第4話「試験」
「さて、じゃあ契約も済んだ事だし俺からの選別だ。 好きな武器を選べ」
俺は部屋の至る所に転がってる武器を指す。
「まぁ別に冒険者じゃなくてもいいが、取り合えず金貨一枚一週間以内に収めろ。それでこれからやる行為は全部チャラにしてやる」
「ジン、対等でしょ?」
「まぁそうだけど、俺だってパートナーを選ぶ権利はあるだろ? 試験だよ試験」
「……」
俺がそう言うとルナは黙って立ち上がり、部屋を物色する。
「俺のオススメは「これにする」
……相変わらず判断の速い事で。
「短剣、これでいいのか? 変更は出来ねぇぞ」
俺はそう言うがルナは決意を決めた様だ。
「OK、とその前にちょっと首輪かせ」
ルナに近づき首輪に魔力を流す。
『これから起こる事を他人に伝えようとする全ての行為を禁止する』
そんな仰々しいセリフにルナは警戒する。
「何?」
「まぁまぁ、じっとしてろ。後短剣は危ないからテーブルに置いとけ」
そう言うとルナは素直にナイフをテーブルに置く。
「動くなよ」
俺は短剣がテーブルに置かれるのを見てからルナの水色の頭を触りながら、スキルを発動する。
『短剣』
「ん! ッグ………」
その瞬間ルナは体を丸め、頭を両手で抱え震える。
「イタ…………ウ……」
暫くうずくまっていたが痛みが治まったのかこちらを睨む。
「はぁ……はぁ…………何!」
初めてやったけどこんな感じになるのか。
でも、実際どんな感じなんだろ。
「いいから、振ってみろ」
俺は短剣を指さし彼女に言う。
相当頭に来ていたのだろう。
ルナは立ち上がりテーブルに置いてある短剣を握ると一瞬でこちらに距離を詰め、俺の心臓目掛けて短剣を突き刺す。
が俺の服を貫通する事は出来ず止まる。
こりゃあすげぇ!
「嘘!」
「すげぇだろ、これが俺のスキルだ」
「なんで服が?」
「そっちは今良いだろ! てか躊躇なく主人を殺そうとすんな」
っち、折角俺のスキルの見せ場が。
確かに服でガードする方が見た目は派手か。
「あー兎に角、お前にスキルを渡した。これでそこそこ戦えんじゃね?」
「…………そう」
彼女は黙って、素振りをしている。
感触を確かめるように何度も、何度も振るう。
キレる頭にそこそこ戦える戦闘スキル、ようやく完成だな。
「……誰にも言うなよ?」
「言えないわ」
この野郎、可愛げがねぇ。
「金貨一枚、持ってこれなきゃお前は奴隷に戻す。契約も何もこれだけやって稼げないパートナーなんか要らない。ただ、この一週間、収めるのは金貨一枚だけで良い。どれだけ稼ごうが余った金は好きにしな」
「……わかった」
どうやら俺が何の勝算も無しにヒモに成りたいと言っていたわけじゃないと気付いたらしい、目がまともになった。
これなら金貨一枚なんて余裕だろ。
「じゃ、冒険者登録済ませに行くぞ。あ、ノルマ足していいなら防具も買いに行くけど」
「……クズ」
「……まぁ否定派しない、で? どうする?」
「要らない!」
その後、ギルドで軽くひと悶着あったが無事登録を済ませた。
さて、明日から一週間。
ルナはいくら稼ぐのか、楽しみだ。
でも防具は合った方が良いと思うんだけどなぁ…………。
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