第8話 天国か地獄か!?龍星軍のバカンス!!~前編~ (8)
「話はそこまでにして、せっかくだから行ってみるか?」
そう提案したのはヘビースモーカーのお兄さん。
「わはははは!賛成!あの太ももを見ながら飯を食うのは良いぜ!」
「あたしは、やーよ。男のフリすれば、ドリンクがタダになるけど・・・店員が女ばっかでつまんなそーだもん。」
「俺も行かねぇ。」
「み、瑞希お兄ちゃんが言うなら僕も遠慮します!」
「少しは自主性を持て、凛道。まぁ、今回は渋々凛道を癒してやるための旅だからな。凛道の意見を取り入れて、海鮮物のうまい店に俺が案内してやろう。」
「うわーお前が一番自主性ないな、伊織。」
「言い訳がましくて可愛い~」
「わはははははは!!しかたねぇ!あとで2人で行こうぜ、烈司!」
「いや、凛たんが行かないなら、俺も行かない。」
「言い出しっぺがそれかテメー!!?俺は1人でも行くからな!?」
さすが野獣・・・
〔★自主性をしっかり持っている★〕
「なんか・・・ごめんな、凛。」
「瑞希お兄ちゃん?」
小声でこそっと、瑞希お兄ちゃんが耳打ちしてきた。
「俺が、くノ一カフェ気に入らねぇって言ったから・・・合わせたんだろう?」
「な!?そんなご自身を責めないでください!僕だって、興味がないんですから!」
「興味がない?思春期の男がか?」
(は!?しまった!?)
思わず、女の子の立場で発言して焦る。
でもすぐに、上手い言いわけをした
「こ、硬派がそういうところに行くのは、けしからんでしょう!?」
「あ、そういうことか・・・!」
私の発言に、私もお兄ちゃんも違った意味でお互いホッとする。
「おりゃあてっきり、凛が~女に興味ないのかと~」
「ええ!?凛ちゃん、女の子が性的対象じゃないの!?」
「モニカちゃん!?」
聞き耳を立てていたらしいオネェさんが飛びついてくる。
「だったら、高千穂ちゃんはやめて~モニカちゃんと付き合いましょう♪」
「って、違いますよ!てか、どうしてカンナさんを出すんですか!?」
「わはははは!聞いたか、瑞希―!カンナとのエロストーリーは長期戦みたいだぜ~!?」
「それを言うならラブストーリーだろう、馬鹿者。」
「とりあえず、太もも・生脚フェチじゃないのは確かだよな~」
「もうー!やめてください、みなさん!!」
「凛をからかうなっての!!」
こうして、ぎゃーぎゃーとにぎやかに、目立つ形で移動する私達龍星軍一行。
ご飯にありつくまで30分もかかったのだった。
◇
◇
◇
絶景が広がる場所でのご飯は最高だった。
「わぁ~すごいですねぇー!?」
「ミシュランにのってる店だからな。」
豪華なランチを前に、得意げに獅子島さんが言う。
すごいのはそれだけじゃない。
完全ガラス張りのテラスの中は、適度な冷房がきいている。
「どうだ、凛道?」
「すごいです、獅子島さーん!」
(一番すごいのは瑞希お兄ちゃんだけど♪)
〔★やはり順位は変わらない★〕
「わはははは!忍者屋敷だったら味わえないだろうなぁ~」
伊勢海老をカラごとバリバリたべなっがら百鬼さんが言えば、隣に座っているモニカちゃんがしかめっ面をする。
「ちょっとは行儀良くしろ。・・・・ただでさえ、目立ってるんだぞ?」
(あれ?モニカちゃん、言葉遣いが・・・?)
「男言葉・・・?」
「今だけだ、凛。」
モニカちゃんが変わった理由を、隣にいた瑞希お兄ちゃんがこそっと教えてくれた。
「モニカは、TPOがわかってるからな。危険を察したら、男に化けるんだよ。ほら、来たぞ・・・・。」
「え?」
「あの~すみませーん♪」
瑞希お兄ちゃんの言葉に続くように、甘ったるい声が響く。
声のする方を見れば、知らないお姉さんが数人、私達のテーブルにやってきた。
従業員じゃない、あきらかに私達と同じ観光客。
「ちょっといいですかぁ~?」
お姉さんは、モニカちゃんに話しかける。
「なんでしょう?」
これに男モード(?)で答えるモニカちゃん。
「皆さんお友達ですか?」
「ええ、そういうところですよ。」
「ですよねぇ~」
「もしかして、うるさかったかな?ごめんね。」
「「「きゃん♪」」」
パチンとウィンクすれば、頬を染めてときめくお姉さん達。
私は私で、海鮮パスタを食べようとしていたフォーックを持つ手がとまる。
(お・・・・男らしくカッコいいモニカちゃんだと・・・!?)
〔★見るのは二回目(【彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)】以来)だ★〕
「そんな~あやまらなくていいですよぉ~!」
「そうそう!あのー皆さん、食事の後のご予定は・・・?」
「もし暇だったら、私達と一緒にバーベキューしませんか?」
「あたしの親のクルーザーで、楽しくパーティーしません!?」
え・・・?それって・・・・
(まさか、ナンパ・・・?)
〔★世間では逆ナンという★〕
きゃっきゃっとはしゃぐ彼女達は、全身ブランド品で身を固めている。
ますみちゃん達とどこか似た雰囲気だと思っていたらモニカちゃんが言った。
「ごめんね。この後、用事があるんだよ。」
「ええ~そうなんですか?」
「残念ですぅ~」
「いろいろ忙しくてね。」
「じゃあ~せめて~」
「アドレス教えてくれる?書いてくれると嬉しいな?」
(えっ!?)
そう言うなり、メモ帳とボールペンをお姉さんのうちの1人に渡すモニカちゃん。
「え!?手書きでしなくても、ピピッとすれば一発で~」
「俺今、書道にハマっててさ~人の字を見るのが好きなんだよねぇ~特に、字のキレイな子とかに弱くて・・・」
「「「あん♪書きます♪」」」
流し目で言うモニカちゃんに、うっとりした顔で答えるお姉さん達。
そして、渡されたメモ紙に、我先にと色紙の寄せ書きのように・・・・・・・メアドと携帯番号を書いていく。
それも時間をかけて、丁寧に。
〔★字を書くのに自信がない証拠だ★〕
「書けましたぁ♪」
「ありがと♪」
「絶対連絡くださいね!?」
「お待ちしてます!」
「できれば、そっちのメガネの方と~」
(え?)
「タバコを吸ってる方は是非ご一緒で♪」
(えっ!?)
「「「お待ちしてまぁーす♪」」」
「「「ありがとう。」」」
(ええ~!?)
モニカちゃんを含め、指名された2人もあわせた3人が声をそろえて答える。
普段からは想像できないような色っぽくて、カッコいい笑顔で。
(なにそれー!?)
カッコいいよモニカちゃん!?
そういう武器、持ってんの!?
世間で言うところの切り札ですか!?
〔★変わりすぎだった★〕
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