第15話 天国か地獄か!?龍星軍のバカンス!!~前編~ (15)




「ば、ばか!仕方なかったんだよ!!」


「えっ!?そ、それはどういう意味で~!?」


「うるせぇうるせぇ!タオルでもまいてろ!!」


「あん♪あたしのタオル~」






モニカちゃんの私物を奪うと、私の頭にかぶせる愛しいお方。


その動揺ぶりで、まさかと思う。







「そ、それはどういう意味で・・・・?」








瑞希お兄ちゃんではなく、他の4人を目で見ながら聞く。






「ノーコメント。」


「察しろ、バカたれ。」


「あーあ!勢いに負けちゃったわぁ~」


「わははははははは!!高千穂と円城寺達には黙っててやる!!」


「っ~~~~~~~~~テメーらぁぁぁ!!!!」



「そ、そうなんですかっ!!?」







遠まわしに言われ、顔が熱くなる。



耳まで熱を感じる。






(私を助けるために、瑞希お兄ちゃんは~~~~~~~)







「チューしてくれた・・・・?」


「ばっ!!?ノーカンだ、ノーカウント!!人命救助だから~~~~~!!」


「わかってます!!」


「り、凛!?」


「わはははは♪逆ギレかー?」





そうじゃない。


そういうんじゃない。


私を助けるために・・・・・





「男の子だとわかっててて、そこまでしてくれたことが・・・・」






(嬉しい・・・・・・・)





女の子として、愛されてると思ってしまうじゃないですか・・・・?








「!?ば、ばか!・・・・・・命かかかってんだぞ・・・・・?」


「だけど・・・」


「あーもー!俺が良いから、良いんだよ!!良いの!わーったか!?」


「聞いたか、凛たん?凛たんとのチューは良かったらしいぞ♪」


「烈司!?」


「でしょーねぇー!凛ちゃんの唇、見るからにプルプルだも~ん!羨ましい!」


「モニカっ!」


「言っとくが、そっちに目覚めるのは自己責任だぞ、瑞希。凛道は巻き込むな。」


「い~お~り~!」


「わーはっはっはっはっ!!」


「笑うな、皇助!!」






その声を合図に、走り出す4人の先輩。


それを、私を横抱きにして追いかける瑞希お兄ちゃん。






「待てコラぁ―――――!!」


「いーじゃねぇーか、どっちもどっちだろう~」


「わははははは!ブラコンブラコン♪」


「ホント、嫉妬しちゃうんですけど~!?」


「モニカ、怖い目はやめろ。あくまで、事故という弱みなんだからな。」


「一番怖いのはお前だ伊織――――――――――――!!」




「ですね・・・」


(私にはラッキーハプニングだけど、瑞希お兄ちゃんにとってはアンラッキーみたい。)





「僕とのキス・・・・後悔してますか・・・・?」


「はあ!?するかボケ!」


「え!?」






即答され、思わず相手の顔を見る。


そんな私に、真っ直ぐな目で瑞希お兄ちゃんは言った。






「凛の命にと比べりゃ、安いもんだろう?当たり前のこと聞くなよ?」


「・・・・・瑞希お兄ちゃん・・・・・!」


「つーか、待てお前ら!1人4発ずつ殴らせろ!!」







日常会話のようにサラッと言われ、いろんな考えが一気に飛ぶ。








(当たり前か・・・・・)



だからだろうな。



「・・・・・・・・・そんなあなたに惚れちゃったんですから・・・・・」


「あん?なんか言ったか、凛?」


「いえ・・・・ちょっと、気分が・・・少し、もたれかかってもいいですか?」


「あ!?マジか!?悪い悪い!俺が走り回ったから~!」






私の言葉を信じて、急停止してくれるあなたが愛しい。


愛しくて、切なくて、恋しくて、彼の背に両手を回してギュッとすがりつく。







「姿勢、このまままで大丈夫か?平気か?」


「大丈夫です・・・・落ち着きます・・・・」


「そっか・・・じゃあ、宿につくまでくっついてろよ?」


「うん・・・・!」






無邪気に笑う彼に微笑み返す。


そんな私達の元へ、逃げていたはずの4人が戻ってくるまで、それほど時間はかからなかった。









~天国か地獄か!?龍星軍のバカンス!!~前編~~完~









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