終わり。AIの責任はどこにある?

 警察から事情を聴かれ、正直に話した。

 だけど、いくら警察にサイバー部門があったとして、日本の実力はたかだか知れているため、これがハッキングによる殺害とは見抜かれなかった。


 自宅に帰った僕は、自室でボーっとしていた。


 学級閉鎖を行った後、僕の事は他のクラスに吸収する形で、また登校が始まるだろう。


 しばらくは、聴衆ちょうしゅうをされ、奇異きいの目で見られるだろう。


「モリコ」

『うぃ?』


 腕のリングから、モリコが顔だけを出す。


「ごめんな。弱くて」

『なんもよ』


 モリコは飽くまで純粋無垢じゅんしんむくな存在だ。

 病むことはあっても、相手を殺すことに躊躇ちゅうちょがない。


 世界は未だに『AIの責任は、AIにある』と言っている。


 僕は全くそうは思わない。


 正確には、モリコはヒューマノイドだけど。

 AIや機械生命体の責任は、『作った側』と『使った側』にある。


 悪意があって作ったのであれば、作った側。

 悪意があって使用したなら、それは使った側にある。


 つまるところ、のだ。


 僕は許されようとは思わない。

 ずっと恨まれたっていい。

 でも、モリコに人を殺させてしまったことだけは、とても心苦しい。


「勉強するよ」

『がんばれ~っ』


 イジメられていたとはいえ、クラスメイトが死んだ責任は、僕にある。


 僕はこれを自覚した上で、モリコを作るために、将来に向けて勉強を始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

彼女が”○○”を助ける方法 烏目 ヒツキ @hitsuki333

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ