第9話

 ミナに表情が溢れていた。何に対しても興味を抱く。


「これは何?」「何でこれはこうなの?」


 体は少女だが、心は幼女。

 機械じみた脳内の演算ではなく、人間のように内外の刺激を受けて、経験から学習してゆく。


 興味から感情が生まれてゆく。


 そして汚れを知らない純真さ。

 ミナは愛くるしい少女へと変貌していった。



「ミナ、こっちへおいで」

「何?」

 近づくミナ。

「お昼寝の時間だよ」

「眠くないよ」

「いいからこっちへおいで」


 ミナはそばへ座った。私はロイドのシャツに手を掛ける。

 ミナは私の手を掴んだ。

「どうした?」

 ミナはうつむいて首を横に振っていた。

 私は構わずミナの肌を撫でた。


 するとどうだろう!

 ミナは吐息と共に恥じらいを見せた!


「だめ……」

 ミナは顔を赤く染めて、荒い吐息の中で私を力のないとろんとした目で見ていた。

「博士……」

 息が続かないままに声を出す。

「これ、何……?」

 初めて経験する自分の感覚に答えを求めていた。

「快感よ」



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