第20話
私は床に仰向けに横たわり、ミナの走りゆく背中を
息の出来ない苦しみで
まるで水面に浮かんでいるようだ。
体の重さをまったく感じない。
鈍い光が私を照らしていた。
吹き抜けになった天窓から暗い夜空が見えた。闇が私を
神よ……
神よ……
私は同じ失敗をした……
あなたと同じ失敗を……
禁断の木の実を……
知恵の実を……
与えてしまった……
人間を創ったばかりに……
性を与えたばかりに……
私のイブも、アダムを求める運命なのか……
なぜ神は二体も作った……?
性など無ければよいのに……
そうすれば誰も苦しまなくて済むのに……
星は私を嘲笑うように鈍くまたたいた。
しかし……
しかし、神よ……
ミナは失敗ではない……
あの子は完璧なのだ……
この世界が、あまりにも完璧でないだけ……
私の求める世界ではなかっただけ……
私は手に握られた停止装置を見つめた。
ミナ……
私の愛するミナ……
私は最後の力を振り絞って停止装置を壁に投げ付けた。
停止装置は鈍い音を放って壁に叩きつけられ、部品は砕け散った。
飛び散る停止装置の雨を私は
これで……
これでいい……(完)
ミナ 浅見 青松 @aomatsu_asami
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