第8話 『悪役』と成長
今日も今日とて『迷いの森』へ。学園の入学まで時間が無いぞタイタン君、あと3日でどこまで成長できるかが君の死亡フラグを折れるかどうかにかかっていくんだ!
「まずは入学早々行われる『クラス分け』でちゃんとA組に入ることだ……」
『学園カグラザカ』のイベントでは、入学早々『クラス分け』というチュートリアル戦闘が行われる。
主人公はここで戦闘のチュートリアルが行われ、自動的にA組に入れられるのだが……ここでタイタン君はE組に入れられるのだ。
この『クラス分け』で実力を5段階に分けられ、強い人はA組に。弱い人はお察しの通り、B~E組に割り当てられる。
そして、この『クラス分け』には今後の授業形態に影響を及ぼす。A組は1年の最初から好きな授業を好きに受けられるのだが、逆にE組にまでなると3年間ガッチリ授業のカリキュラムを詰められて自由が無くなるんだよ。
タイタン君は前に言ったとおり、デバフ以外の才能はからっきしで剣ですらスライムを倒すのに一苦労。作中ではオニキス家という名前を使って教師を脅し、なんとか留年を回避するという小物ムーブをかましていたタイタン君。
「まぁ、全ての才能をデバフにつぎ込んだような性能だもんなタイタン君」
俺はボーッとスライムを倒しながらそう愚痴る。ん?あんなに苦労してたスライムに対して注意力散漫で大丈夫なのかって?まあ、見てみろよ。
タイタン の パラライズ!▼
スライム は 動けない!▼
スライム は 2 の毒のダメージ!▼
これが俺がボーッとしていても大丈夫な理由だ。まさか『迷いの森』で宝箱を見つけて、その中から『パラライズの魔法書』を手に入れる事が出来るとは……
レベル5になった俺がし始めたことは、迷いの森の周回攻略。スライム以外の敵もポイズンを掛けて剣でチクチクしてたら倒せた。というかタイタン君が撃つ状態異常の魔法、効きが良すぎるのよ……
「まじで調子に乗って挑んだゴブリンを毒ダメージだけで倒せるとは思わなかった」
毒ダメージは最大体力に対しての割合ダメージという特殊なダメージ計算をしている。あそこで麻痺っているスライムを例にして説明しよう。
スライムの平均体力は36、ポイズンがかかると……
スライム は 2 の毒のダメージ!▼
あんな風に2のダメージが入る。いや、本当に2のダメージが入ってるのかわかんねぇけど。理論上では最大の体力の約5%のダメージが継続して入っている事になるはずだ。
スライム は 2 の毒のダメージ!▼
スライム は 2 の毒のダメージ!▼
スライム は 2 の毒のダメージ!▼
スライム は 2 の毒のダメージ!▼
毒のダメージはどんな敵に対しても5%のダメージを継続して与える。人間相手だと毒にかかった次のターンに毒消し草を使われたりするんだけどね……
スライム は 2 の毒のダメージ!▼
スライム は 2 の毒のダメージ!▼
スライム は 2 の毒のダメージ!▼
スライム を 倒した!▼
ただ魔物相手だとこの通り。ポイズンだけで倒せちゃうというわけだ、本当はこんなこと無いんだけどね?
どれだけ長くても最大5ターンまでしか効き目が無いんだよこういう状態異常って。
しかし作中でのタイタン君が主人公にデバフを掛けていたときは基本的に戦闘終了まで効果が持続していて、当時はバグだなんだと運営にクレームが入れた奴が『仕様です』と一言で電話ガチャ切りされた話はあまりにも有名だ。
これがタイタン君の状態異常の効き目が良すぎるなんて言っている理由。ホント訳わかんない……
んで、俺がポイズンの魔法書を手に入れて始めたのが『迷いの森』の周回攻略ってわけ。まだボスには挑戦してないんだけどね?危ないから。
強くなるにはレベル上げ、そして魔法の
そしてスライムを倒して出てくる『キュアの魔法書』。いやもう3冊目!
「結局読めなかったなぁ、『キュアの魔法書』」
宝の持ち腐れとはまさにこのこと。魔法書は適性が無いと読めないのか、俺が読んでも全く理解が出来なかった……というか、なんて書いているか分からなかった。
逆にポイズンの魔法書は何を書かれていてどういう風に魔法を発動するのか、みたいな説明があったことを理解出来たので、多分適正なんじゃないかなぁ?
変なところでリアルなんだよね、この世界。ダメージ計算式はゲームと同じなのに、回避率やクリティカル率は狙って上げることが出来るし。
良い事ばかりでも無い。ゲームでは無かった状態異常……『骨折』や『風邪』といったものも自身の攻撃力や防御力、体力に影響している。
以前風邪を引いた状態でスライムと片手剣で戦ってたらダメージが入らなくてボーッとした頭で混乱していたもん。
あぁー……『キュアの魔法書』が出たせいで話がそれてしまった。
『迷いの森』の周回攻略が『ポイズンの魔法書』のお陰で出来る様になった俺は、石ころとポイズンで『迷いの森』を隅々まで攻略することにした。
その時に宝箱を見つけて、出てきたのがこの『パラライズの魔法書』。効果は単純、相手を麻痺状態にするデバフ魔法。
これが宝箱から出てきたとき、俺は狂喜乱舞したね!マジで運が良い、タイタン君の運って地味に高くない!?
レベルも7に上がって、ポイズンとパラライズも覚えた。残り時間は3日……やるか?ボス攻略。
俺は森の奥を眺める。そこにいるであろうイノシシ頭のアイツを想像して、身体を震わしたのは武者震いか、それとも死への恐怖か。
どっちにしろリスクを背負わなきゃダメだろ、タイタン君?任せろよ、俺が付いてるんだから。
――――
【後書き】
ここまで読んでいただきありがとうございます!
他の作品も書いていますので、こちらも読んでいただけると幸いです!
『現実でダンジョンを攻略するのはハードモードすぎないか?』
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