第6話
ロイド0ー36を診察台に寝かせた。
私の頭に苦悩がよぎる。
私は人間が嫌いではないのか?
なのに何故ロイドに、人間らしさを求めているのだろう?
私はロイドをより人間に近づけようとしている……
私の欲望は、ロイド0ー36を完全なる人間へと近づけることへと盲進していた。
「ロイド、これを飲んで」
テーブルの向かいに座ったロイド0ー36にコップを差し出した。
「何ですか、これは?」
私が作った液体。
これでロイド0ー36の脳はより人間に近づく。
脳をつまりは退化させる。
「これは……りんごジュースよ」
陽電子やタンパク質、メナトリウムなどを含んだ特殊な液体。
それにりんごを混ぜた。
知恵の実と称されるりんごを混ぜたのは、私の少しばかりの願掛けとユーモアであった。
「どう?」
「……変な味です」
飲み終えたロイド0ー36はフラフラと頭を揺らした。
「脳に浸透するまであなたの体をオフにすることは出来ないの。少しの間、脳に障害が表れるけど辛抱して」
「はい、分かりました」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます