第11話 天国か地獄か!?龍星軍のバカンス!!~前編~ (11)






「・・・・じゃあ、こうしましょう。いったん、海水浴場に戻って遊んで、そこで誰かがナンパされた時点で、獅子島さんのプライベートビーチへ移動しましょう?」


「あら♪それはいいわね、凛ちゃん!」


「わははははは!わかってんじゃねぇか、凛助!」


「俺はかまわんが、どうだ?烈司?」


「んー・・・・・凛たんが良いならいいんじゃねぇの?なぁ、瑞希?」


「たくっ!凛は女だけじゃなくて、自分の先輩にも甘いんだからな~」






呆れるように言われ、ぐしゅあぐしゃと頭をなでられる。






「あんま、気遣いばっかしてると、ハゲるぞ?」


「は、はげませんよ~!」


「名案が浮かんだぞ、瑞希。お前が男に声をかけられんいい方法がある。」


「ああ!?パーカー脱いで、胸板さらせばいいんだろう!?」


「いや、凛道とそのまま腕組みをし続けろ。そうすれば、恋人同士に見える。悪い男も寄り付かない。」


「名案ですね!!?」


「どこがだぁぁぁぁ!!?」




〔★凛と瑞希の意見が分かれた★〕






「なんだそりゃ!?俺に凛の彼女になれって!?」


「じゃあ、彼氏でお願いします!僕、頑張って女の子ぶります!頑張りますから!」


「凛お前・・・そこまで俺のことを・・・!?」


「いや、それでは仲良し女子にしかならんだろう。」


「つーか、さっきのはまぐれで凛たんが男に見えたんだろう?」


「そうよ!そうに決まってるわよ!モニカちゃん、恋人同士なんて許さない!!」


「わはははは!おもしれーからどうなるかやらせて見りゃいいじゃねぇかぁ~?」


「テメーら、人で楽しんでるだろう!?」




(とはいえ、これは大チャンス!!)






上手くいけば、お芝居でも恋人同士で過ごせる!






「み、瑞希お兄ちゃん!僕じゃダメでしょうか・・・!?」


「はあ!?あのな、そういう問題じゃ~」


「スカート、はきますよ!?サーフィンのスーツから着替えてもいいですよ!?」


「そこまで同情されてるの、俺!?」


「違います!!お兄ちゃんが嫌な思いすると僕も嫌だから、だから・・・・!」


「凛・・・・」






ズズっと鼻をすすれば、瑞希お兄ちゃんの激高もやむ。






「お兄ちゃんにも旅行、楽しんでほしいんです・・・・でも、嫌われちゃうならしません・・・」


「凛道、俺は冗談で言っただけだ。プライベートビーチへ移動すれば解決するだけの話だぞ。」


「すみません、瑞希お兄ちゃん・・・」


「ば、ばか!謝るな!そうじゃねぇよ!凛も、俺と同じ中性的じゃん?てか、『忠誠心』強すぎっつーか、わかってるっつーか・・・・」


「ちょっとー!ラブラブシーン見せられるぐらいなら、イオリンのビーチでいいんだけど!?」


「わ、悪かった、凛。お兄ちゃんも良い過ぎた・・・」


「瑞希お兄ちゃん。」


「おーい、もういいから伊織のプライベートビーチに行こうぜ?つーか、俺らの話、聞いてる?」


「そんな・・・瑞希お兄ちゃんが謝ることじゃないです!僕の目には、瑞希お兄ちゃんは最恐最高の男性にしか見えないです!それに時代が追い付いてきてないだけですから!」


「凛・・・!お前、なんて可愛いことを~・・・!!」


「わははははは!二人の世界かよ~!?」






感極まった顔でギュッと抱きしめられ、それに便乗して抱き付く私。






「凛!」


「瑞希お兄ちゃん♪」






(2人を邪魔する者はだれもいなぁーい!!)





「「「「・・・・・。」」」」





〔★4人は何か言いたそうにしている★〕




(ああ、ダメよ、凛!あまり抱き付いたら、胸があるってバレちゃう♪てか・・・・いっそ、この旅行で告白してしまって、ハッピーエンドにしちゃおうかな~♪)



ねぇ、神様、いかがでしょう?








「誰か助けてぇぇぇ!!お願い、神様ぁぁぁ―――――――――!!!」








神様にお願いした瞬間、別の人のお願いも聞こえてきた。







「誰か!誰か、娘を助けてぇぇぇ!!」



「「「「「え?」」」」」


「娘?」






声のした方を見る。


いつの間にか強くなった風が、砂浜の砂を舞っている場所。


そこに人が集まっていた。






「大変だ!!女の子が流されたぞ!」


「母親が目を離したすきに波にのまれて、わからなくなったらしい!」


「まだ3才だろう!?」


「流される瞬間、誰も見てなかったんだって!」


「ライフセーバーは何やってんだよ!?」


「沈んじまって見つけらんねぇらしいんだよ!」


「いやあぁあああ!美香ぁ!みかぁぁぁ!!」






母親らしい人が取り乱し、海に入ろうとしていた。


それを大人数人が必死で取り押さえていた。






(水難事故!?子供の姿が見えない!?)






そう思ったら、とっさに叫んでいた。







「烈司さん!」


「烈司!!」









瑞希お兄ちゃんと一緒に。








「ハイよ。」


ジャラ!








どこからだしたのか、水晶の数珠を手にした烈司さんがそれを握りしめて目を閉じる。






「ハイビスカス柄のピンクの水着の女の子が見える・・・・」


「服装はいいですから、早く!」


「こっちから見て東側、20メートルほど潜った地点でもがいてる。」


「わかりました!!」



「凛!?」








聞くや否や、ダッシュで砂浜に飛び降りる。


言われた方角へと一目散に向かう。







(早くしないと!!助けないと!!)







サングラスを投げ出し、ヤマトから借りたゴーグルを素早くつける。







「みかぁ!みかぁ、どこよぉ~!?」







そして、騒然としている、取り乱している母親に向かって叫んだ。






「大丈夫ですっ!!」


「へ!?」


「ハイビスカスのピンクの水着を着たお子さんなら大丈夫です!?」


「・・・な、なんでそれを!?娘が着ている水着を知っ―――――――!?」



「20メートルぐらいの場所でもがいてます!!」





バッシャーン!!






水泳選手みたいに飛び込む。


母親を安心させるために飛び込んだけど、






(しまった!!東の方向って言うのを忘れた!!)





言い忘れたことを後悔する。




〔★そういう問題ではない★〕






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