからですかね。これは突き詰めれば面白いところなんですが、SFっぽくなるので考証が大変かも。


 それから、なろう系=転生/転移の場合、主人公が日本人の知識を持っているので現代日本の言葉や価値観で考えても不自然でない。これは実は大きなメリットです。ファンタジー世界の住人が現代日本人が理解できる概念でモノを語るというのは概念や語彙の制約が強くてかなり大変ですが、その制約がない。書く方も読む方も圧倒的に楽。なので、ファンタジー世界であれば転生/転移は必須かなと。ローファンタジーならそのままでいいですけど。


 一方、なろうといえばチート。ファンタジーなら転生してなくても魔法使えて普通ですが、転生/転移の特徴はまずは知識チートです。


 昔からタイムトラベルSFであった気がしますが、なろう系でも幼女戦記みたいに歴史知識で無双みたいな話がありますよね。そこまでじゃなくても現代の知識をなーろっぱ世界に持ち込むだけで違和感無しに読者に共感してもらえるチートが可能。ジャガイモやオセロなどは有名ですが、まだなにか考えどころはあるはず。考え落ちになりそうな気もするけど


 また、ゲーム的な世界観システムとチートをうまく組み合わせれば読者の納得感を上げられます。いわゆる「自分だけレベルアップ10倍」とかそういうの。あとはゲームの世界に入っちゃった系であれば元ゲームの知識を使うというのもありますね。元ゲームの設定を考えないといけないのでちょっと大変ですが、後出しゲームルールで知識チートできるという利点もあります。ただ後出ししまくると話の整合性を取るのが大変かも。


 ところで要件定義にもありますが、今回の小説の核となるのは「斬新で強力なチート」です。今回はバトルをメインに考えたいので、なるべく汎用性で物語中で何度も使えてバトル向きなチートが欲しいところ。できたら「弱そうだけど実は強い」とかだといいな。


 このなろう小説、なんか似たものがあったなと思ったら、時代劇のフォーマットがそんな感じですね。いつの世も一般化したフォーマットは強いです。もっともフォーマットに載せて書くだけだと「なんか見たような話」にしかならないので、どこかで読者に新規性を与えるオリジナリティを出したいところ。設定で差別化しない予定なのでやっぱりチートで。


 次回「汎用的で何度も使えてバトル向きで弱そうだけど実は強くてオリジナリティのあるチートを考える人」に続く。


――

筆者の書いた小説「妹ダン〜転生チートで妹にレベル譲渡してダンジョンを攻略します!」読んでレビューいただけると嬉しいです(続編待っている方もちゃんと書いてますので安心してください)

↓↓こちら↓↓

https://kakuyomu.jp/works/16817139559030247252

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