第4話

 私は我ながら驚いた。

 これほどまでに人間の少女そのものとは!


「お、おはよう」

 私の言葉に反応して、軽く会釈をする。


 ロイド0ー36はベッドから立ち上がる。

 しかしドスンと尻持ちを突いた。

 ロイド0ー36は自分で自分に驚いている様子だった。


 私は腕を引っ張り、ロイド0ー36を立たせてやった。

「直に三半規管も正常になる」

 自分の体の重さを確かめるように踏みしめるロイド0ー36。


 一歩、また一歩と歩き出す。

 そのしなやかな体軀たいくを眺め、私はあまりの完璧ぶりに身震いがした。



 ロイド0ー36は純真無垢であった。

 かつ生みの親である私の言葉に忠誠であった。

 炊事、洗濯を申し付け通りに行う。

 料理も味付け具合も私好みであり、掃除の仕方も手を抜くことなく隅々まで磨く。


 私の意思を受け継いだ分身なのだ。

 私が手伝おうとすれば

「博士は休んでいてくださいね」

 と私を座らせる。

 まるで老女の家にホームヘルパーに来た少女のようだ。

 自分の為に身の回りを世話してくれる少女。

 ロイド0ー36は白いシャツを黒くさせて仕事を終える。

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