第2話

 金属はあふれていた。

 金属が街となり、金属が生活となる。


 病気や怪我で損傷した箇所は、遺伝子治療によって新しい部位と取り替えることが可能になった。


 しかしヒトゲノムからの遺伝子治療は莫大な金と時間が掛かる。

 その間に命を落とさぬよう、人は代替となる体を必要とした。



 希代の才媛と称された私はメナトリウムを開発。

 メナトリウムはどんな人間にも拒否反応が表れない炭素系金属。


 メナトリウムは体の部分治療として医学と提携された。

 たとえ心臓であろうが脳の一部であろうがメナトリウムによって代替が可能となった。



 まるで削った歯を金属で補うように、体はメナトリウムで補われ、人々は病気や怪我の苦しみから逃れるすべを得た。

 私はその世界的医学進歩とメナトリウムによって巨万の富を手に入れた。


 私は更なる欲望に芽生えていた。


 このメナトリウムを使えば人間が作れるのだと!


 もうそれは人造人間を超越した完全なる人間だ!



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