第14話 天国か地獄か!?龍星軍のバカンス!!~前編~ (14)
「とりあえず、彼もこちらの車で病院に運びましょうか?」
「病院!?」
や、やばい!
(病院なんかに連れていかれたら、性別がバレる~~~~)
「い、いいえ!それには~!!」
「それにはおよびません。」
お断りの返事を、私の代わりに別の人がした。
「うちの主治医に見せますので、大丈夫です。」
「獅子島さん!?」
「そうだな・・・伊織のところのシゲ先生なら、何とかなるか?」
獅子島さんの言葉に、私を抱きしめる力をゆるめながら瑞希お兄ちゃんも言う。
それに水難救助の人が聞く。
「お知り合いのお医者さんですか?」
「そうなんです。あとは、俺らだけで大丈夫ですから・・・」
「わかりました。では、お大事にしてあげて下さい。坊・・・蓮君もありがとうね。」
そう言って、なぜか呼び方を言い直すと、私の頭をなでるライフセーバーのお兄さん。
(絶対に、実年齢より若く思われてる・・・)
だから子ども扱いしようとしましたよね?
〔★そうとしか思えない対応だ★〕
「じゃあ、俺達は失礼します。」
「こちらこそ、ご協力、ありがとうございました。」
ライフセーバーのお兄さんと瑞希お兄ちゃんの言葉で拍手が起こる。
そのまま去りかけたさわやかマッチョお兄さんだったが・・・・・
「でもね、君も人のことは言えませんよ?」
首だけで振り返り、瑞希お兄ちゃんを見ながら言った。
「弟君可愛さで、僕らが来ちゃダメだっているのに蓮君を助けに来ちゃったんですからね?」
「え?」
「ちょ!!?それNGワード!!」
「あははははは!それでは、お大事に♪」
ライフセーバーのお兄さんの言葉で、思わず瑞希お兄ちゃんを見る。
目が合う。
「~~~~~凛が悪いんだろうが、ばっか!!」
「お兄ちゃん・・・・」
そう告げる口調が、お顔が・・・・
(愛しすぎる~~~~~~~~~~!!!)
耳まで真っ赤にして、はにかむように怒ってる姿にトキメキ120%!!
(やっぱりさっき、海中で私を助けてくれたのは、瑞希お兄ちゃんだったんだ♪)
〔★凛のラブメーターが上がった★〕
「んっとに!せっかくの海水浴がパーだっ!」
やけくそのように瑞希お兄ちゃんは叫ぶと、ヒューヒュー♪という声も上がる中で、彼は言い放つ。
「帰るぞ、凛!」
「え!?旅行、終了ですか!?」
「ばか!宿に帰るんだよ!!」
「そうよ!凛ちゃんの体を休ませないと!」
「今日休めば、明日また遊べるからな?」
「どの道、この天気では海に入れるか。」
「わははははははは!」
「あ、言われてみれば・・・・」
暗くなった空と強い風。
海水浴客も引き上げていた。
「つーことで、シゲ先生への連絡任せたぞ、伊織!」
「もうした。往診に応じてくれるそうだ。」
(往診!?)
「お医者さんが来るんですか!?」
「当たり前だ。だから病院を断ったんだろう?」
(それは困る!)
「大丈夫です!平気だから呼ばないで!!」
「なんだよ、凛?医者嫌いか?」
「嫌いです!」
「ハッキリ言いきるな!?」
「大丈夫よ~凛ちゃん。シゲ先生は、優しいのよ?」
「俺らも昔、世話になった先生だぞ、凛?心配すんな。」
「そーそー!裸にされるわけじゃないって凛たん~」
「でも、直診とかしますよね!?」
「脈ぐれーはとるって。服なんて脱がされねぇーって。」
(本当でしょうね・・・・?)
ジッと男前を見る。
烈司さんはまだ、私に親切だから・・・
嘘は言わないと思うけど。
1番確実なのは――――――
「瑞希お兄ちゃん。」
「烈司の言う通りだ。」
この宇宙で一番信用している人は言う。
「ライフセーバーがしたようなことをするだけだ。俺もいるから怖がるな。」
「お兄ちゃん・・・」
「いいな?」
「・・・・うん。」
そんな顔で言われたら、NOなんて言えない。
(ヤマト・・・・どうやら、今日が私の告白日になるかもしれない・・・)
愛の告白を・・・ね?
〔★どちらかといえば、カミングアウトだ★〕
「んじゃー行くか!よっと!」
「え!?」
そんな掛け声に合わせ、体が浮く。
「み、みみみみみ、瑞希お兄ちゃん!?」
「あーん、凛やんズルい~!」
「おうおう、妬けるねぇ~お姫様抱っこ?」
「わははははは!かつげばいいだろう~!?」
「それだと吐くだろう!?飯食った直後に海に飛び込みやがったんだから!!凛も我慢しろよ!?」
「が、我慢なんてとんでもない!!」
むしろ、ラッキー!?
(恋の神様ってば、ホント気紛れなんだから~)
〔★凛ほどではない★〕
「てか凛ちゃん!顔がにやけすぎ!」
「え!?そ、そんなことないです!いつも通りです!」
「あんらぁ~マスクの下は、いつもそういう顔してたのぉ~?」
「マスクの下?」
「凛、素顔全開だけどいいのか?」
「・・・・・え?ええ――――――――――!?」
言われて、顔を触り、あせる。
「サ、サングラスは!?」
「海に飛び込むときに放り投げただろう?」
「ゴ、ゴーグルは!?」
「そりゃあ、人工呼吸で邪魔になったからはず・・・・」
「人工呼吸?」
「あっ!!?」
聞き返した瞬間、瑞希お兄ちゃんの顔が赤くなる。
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