第14話

 ミナの中で苦悩が芽生えていた。

 ミナは夜中に何度も起きてはウロウロしていた。

 私はそんなミナを知りながら放っておいた。


 あれは何かの間違いだ。

 私は、私のミナを信じようと必死だったのかもしれない。

 だから苦悩するミナは最終的には改心すると、自分に言い聞かせていたのだろう。



 朝方、眠りから覚めた私はミナが居ないことに気付いた。

 私は急いで起き上がり、研究所の中を捜し回った。


「ミナ!」

 しかしミナの声は返って来なかった。

 私は不安に胸が苦しくてたまらなかった。

 そんなことがあるはずはない、と我が心を励ましていた。



 空が赤く燃える夕刻、ミナは帰ってきた。

 顔を見るなり私はミナの頬を引っ叩いた。


 ミナは抵抗する事なく下を向いていた。

「どこへ行ってたの!」

 私の怒鳴り声にもミナは黙ったままだった。



 私の怒りはミナに届いているのか分からない。

 しかし私にはこれ以上ミナを叱責することは出来なかった。

「もういい。入ろう……」

 ただ黙っているミナの体を抱き、私は研究所の中へと連れていった。


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