ミナ

浅見 青松

第1話

 ついに完成した!



「おはようございます、博士」

 目を開いた少女は私にしとやかに挨拶した。


 私は我ながら驚いた。

 これほどまでに人間の少女そのものとは!



 これこそ我が英知の集大成!

 これこそ我が情熱の賜物。


 これで全ての愛情の欲望を満たせるのだ!


 私は歓喜にうち震えた。





 私は愛を知らない。

 しかし人間は嫌いだ。

 人間は生々しい。

 私に合わない。


 この世界は何故に摂理などを決めたがる?


 私は未だに取り払われることのない障壁を持つ世間を捨て、山脈のふもとに密かなる研究所をしつらえた。



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